熊野古道で立ち寄りたい!和歌山“移住組”が営むナチュラル系古民家カフェ3選

東京ウォーカー(全国版)

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世界遺産の和歌山県・熊野古道の中でも人気なのが、「中辺路(口熊野、田辺〜熊野本宮大社)」、いわゆる“ゴールデンルート”といわれるコースだ。国内外から多くの人が訪れる場所だが、その古道沿いに、県外から和歌山へ移住してきた方々によるカフェが続々オープンしている。地元食材を使った料理の数々は、味も抜群でとてもヘルシーだという。

全国に3000社ある熊野神社の総本宮、熊野本宮大社の大鳥居


熊野本宮大社脇の熊野古道


米と和風ダシを使ったハンバーグが絶品!優しい味に癒される「小鳥の樹」


●田辺市中辺路町

築130年を超える古民家の中にある。近所には、熊野参詣道のひとつとして有名な「近露王子」がある


南紀白浜空港からレンタカーを借りて2時間ほどで、中辺路町の「小鳥の樹」が見えてくる。オーナーの正田健志さんは、もともと東京都三鷹市で5年間同じ名前の店を営んでいた。でも東京時代はなんとなくその生活に疑問を抱えていたとか。

「今と同じようなメニューを作っていたのですが、店に搬入された材料で、右から左に料理を作っているような感覚がありました。あまりにもシステマチックで、これでいいのか…?と。妻が和歌山の出身だったので、『じゃあ、移住して、お米は○○さん家のもの、野菜は○○さん、ハーブは○○さんと、作っている人の顔が見える料理を作りたい』と思ったんです」。

ともあれお腹が空いた!看板メニューのハンバーグ、そして紀州うめ鶏とマカロニのクリームグラタンをランチに選ぶ。

珍しいジビエのハンバーグ900円。小鳥の樹オリジナルのソースも美味


ハンバーグは鹿肉のジビエで、つなぎに卵を使わず米を使うのがポイント。さらに鹿児島県産の本カツオと羅臼産の昆布でダシをとって、野菜と一緒に旨みに使う。ジビエといえどまったくクセがなく、胃もたれしない優しい味。付け合わせの野菜も素材の味が濃い!

紀州うめ鶏とマカロニのクリームグラタン。卵不使用。850円


一方のグラタンは、ベシャメルソースにハンバーグと同じダシを入れているので、しっかりとした味わい。使われている鶏は、紀州梅入りのエサを食べているということで、とてもヘルシーだ。柔らかくてジューシーだから、ゆっくり噛んで、じっくり味わいたい。

スタイリッシュすぎる古民家で野菜ランチ。手作りパンを求めて客が訪れる「田舎ごはんとカフェ朴」


●田辺市中辺路町

里山の見事な景色に囲まれたお店。店先でもランチできる


「小鳥の樹」から車で10分。中辺路にあるカフェの中では、知らない人はいないほどの有名店が「田舎ごはんとカフェ朴(ぼく)」だ。オーナーは、地元中辺路町近露出身の中峯幸美さん。大阪で飲食業に携わっていたが、自身が作った野菜を調理して提供する店をいつか開きたいと思っていた時、偶然にも出会ったのが築100年の古民家。

廃屋に近い状態だったが、一からリノベーション。各所で譲ってもらったアンティーク家具を配置して、スタイリッシュなカフェに作り上げた。なんと今年で開店10周年。2人のお子さんを出産しながら、ここまで続けてこられたのは、本当に立派!

さてさて、一番人気の玄米ご飯のプレートランチをいただく。

玄米プレート1300円。車ふのカツ、ブロッコリーと昆布のナムル、ニンジンの葉入りの卵焼、大根と柚子の酢のものなど。黒米入りの玄米と自家製味噌のみそ汁付き。


Iターンで就農している方や、近所のおじいちゃんおばあちゃんの畑から買った旬のオーガニック野菜がてんこ盛り。もちろん自分の畑で作った野菜もある。さらに中峯さんは天然酵母パンやケーキも手作りする。ドイツ風の大きな田舎パンもお手のものだ。

中峯さん手作りの玄米酵母パンの数々


「いろいろなジャンルの食を手がける飲食会社に勤めていたので、何でも作れるようになりました。うどんも打てますから、飽きたらうどん屋さんでもやろうかな(笑)」と中峯さん。

店名の由来は「素朴」の朴。カフェの中に流れるゆったり時間は、田舎ならではと言ってもいい。さらに自分ができることをコツコツ地道に積み重ねていく中峯さんのキャラクターも反映されているのでは?

ちなみに、周辺の宿に素泊まりした場合は、要予約で夜のコースも堪能できる。ランチだけでなく、ぜひこちらもお試しあれ!

大家族が千葉から移住、何もない山奥でカフェを始めました!「縁ga環cafe」


カフェのエントランス。前からあった農具も再利用。手作り感満載だ


最後に紹介するのは、熊野本宮大社から車で30分、何もない山奥で、週末カフェを2年前ほどから始めた内山清市さんと始希さん夫妻。「縁ga環(えんがわ)cafe」のオーナー・清市さんは埼玉県生まれ、一時期は東京・渋谷で暮らし、その後サーフィン好きが高じて千葉の九十九里浜へ。

その頃の清市さんは水道工事に従事し、朝早く出て夜中に帰ってくる、という激務で、子供たちと過ごす時間がほとんどなかった。移住のきっかけは2011年の東日本大震災。その2年後に清市さんは仕事をやめた。

「あの震災は本当にショックでした。人生とか、生きることを真剣に考えて、残りの人生は好きなことをやろうと決めました。アルバイトしながら始めた自然農の田んぼでとれたお米がおいしくて、みんなにも食べてもらおうと思ったんです。

そのうち千葉の自宅でカフェをやり始めました。でも山も川もある、自然が豊かな場所で子育てしたいという気持ちが強くなって、妻の故郷の和歌山に移住することになりました」。

熊野川町の空き家を1年ほどかけて自分たちで修理し、納屋をカフェに改装。

カフェのカウンター。漆喰の壁は自分で塗り、デコレーション。棚なども全部手作り


料理上手な始希さんがメインで食事を作る。米や雑穀を中心に、自分たちで作った自然農の野菜、豆類、海藻を使う。肉、魚、卵を使わない、心身に優しいメニューだ。清市さんも自家製酵母のピザやパンを作り、自家焙煎のおいしいコーヒーをいれてくれる。

ランチプレート1080円。野菜は自然農で自分で作ったもの、地元のオーガニックのものが中心。砂糖は使わず、調味料は、伝統的な製法の塩や味噌だけを使う。素材本来の味を堪能できる


舗装道路の終点、こんな山奥にあるのが珍しいせいか、カフェには地元の方以外にも、新宮市街地や三重県からやって来る。

「物欲はもともとないし、カフェの次にゲストハウスも始めたので、夫婦二人、子供5人で生きて行くには十分です」とのこと。都会の生活にもう戻ることはない断言する清市さんと始希さん。ナチュラリストのご夫妻の話もなかなか興味深いので、興味がある方はぜひここへ!

取材・文=東野りか、水島彩恵

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