窪塚洋介「彼を信じているし、今後どうなっていくのか楽しみ」俳優として活躍する息子・窪塚愛流への想い
東京ウォーカー(全国版)
『青い春』や『泣き虫しょったんの奇跡』などを手掛けた豊田利晃監督が、窪塚洋介さんと松田龍平さんをW主演に迎えて制作した映画『次元を超える』。
『破壊の日』以来5年ぶりの共演となる窪塚さんと松田さんが挑んだのは、2019年に公開された短編映画『狼煙が呼ぶ』から始まる「狼蘇山(おおかみよみがえりやま)シリーズ」の集大成となる、豊田監督の7年ぶりの長編フィクションだ。
本作で孤高の修行者・山中狼介(ろうすけ)を演じた窪塚さんが、長年の付き合いになる豊田監督とのエピソードや作品の魅力、さらに、息子であり本作に声で出演している俳優の窪塚愛流さんの話などを語ってくれた。
長年の付き合いのある豊田利晃監督との再タッグ「僕が演じる役のセリフはいつも自分の言葉のように感じる」
――本作の台本を読まれた時の印象からお聞かせいただけますか?
【窪塚洋介】最初は“SF?惑星ケルマン?宇宙船?”と出てくるワードにいちいち驚いて、本当に映画化できるんだろうかと半信半疑でした(笑)。もちろんVFXやCGといった技術を使えば可能かもしれませんが、台本を読んだ第一印象は“本当にできるのか…!?”でしたね。
内容に関しては、自分の中に宇宙があるという世界観が描かれていたので、それがどこか日本的であり、仏教の教えにもあったりするから、豊田監督さすがだなと。「狼蘇山(おおかみよみがえりやま)シリーズ」の集大成として、SFや宇宙を持ってくるアイデアはとても素晴らしいし、おもしろいと感じました。
――豊田利晃監督とは何度もご一緒されていて、映画では『全員切腹』以来のタッグとなりますが、本作をとおしてあらためて気づいたことがあれば教えていただけますか?
【窪塚洋介】今回に限った話ではありませんが、豊田監督の作品で僕が演じる役のセリフは、いつも自分の言葉のように感じるんです。不思議とセリフが自然に口から出てしまうというか。それはきっと長年一緒に仕事をしていく中で、お互いを少しずつ理解してきた証でもあるのかなと、そんな風に思います。
――映画だけではなく舞台『怪獣の教え』でもタッグを組まれていましたし、お互いへの信頼関係が揺るがないものになっているからこそ、窪塚さんが自分の言葉だと感じるセリフを豊田監督は書くことができるのでしょうね。
【窪塚洋介】それはあると思いますし、豊田監督が表現したいことを、自分が一番体現できる立ち位置にいるという感覚もあります。というのも、俺が演じた狼介は修験道(山岳で修行することによって神秘的な力を習得し、自他の救済を目指す山岳信仰の宗教)なのですが、このキャラクターを作るきっかけになったと思われるのが、豊田監督に紹介した奈良の吉野山にいる俺の友人なんです。板尾創路さんが演じた高嶋博士も実在の人物で、その方も俺が豊田監督に紹介していて。
――狼介と高嶋博士のモデルは窪塚さんのお知り合いの方だったのですね!
【窪塚洋介】気がついたら俺のコミュニティの中に自然と豊田監督がいましたね。共有しているコミュニティや世界が近くなっているからこそ、豊田監督が書いたセリフをまるで自分が書いたもののように感じることができるのかもしれません。豊田監督はご自身が体験したことを作品に落とし込む人なのですが、劇中で狼介が高嶋博士に『かばけん、かばけん』と言うシーンは、豊田監督のお兄さんが入院していた時に実際に言った言葉だと聞きました。
『かばけん』が何を意味していたのかわからなかったそうですが、豊田監督の中では『カムアゲイン』だったんじゃないかと、そう解釈したらしくて。そんな風に実体験を元にした作品作りをされているので、SFや宇宙という要素が盛り込まれていたとしても、不思議とリアリティを感じさせられるんですよね。
狼蘇山シリーズの集大成の本作は「次元を超える体験ができる映画になっている」
――孤高の修行者・山中狼介の背景は劇中ではあまり描かれていないため、過去を想像しながら拝見しました。窪塚さんはどんな人物だと捉えて演じられたのでしょうか?
【窪塚洋介】現場で豊田監督と話していたのは、“狼介と芋生悠さん演じる野々花との過去パート”で狼介の言っていることが1回目と2回目で違うのはマルチバースのような世界を表現しているからなんだと。どっちが本当でどっちが嘘かみたいなことではないんですよね。なんなら狼介は山中狼介であり窪塚洋介でもあるという感覚で演じていたところがあります。
――そこも含めてマルチバース、またはパラレルワールドの世界を劇中で描いていると。
【窪塚洋介】そうです。今いる現実は自分が主演として山中狼介を演じている世界線だけど、違う世界線では俺自身が狼介みたいな生き方をしているかもしれない。そう考えながら演じたからこそ、最大のエネルギーを役に注ぐことができたと思っていて。タイトルのとおり“次元を超える”作品なので、公開後は観た人が好きなように捉えてくれればいいのかなと。
例えば、人気アニメの『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』は説明過多ではないからおもしろいと俺は感じているんです。“説明しない=視聴者や観客を信じている”ということなので、それが作品のおもしろさに繋がっているのだとしたらすごくすてきだなと思います。
――本作は「狼蘇山シリーズ」の集大成と言われていますが、ほかの作品との繋がりは劇中では明確には説明されておらず、観客に委ねているところがありますよね。
【窪塚洋介】まさにそうですね。公開された順番は『狼煙が呼ぶ』(2019年)、『破壊の日』(2020年)、『全員切腹』(2021年)ですが、実は『全員切腹』、『狼煙が呼ぶ』、『破壊の日』、そして『次元を超える』が過去、現在、未来という時系列になっているんです。
『全員切腹』で俺は侍を演じていましたが、『破壊の日』では修験者を演じていて、それが結果的に『次元を超える』に繋がっているような、繋がっていないような…そこは観た方に委ねますが(笑)、俺だけじゃなく松田龍平くん、渋川清彦くんなどシリーズに出演していた俳優が本作でもさまざまな役を演じているので、想像力をかき立ててくれるおもしろさはあるのかなと。無限に世界が広がっていくシリーズなので、考察好きの人にもおすすめですし、シリーズの3作品を配信するという話も出ているので、ぜひこちらも合わせて楽しんでいただきたいです。
――シリーズ全作を観終わってから友達と感想を語り合うのもおもしろそうですね。
【窪塚洋介】映画って、一緒に見た友達やまったく知らない人と同じ世界観を共有できるのがいいですよね。俺が出演した『フロントライン』は、新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」の実話を基にしていますが、観客は映画を観ている最中に、この船に乗っているような感覚になり、自分も登場人物の一人になってしまうかのような体験ができる作品なんです。そして本作では、観る人それぞれが持つインナースペースみたいなものと、豊田監督の中にある宇宙が合体するような感覚が味わえるはずなので、“次元を超える体験”ができる映画になっていると思います。
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