観月ありさが走り続ける平成ドラマ界【後編】

東京ウォーカー(全国版)

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平成31年3月末日で幕を閉じることになるであろう「平成」。

現在、ほぼ平成全ての期間において、東京を中心に街を追い続けてきた「東京ウォーカー」が、読者やタレントらと共に動く新企画「平成PHOTO熱記」をスタートさせている。「平成PHOTO熱記」では、読者やタレントから「最も“アツかった”“沸いた”“思い出の”“最高の”平成の記録」となる写真を募っている。そこで、平成のほぼすべての期間を、ドラマ界の第一線を走っている女優の観月ありささんも本企画に参加!

インタビュー後編では、「ナースのお仕事」は問題作だった!?そんなお話しからスタート。最後には、観月さんの平成の1枚が登場!

「ナースのお仕事」当時のお写真


スマートフォンを使いこなす役に苦戦!?


――今振り返って、時代性を感じるなと思われる主演作はありますか?

いっぱいありますね! 今の時代は絶対に作れないような話もありますし(笑)。“ナース”も、最初は「医療モノでコメディなんてあり得ない」と言われていて、結構問題作だったんです。医療モノは生死を扱うだけに、それまでは人間ドラマをシリアスに描くことが多かったですが、“ナース”は失敗しても笑って済ませちゃう、みたいな。これも今思えばよく企画が通ったよねって(笑)。

「斉藤さん」(08年日本テレビ系)も時代に合ったんだと思います。斉藤さんはひたすら人を怒って去っていく人だけに、最初の頃は「大丈夫かな?」と思っていたんですが、そういうキャラクターを求められる時代だったんだなって。「鬼嫁日記」(05年フジ系)にしても、奥さんが旦那さんを尻に敷くとか、昭和ではありえないですよね(笑)。やっぱり連続ドラマって、その時その時の時代性を映し出すものだと思いますし、平成という時代の移り変わりが出ているなと感じますね。

――ドラマで使われるツールも、時代時代で変化していったかと思います。

私がドラマをやり始めた頃は家電(固定電話)しかなかったから20代前半ぐらいまで出ていたドラマは当然ながら家電なんですよ(笑)。だから恋愛モノが描きやすかったですよね。待ち合わせしてすれ違ったら、家に帰るまで連絡取れないから、とてもドラマチックになるんですよね。今はケータイで「どこどこにいるよ」って連絡すれば待ち合わせできるし、ドラマが描きづらくなったというのはあると思います(笑)。ケータイはドラマの中で一番苦戦したものでもありますね。私は結構アナログ人間なので、ケータイやスマホを持つのも遅かったんですよ。でもドラマの中でケータイを使うシーンが出てくるようになって。さらにスマホが普及してくると、スマホでメールやLINEを送信するシーンも出てくるし、それをやらなくちゃいけないんですよね。自分はプライベートでは使わないのに、役では使い慣れていなくちゃいけないから、まあ手こずりました(笑)。

撮影=阿部岳人


――そういう新しい技術にも対応していかなければいけないわけですね。

そうなんですよ、これが大変で(笑)。数年前に“ナース”のスペシャル版(14年フジ系)をやったんですが、その時の医療現場の変化と言ったら! 最近は看護師が申し送り(勤務交代時に患者の状態を後任者に伝えること)をあまりしないそうなんですよね。患者さんがバーコード入りのリストバンドをつけていて、それを読み取ることで患者さんの情報がパソコンに表示されるようになっていて。そんな技術の進歩でナースらしい動作が減っているから、芝居の動きを付けづらくて困りました(笑)。人間がやることが減ったことで、初期の“ナース”のようにバタバタ忙しそうな雰囲気が出しにくいんです。でも、表現する側の人間は、そういう新しいものについていかなければいけないなって思いますね。

ドラマ業界も女性の社会進出が進んでいる


――ドラマの制作現場は、平成初期と現在で何か変化はありますか?

技術部に女子が増えましたね。昔は女性スタッフはメイクさんやスタイリストさんぐらいで、照明さんやカメラマンさんのような力仕事は男のものって感じだったんです。でも今や現場を仕切っている女子もいっぱいいますし。女性のカメラマンさん、照明さん、音声さん…。ほんとに女性が増えましたし、これはすごいですね! 

