ゴミだらけの部屋で遺体を発見!消えない記憶を持つ男が遺族を救った、感動のホラーミステリー【著者にインタビュー】
東京ウォーカー(全国版)
土日はお家でまったり漫画三昧。2025年によく読まれたバズ漫画をプレイバック!
見たものを一瞬で記憶し、決して忘れることのできない特殊能力「
シャッターアイ
」を持つ主人公の憲。彼の頭の中には膨大な量の記憶が記録されている。そんな彼の仕事は特殊清掃だ。まもなく取り壊されるアパートの清掃中、彼はゴミの中から1人の男性の遺体を発見する。憲は、その男性にどこかで見覚えがあった。男性の死を伝えるため、彼は遺族のもとを訪れる。
今回は、この漫画「記憶遺棄」で第87回ちばてつや賞期待賞を受賞した可惜夜季央さん(@atarayokio)に、制作の裏側について話を聞いた。
記憶と遺品、そして人々の多面性
「本作を描いたきっかけを教えてください」という質問に、可惜夜季央さんは「最初はゴミとかごちゃごちゃしたものを描きたくて、いつか遺品整理や特殊清掃のお話を描きたいと思っていました」と答える。別の設定で描こうとしていた瞬間記憶能力の話と、遺品整理をテーマにした作品を組み合わせるアイデアを思いついたのは、母親がYouTubeで遺品整理のチャンネルを見ていたことがきっかけだったという。
ちばてつや賞期待賞を受賞した感想を尋ねると、「すごくうれしいです。自分は変わらず自分の好きなものを描き続けていてよかったんだなと思えました」と語る。
審査員から「キャラクターが魅力的」と言われたことが特にうれしかったという。「キャラクターを考える時間が一番好きで、そこを褒めていただけて、キャラたちの会話が飽きないという言葉もいただけました。自分のしたかったことでちゃんと楽しんでもらえているんだということがわかって、とてもうれしかったです」と話した。
漫画を描くうえでのテーマは、人の多面性だという。「はたから見てごく普通の人が、実は変な人だったり、すごい能力がある人だったり、と想像もつかない『ある一面』をどう見せていこうか、ということを楽しみたいし楽しんでほしいと思っています」と語った。
記憶を消すこと、そしてトラウマ
主人公は、この特殊能力のために、常に頭痛に苦しんでいる。「膨大な記憶を脳が処理しきれず、高速回転し続けてるような状態なのでしょうか?」と尋ねると、「そうですね、常に脳内フル回転だから日常生活ではぼんやりしがちで、気遣いまで頭がいかないんですね」と答えた。
遺体で発見された男性は、人には言えない罪を犯していた。彼の死後、娘は父親との記憶を消したいと願う。その気持ちが痛いほどわかる憲は、トラウマを消せるようにと動き始める。
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取材協力:可惜夜季央(@atarayokio)
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