和菓子職人に応募100人! ネットが変える“新・転職事情”

2010年2月26日 10:03更新

東京ウォーカー(全国版)

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リーマンショック以降、大企業神話は崩れ、今転職先として人気なのは農業従事者や、職人などの“手に職”系だ。埼玉にある小松菜農園の後継者、老舗どら焼き店の和菓子職人、笠間焼きの焼き物職人など、今まで公に募集していなかった職種が、転職サイトに“求人”として掲載され、いずれも、2週間足らずで100人前後の募集があるという。一個人商店に短期間でこれだけの応募があるとは驚きだが、この背景には進化した転職サイトの影響もあるようだ。

“手に職”人気を受け、各転職サイトも確実に募集職種のすそ野を広げている。1年前に開設した中堅中小企業向け転職サイト「はたらいく」(リクルート)は、“地に足のついた仕事”という特色を活かすことで、今では、約6万件(2009年12月末時点)の求人件数を掲載するほどの人気ぶり。「都市→地方」「条件重視→自分とのフィット感重視」という傾向を踏まえた媒体にすることで、今まで「どう人を募集していいか分からなかった」という農業従事者や、離島の中小企業にアプローチ。結果、全国の“手に職”をつけたいという若者とのマッチングに成功しているという。

例えば、東京・浅草にある老舗和菓子店の「亀十」で和菓子職人として働く山南(やまなみ)さん、28歳は、約1年前に入社したばかりの元・100円ショップの販売員。もっと成長できる仕事がしたいと転職を決意した青年だが、亀十を知ったのは、ネットサーフィンをしていたときだ。「漠然と“職人系”の仕事を探していました。転職サイトで、たまたま(亀十を)見つけることができたんです。本当に偶然なんですが、あきらめかけていたときなので“運命だ!”と思いましたね」(山南さん)

他にも、「研ぎ師 求人」と検索エンジンで検索し「はたらいく」にヒット。見事刀職人になった男性や、住みたい離島のことを携帯で調べていて仕事を見つけたという女性など、これまで公に登場しにくかった仕事もネットで探すのが主流になってきた。

一方、採用側「亀十」の島田専務も、中小企業向けサイトがあってよかったと話す。

「昔は、この世界は縁故で職人を採用するのが当たり前でした。ですが、バブル期に職人希望者自体が減り、若い世代がいなくなってしまったんです。知っている方々にお願いしても、自分より年配の方を紹介していただくことも多いのが現状です。そんな折、ネットの求人媒体を紹介され、結果いい人を採用することができました。もし知らなかったら、今でも店の前に“急募”の張り紙を出していたかもしれませんね(笑)」

「はたらいく」の平賀充記編集長は、今後の見通しについて「さらに農業のような一次産業をビジネスとして展開する業態や、地方に光が当たっていくと思います。バブル崩壊後に“手に職”ブームが起こったときは『ガテン』が生まれましたが、似たような傾向が、今後ネットを中心に起こるのではないでしょうか」とコメント。手に職系求人とネットの融合が、全国の若者と小さいながらも堅実な仕事をする企業とのマッチングに大きく関与しそうだ。

「どう人を集めていいか分からない」「本当にウチに来てくれるんだろうか」という、中小や地方企業の不安払拭ができる新しいサイトの出現で、“手に職”をつけたいという全国の若者がより希望にあった仕事を探せるようになっている昨今。“ケータイで青森の農家の後継者に応募する”という流れが、当たり前になる日もそう遠くはないのかもしれない。 【東京ウォーカー】

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