綾野剛、R18指定映画で魅せる“枯れかけた男の色気”。吉行淳之介原作『星と月は天の穴』12月公開へ

東京ウォーカー(全国版)

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俳優・綾野剛さんが主演を務める映画『星と⽉は天の⽳』が、2025年12⽉19⽇(⾦)よりテアトル新宿ほかにて全国公開される。『ヴァイブレータ』(2003年)、『共喰い』(2013年)などでキネマ旬報脚本賞を5度受賞し、“愛と性”を描き続けてきた荒井晴彦さんが監督を務める、R18指定の大人向け恋愛映画となる。

娼婦・千枝子役の田中麗奈(左上)、女子大生・紀子役の咲耶(左下)。綾野剛演じる矢添の心を揺らす女たち


40代こじらせ男の切なくも滑稽な恋愛模様

綾野さん演じる主人公・矢添克二は、妻に逃げられ結婚に失敗して以来、独身のまま40代を迎えた小説家。心に空いた穴を埋めるように娼婦・千枝子(田中麗奈)と時折体を交え、過去を引きずりながら日々をやり過ごしていた。

そんな矢添には、恋愛に尻込みするもう一つの理由があった。それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えているから。ところがある日、画廊で偶然出会った大学生・瀬川紀子(咲耶)との奇妙な情事をきっかけに、矢添の日常と心が揺れ始める――。

綾野剛、“枯れかけた男の色気”で魅せる新境地

『地⾯師たち』(2024年/Netflix)、『でっちあげ』(2025年)など着実にキャリアを重ね、名実ともに確固たる地位を築き上げてきた綾野さん。本作で体現するのは、これまでのイメージを覆す“枯れかけた男の色気”を持つキャラクターだ。

女を恐れながらも求めてしまう、40代こじらせ男の哀愁――綾野剛が体現する“枯れかけた男の色気”


「映画『花腐し』に続き、本作でも荒井監督の脚本を浴びることができ、主人公を通して言葉の美しさと滑稽さ、なにより文学への造詣に触れられ、とても稀有なひとときでした」と、撮影を振り返る。

特に印象的だったのは、とある小説を主人公が説明するシーンだという。

「噛めば噛むほど、呑めば呑むほど説明台詞を逸脱し、煙草を燻らせ酒を堪能するように台詞を生み吐き出し、生きた言葉へと昇華する。脚本に導かれたその過程は、役者人生においても、唯一無二の体験でした。今思い出しても武者震いします」と詩的な表現で語り、「どうぞ言葉の心地を召し上がってください」と観客にメッセージを送った。

田中麗奈、咲耶との濃密な関係性にも注目

矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じる田中麗奈さんは、荒井作品3作目の出演となる。

千枝子という役について「彼⼥が何を想っているのかというのは、脚本を読んだ時点で直感的に感じましたが、もっと細かく腑に落ちていくように、丁寧に彼女の背景を作っていきました。今でも千枝子を思い出すと胸がキュッとします」と深い思い入れを明かした。

一方、矢添の心に無邪気に足を踏み入れる女子大生・紀子役の咲耶さんは「純文学の登場人物になりたいという願望が、まさかこんなに早く実現してしまうなんて」と喜びを語る。

「全力でつかみにいった紀子という人物を演じることができたのは、私にとってこのうえない幸せです。現代の日本映画界に真っ向から反抗するような作品ですが、美しくもユーモラスな観る文学であると私は感じます」

荒井晴彦監督が18歳から温めていた企画

本作の原作は、作家・吉行淳之介による芸術選奨文部大臣賞受賞作『星と月は天の穴』。荒井晴彦監督が18歳のころから映画化を夢見ていた作品だ。

“愛と性”を描き続けて半世紀。名匠・荒井晴彦監督が挑むR18指定の文学映画撮影:野村佐紀子


「彼女もいないし、女の子の手を握ったのは高校の文化祭のオクラホマミキサーのときだけだった」と当時を振り返り、原作との出会いについてこう語る。

「『女の軀に軀を重ねても欲情は起こってこない』男は、連れ込み旅館の枕もとの棚の下の埃を見る。『数週間にわたって抜け落ちた数え切れない数の男と女の毛が、絡み合っていた』『突然、激しい欲情が彼の中に衝き上ってきた』これ、なんかわかると思った」

妻に裏切られ、愛とか恋とかいう情感を持ち込むのを拒否し、女を「道具」として扱おうとする男が「道具」に敗けてゆく小説。映画の仕事をするようになって、いつか映画にしたいと思い続けてきたという。

「精神という花が咲いている。引っこ抜くとその根っこに『性』がぶらさがっている」という吉行の言葉を引用し、「引っこ抜いていきたい」と創作への意欲を燃やす。

1969年という日本の激動期を背景に、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら、一人の男の私的な物語を綴った『星と月は天の穴』。⽇本映画界に⼀⽯を投じるR18の異⾊作を、ぜひ劇場で。

映画『星と月は天の穴』作品概要
公開日:2025年12月19日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本:荒井晴彦
原作:吉行淳之介『星と月は天の穴』(講談社文芸文庫)
出演:綾野剛、咲耶、田中麗奈、柄本佑、岬あかり、MINAMO、宮下順子 ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2025『星と月は天の穴』製作委員会

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