【たかつきDAYS】メイド・イン・高槻。

関西ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

 高槻には、時代と共に移り変わるものもあれば、変わらずに作り続けられるものもある。そんなこのまち生まれの銘品を、じっくりと探してみた。

壽酒造の仕込み蔵。富田の酒は寒造りが基本。10月下旬から3月にかけて仕込みの最盛期を迎える


歴史深き銘醸地、高槻富田の酒造り


池田、伊丹と並ぶ「北摂三銘酒」の一つに数えられる銘醸地・摂津富田郷。富田台地に産する酒造りに適した良質米と清らかな伏流水の恵みを受け、丹後・丹波・但馬の農閑期の労働力を背景に、江戸時代に大いに発展した。江戸にも聞こえた「富田酒」。最盛期には24軒の酒蔵が軒をつらねたというこの地には、今もなお、その歴史と伝統を受け継ぎ、地酒の味を守り伝えている2軒の酒蔵がある。

【写真を見る】江戸時代から使われている醸造用水の井戸


まず訪れたのは、創醸1822年の「壽酒造」。この酒蔵で杜氏を務める富田祐介さんに、富田の酒造りについて聞いてみた。「日本酒は、お米の醸造酒。原料となる蒸し米、麹、水を3段階に分けて仕込むのが昔ながらの手法です。1日目は添え(そえ)、翌日は酵母をゆっくり増殖させるためのお休み。3日目には添えの倍量を仕込む仲(なか)。そして最後の4日目がさらに倍量を仕込む留(とめ)。4日間かけて、だんだん仕込む量を増やしていきます」。

蔵人による仲仕込みの様子。蒸した米を冷まし、低温でじっくり発酵させるから、酒造りは外気が冷たい冬が最適


一般的な清酒であれば17~18日間、大吟醸クラスになると35~40日ほどの発酵期間を経て新酒が誕生するという。こうして冬に仕込んだ酒は、春先に火入れをして貯蔵。そこから熟成が始まり、夏を越し、秋が近付くにつれて角がとれてまろやかになり、仕込みから約1年を経て飲みごろを迎える。「富田の酒は、水がいいんです。酒造りに適した中硬度の水質で、米をしっかり発酵させるからキレがよく味わいが深い」と富田さん。米の味がしっかりのった、高槻が誇る伝統の味がここにある。

趣深い看板が蔵の目印


これまでもこれからも高槻の地で愛される酒を


寺内町として発展し、江戸時代には酒造の町として栄えた歴史を刻む、富田地区の風情ある小路。歩み進むと現れる焼杉が美しい日本家屋。ここは、創醸1856年の「清鶴酒造」だ。「富田酒の伝統を守り、量産を図ることなく、手づくりによる酒造りを地道に続けています」と語るのは、6代目蔵元の石井清祐さん。

新酒の誕生を知らせる軒先の杉玉。つるされたばかりのころは青々としているが、時間の経過と共に色を変え、熟成具合を知らせる役割も果たす


江戸時代の酒造りを踏襲し、仕込みが始まる季節になると、但馬(兵庫県北部)より杜氏を迎えるのが、現在も続く習わし。

仕込みが始まると活気付く蔵内。桶がタンクに変わっても酒造りに対する想いは今も昔も変わらない


酵母の働きで育てるように醸かもす日本酒はいわば生き物。米のできも天候に左右されるため、毎年変わらぬ品質を保つのは至難の業であるからこそ、杜氏の豊かな経験と職人気質が生かされる。

発酵を終えたもろみを酒と酒かすに分ける作業。昔ながらの袋搾りで行うことで、ふくよかな味わい深い酒に仕上がる


時代と共に変わるニーズに呼応しつつも流されすぎることなく、少量でも多彩な酒を仕込めるのが地酒の強み。160余年もの長きにわたりこの地で酒造りを続けてきた酒蔵には、地元への愛と誇りが満ちていた。

酒の主原料である米麹が味の決め手 蔵のある風情ある町並み


【関西ウォーカー編集部/PR】

この記事の画像一覧(全8枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

花火特集

花火特集2025

全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!

CHECK!全国の花火大会ランキング

CHECK!2025年全国で開催予定の花火大会

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る