“天国に一番近い”古民家で、大自然をシャワーのように浴びる!熊野古道で見つけたゲストハウスで宿泊体験
東京ウォーカー(全国版)
和歌山県の熊野古道といえば、日本各地からはもちろん、今や世界中から多くの観光客が訪れる世界遺産となっている。

歩くコースはさまざまで、短い距離をハイキング感覚でサクッと歩けるものから、長距離のため日をまたぐコースもある。どこをどう歩き、どこで休息し、どこに泊まるのか、というのは、ペース配分を考えるうえでもとても大切なポイントだ。
「日が暮れてもなかなか宿泊予定の宿にたどり着けない!」なんていう事態は避けなければならない。もちろん、すべてを歩くのは無理な場合は、レンタカー、バス、タクシーなども上手に利用するのがおすすめだ。

熊野古道周辺には、歩き疲れた体を癒してくれる温泉街がいくつかある。最近、リーズナブルな料金で地元の食材を使ったあったかいおもてなしが期待できると人気なのが、「ゲストハウス」だ。その中に、千葉県から夫婦と子供4人(当時)で和歌山県へ移住し、今年5月にゲストハウスをオープンさせた方がいると聞き、早速訪ねてみた。
ほとんど自給自足に近い生活をしながら、ゲストを歓待する彼らの暮らしぶりとは?
熊野古道の中心、熊野本宮大社から、レンタカーのナビに住所を入れて出発。紅葉し始めた周囲の景色を眺めながら走らせること約30分。山間の集落を過ぎた辺りから、細~い山道になってきた。「このまま進んで本当に大丈夫か?」と不安な気持ちがこみ上げる。

舗装された道路はついに終点に…。この先は獣道しかないけど…と、いうところまできた時、ありました!「縁ga環cafe&ゲストハウス」!

1か月の家賃なんと5000円!!古~い家を借りて、思い通りに自力で改修
「メエ~」という愛らしい鳴き声で、私たちを歓迎してくれた(?)ヤギの姿が夕闇に浮かぶ。ヤギ小屋を横目で見ながら階段を登ると、古民家にたどりつく。玄関のドアを開けると、内山清市さん、始希(しき)さん夫妻と子供たちが出迎えてくれた。以前住んでいた千葉の九十九里でも、自然農で米を作りカフェを営んでいた。あのヤギも千葉から連れて来たのだとか!

「ここに比べたら九十九里だって大都会です。だからもっともっと自然が多くて、スーパーもコンビニもない所で、大地に根を下ろした暮らしがしたかったんです。もともと和歌山は私の故郷。移住先として紹介してもらった熊野川町ではフリースクールが始まるし、先輩定住者の話にも共感できた。ちょうど空き家もあったので、移住を決めました」と始希さん。
5000円(!)という破格の家賃で借りた古民家も、なにからなにまで自分たちで改修し、カフェとゲストハウスをオープンさせた。その間に、なんと5人目のお子さんを、夫妻で協力して自宅出産したというから驚きだ。

まだまだ進化中のゲストハウス。次なる野望は、手作りの「五右衛門風呂」
自然あふれるというよりも、もはやここには自然しかない。お隣の家まで1km以上。夜は漆黒の闇に包まれ、周囲の音は樹々の間を吹き抜ける風のみ。晴れた日の星空の美しさには言葉が出ないほど感動する。朝は朝で、ニワトリの鳴き声が目覚まし代わりに。「ニワトリって、本当にコケコッコーって鳴くんだ…」と思わず笑み。ニワトリの朝の鳴き声をライブで聞くなんて、人生の中で何度あっただろうか?

内山家の朝は忙しい。5人の子供たちの朝食に、ゲストの朝食作りも加わる。ご飯を食べた子供たちは数キロの山道を、自転車に乗って元気よくフリースクールまで通う。冬はかなり寒いが、夏は家の前の川で日がな1日遊ぶ。
「ここの暮らしが楽しくて楽しくて。天国みたいにいいところだと思っています」と語る清市さん。彼の頭の中は、今後どういう風にここを改修するかという構想でいっぱいなのだ。「次は昔ながらの五右衛門風呂を作りたいんですよね」と、目を輝かせる清市さんは何でも器用に作ってしまう。
優しいベジタブル料理の数々に、心もほっこり!!胃袋も大満足!

一方、始希さんが作るカフェのランチやゲストハウスのディナーもヘルシー&美味。米や雑穀を中心に、自分たちで作った自然農の野菜、豆類、海藻を使う。肉、魚、卵を使わない、心身に優しいベジタブル料理の数々に心がホッとする。清市さんだって負けてはない。米粉で作ったピザを焼き、パンも作る。ゆったりと淹れてくれる、自家焙煎のコーヒーも香り豊かで風味がいい。

ちなみに内山家にインターネットはあるがスマホはない。買物も週に一度出かけるぐらい。現代人、特に都会暮らしの人々とはかけ離れた生活だが、家族7人肩を寄せ合って暮らす姿は、昭和の名作ドラマ「大草原の小さな家」のよう。「お金は最低限の暮らしができるだけあれば十分。それよりも、いろんな人との縁、地域とのつながりを大事にしながら自然と共に生きていきたいんです」。内山夫妻の理想郷「縁ga環cafe&ゲストハウス」が、さらにどんな風に変わっていくのか、これからも注目したい。【ウォーカープラス編集部】
取材・文=東野りか、水島彩恵
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