【連載/ウワサの映画 Vol.12】主演2人が渾身の演技!”奇跡”ってほんとにあるんですね(感涙)…
東海ウォーカー
ひねくれちゃってる私は、正直なところ”ベタなラブストーリー”がとっても苦手です。当然、ウェディング写真が放つ幸せ満点感がまぶしい「8年越しの花嫁 奇跡の実話」にも、「ホレたハレたのそれ系なんじゃないの~?」と疑惑の目…。でも「実話なのかぁ」「瀬々監督なのかぁ」と何かと惹かれる点もあって見始めたわけなんです。そうしたら…、まぁ不覚にも、早々に目頭が熱くなっちゃって、最後の最後までウルウルしっぱなし!ラブストーリーの域を軽く超えた、見応えある人間ドラマにすっかり引き込まれておりました…。

本作は、岡山在住の実在のカップルをモデルにしています。結婚式を間近に控え、突然、重い病を発症し心肺停止状態に陥ったヒロイン・麻衣(土屋太鳳)。一命をとりとめるも昏睡状態となった彼女を、恋人の尚志(佐藤 健)が懸命に看病します。「ずっとこのままかも…」と考えた麻衣の両親に「もう麻衣のことは忘れてくれ」と言われても、ひたすら回復を願い病院に通い続ける尚志。2年以上がたち麻衣は目を覚ましますが、なんと、記憶障害により尚志の記憶を失くしており…。度重なる試練に翻弄されながら、結婚を誓ってから8年の歳月を経て、2人はついにゴールインを果たすのでした。…この信じがたい出来事のすべてが実話なのですよ!そりゃあ、重みが違うってもんです。

「さぁ、ここで泣け~!」といった”いかにも演出”で姑息にあおったりもしないし、お涙ちょうだいな作りではないところがいいんです、この作品。劇場映画からドキュメンタリーまで守備範囲の広い瀬々監督が、今作ではドキュメンタリー的な堅実な演出を取り入れて、真摯に、淡々と一瞬一瞬を積み上げていきます。そこに映し出される”リアル”に、感情を強く揺さぶられる…。さまざまな人がさまざまな場面に自分を重ねて、グッときちゃうはずですよ。

W主演の佐藤 健&土屋太鳳が、それぞれ難しい役どころに挑み、”見たことのない顔”を見せてくれている点にも注目です。まず太鳳ちゃんですが、病を発症した際に半狂乱になる姿や、無意識に身体の一部が動く症状を伴う昏睡状態など、時には特殊メイクもして重い病を体現します。さらに、記憶が消えてしまった”知らない恋人”との関係性に苦悩するという、内面を掘り下げた演技も見事!天真爛漫な女子高生役などの印象が強い彼女が、一転、大人の女性をシリアスに演じきり、女優として数段の成長を遂げています。

アクション系のイメージがある健くんは、”愛の権化”とも言うべき、確固たる意志を秘めた青年を静かに演じます。自分のことよりも、眠り続ける恋人、自分のことがわからないと言う恋人のことを第一に考える姿を繊細に演じ、”揺るぎのない愛”の存在に説得力を持たせました。麻衣が昏睡状態になってからは、感情を抑えた本心が読みづらい演技が続きましたが、同じ時期に、眠る麻衣と自分を撮り続けた動画が流れる終盤になって「こういうことだったのかー」と納得&感動!その動画の中には、とびっきりの笑顔を炸裂させて恋人に語りかける健くんがいるんです(涙)。”恋人だけに見せる顔”のなんと優しく幸せそうなことか…。記憶がなくても、「自分を愛してくれている」ってことが一目瞭然のあの表情を見たら、何度でも恋してしまうに決まってる~!

観終わった後、”愛”が持つ底知れぬパワーについてまじまじと考えさせられましたねぇ。家族というテーマもていねいにすくい取っていて、自分の周りのあらゆる”大切な人”に想いを巡らせる機会となりました。もろもろの感想を集約すると「あ~、一度でいいから、あんなにも愛されてみたい…」の一言に尽きちゃうんですけどね(笑)、これが女子の総意に違いありません!【東海ウォーカー】

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生」(18年1月13日公開)のコスティア・ウルマン!
おおまえ
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