――女性スタッフが増えると、現場の空気も変わりそうですね。

やっぱり女性いるとソフトになりますよね。ピリピリしないで済むし、怒鳴り声が圧倒的に減りましたね! 最初の頃はまだ昭和の名残もあって、お芝居の現場は怖いものだという感覚がすごくありましたもん。「わ、みんな怒ってる!」「脚立飛んでったよ、今!」みたいな(笑)。最近はむしろ女性のほうが怒っていて、逆に男性がなだめていたりするから、すごく時代が変わったし、女性が活躍できる社会になってきたなと思います。少し前までは、女性が踏み入ってはいけないゾーンがあって、私もそれにもどかしさを感じていましたし。「女だからもっと頑張らないと認められない」って、女性だということでリスクを背負っていた部分はありましたね。

東京ウォーカーの表紙を見れば「何のドラマの時か」が分かる


――さて、観月さんには、過去15回、「東京ウォーカー」の表紙を飾っていただいておりまして、本日はそのうちの半分を用意いたしました。

15回ですか、すごい! 懐かしいですねー。顔の雰囲気やメイク、ファッションで、だいたい「あのドラマをやっている時だ」というのが分かりますね。その時の役の気持ちでビジュアルを作っているので。

撮影=阿部岳人


――表紙の見出しで気になるものはありますか?

「恵比寿へ行こう!」は恵比寿ガーデンプレイスが出来た頃ですよね! この頃に映画の「7月7日、晴れ」を撮っていて、恵比寿ガーデンプレイスで撮影しているんですよ。あと、横浜ランドマークタワーとかでも。

――当時の最新スポットでの撮影だったんですね。平成になって、そういう街のランドマークになるスポットが増えましたよね。

そうですよね。それまでは東京タワーぐらいでしたけど、そういうものが出来始めたのはこの頃なのかも。お台場もそうでしょうし。表参道ヒルズや六本木ヒルズ、東京ミッドタウンなどもそうですが、平成は都市開発みたいなのがすごくありましたよね。

――平成のイベントや出来事では、何か印象的なことはありますか?

サッカーの日韓ワールドカップ(02年)をやっていた時は、ドラマの撮影現場でも試合を見ていましたし、実際にイングランド対ブラジル戦を見に行きましたね。デビッド・ベッカム選手を生で見たくて(笑)。その日は開催地に向かう新幹線の時間のギリギリまで撮影していたので、駅の中をすごく走った記憶があります。新幹線の扉が閉まる寸前に飛び乗りましたもん(笑)。あの頃にワールドカップやJリーグなど、サッカーが盛り上がったことで、私もサッカーを見る機会が増えたような気がしますね。

Colorsport/アフロ


――そんな観月さんにとって、次の時代に残したい「平成の一枚」は何でしょうか。

20歳の誕生日の時に着物を着たり、30歳で時代劇をやり始めて着物を着る機会が増えたりと、私は節目節目に必ず着物を着ていて。でも、最近は時代劇も減ってきていますし、“和”の文化が薄れてきて、着物を着る機会も減っている気がするんです。だから、日本ならではの着物の文化や、時代劇は残していってほしいなって思いますね。

観月さんの成人式のお写真(ご本人私物)


――最後に、次の時代に期待したいことはありますか?

今は自分で経験していないことも、ネットなどで調べたらすぐ分かるじゃないですか。でも、体感したり、その場に身を置いてみないと分からないことって絶対にあると思いますし、体験する手間を省いてしまうのが残念で。最近は、知識は豊富だけど、経験が伴っていない人が多くなっているなと感じるんですよ。だから、体験型の催しみたいなものが増えてほしいですね。例えば今、バーチャルでスカイダイビングを体験できたりしますけど、私は自分で実際に経験したいタイプだから、スカイダイビングもその場に行ってやりたいと思うんです。便利な世の中になっても、すべてをそこに頼り切ってしまわないでほしいと思いますね。もちろん、便利になったら絶対に自分もそれを利用するんでしょうけど(笑)。

でも、きっと今は想像できないような未来になるんでしょうね。クルマが空を走っているかもしれないし、自動運転になって、ドラマでクルマを運転するシーンもなくなるかもしれませんし。そう考えるとちょっと面白いですよね。その時代にまだ女優をやっていたら、ハイテクなシーンもやりたいですね。手を叩いたら部屋の明かりがついたりとか(笑)。これからの世の中、どう変わっていくのかが楽しみでもあり、ちょっと怖くもあり…。でも、昭和から平成になった時も、みんなそんな気持ちだったんだろうなと思います。

撮影=阿部岳人


次の時代、観月さんが主演するドラマ作品はどんな作品になるのか、期待したい。観月さん、貴重なお写真ありがとうございました。【東京ウォーカー編集部】

取材・文=大西淳子

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