幕末ミステリーリサーチ File01【近藤勇の胴体を追え!】#02 首のない骨
東京ウォーカー
2018年は明治維新150周年! 世の中に幕末維新ネタが増加中の今、詳しい人もそうじゃない人も一緒に幕末維新を楽しみたい! という思いで結成されたのが【ボクらの維新通信社2018】。幕末好きの俳優・声優・歴ドルたちが集まり、Web記事や動画などあの手この手で幕末維新をおもしろがる情報を発信中です!
前回までのあらすじ 〜BMR出動!〜

「幕末ミステリーリサーチ」通称“BMR”。【動画※1】
ボクらの維新通信社2018内で特にアクティブ、かつ謎好きの面々が発足したサークルである。「幕末の謎に体当たり!」を合言葉に、史跡や事件の現場、ミステリーネタを調査して、その先にあるさらにおもしろい幕末をみなさまにお届けすべく奮闘中だ。
前回、調査テーマを決める作戦会議で、河童だ、UFOだ、いや待てディアナ号沈没事件だ、ノンノン怪力力士だ、とインパクトだけの提案が飛び交った末、ようやく導き出されたのが「近藤勇の胴体を追え!」。慶応4年(1868)4月25日に処刑された元新選組局長・近藤勇の胴体は、どこに埋葬されたか!? 処刑場に近い東京板橋という説と、近藤の故郷である東京三鷹の2つの説があるという。近藤勇が眠るのは板橋か、三鷹か。BMRは初回にふさわしい大ネタの調査に飛び出した!
すったもんだの作戦会議の模様は◆File01【近藤勇の胴体を追え!】#01 https://news.walkerplus.com/article/129389/
東京板橋:寿徳寺境外墓地に近藤は眠る?

BMRがまず向かったのは、東京板橋の寿徳寺境外墓地。ここは、下総の流山で投降・捕縛された近藤勇が斬首された刑場のすぐ近く。また江戸に攻めのぼってきた東征軍が陣を構えた板橋宿からもほど近い。隊員たちは日頃蓄えた知識に加えて、現場に向かう車中でも下調べをしながら推論をぶつけ合った。その結果、新選組推しの桜丘真衣隊員と龍馬大好きのマペヲ隊員が(なぜか)板橋説を主張。隊長である僕ロバートだけが、近藤さんは三鷹に眠っていると主張した。さあ、ここに近藤勇の胴体をめぐる推理合戦が幕を開けた!
出てるんです、首のない骨が!~板橋派・真衣隊員の主張

「昭和3年に墓跡の改修工事が行なわれてまして、その時に出てるんですよ、骨が! しかもちゃんと首のない骨が!」
近藤勇埋葬当初の墓石を前に、真衣隊員は嬉々として語った。事情を知らなければ異様な光景である。なんだよ「ちゃんと」首がないって。ロケの最中には何人も墓参に見えた方がいて、このくだりもバッチリ見られちゃってたと思う。ともあれ、真衣隊員はいくつかの本をもとにこの話を披露してくれたが、昭和48年の『歴史読本8月号』(新人物往来社)の回顧録『近藤勇の骨は私が拾った』記事にもこのことが載っている。
でもこの境外墓地の近くには刑場があったんだから、斬首された別人の骨が出てきてもおかしくないんじゃない? しかしロバートの反論を予想してか、真衣隊員は畳み掛けてくる。
「その胴体の骨なんですけど」と右肩を指しながら、
「右肩に傷があったんです」
なんですとぉー!! 動画でも語っている通り、右肩といえばかつて近藤が狙撃された部位。新選組から分離した元参謀・伊東甲子太郎を京の油小路で暗殺した後、その報復に伊東の同志に撃たれたのが右肩だ。三鷹派のロバートとしてはピンチである。その証拠にカメラには映っていないが膝にダメージがきているのを笑いでごまかしている。さらに、マペヲがこれでトドメだと言わんばかりに語り出した!
かがり火で厳重な警備!~板橋派・マペヲ隊員の推理

通説では、近藤処刑の後、甥の勇五郎が板橋の埋葬地から遺体を掘り出し、故郷の三鷹・龍源寺に持ち帰ったとなっているのだが、それをマペヲがギョロ目で遮る!
「土地の古老の話だけども、当時官軍に村の若い衆が命じられて、近藤勇の墓、荒らされて、身体を盗まれないようにって、夜もかがり火つけて昼夜、番をしてたっていうんだから!」
興奮のあまりカタコトになるマペヲ。たしかにこの話も、新選組研究で知られる作家の赤間倭子氏が『歴史と旅』(秋田書店)の新選組増刊号に書いている。赤間氏は処刑前の近藤を預かり、手厚くもてなした土地の旧家に取材し、古老から「かがり火」の話を聞いている。古老は、官軍の命令で村の人々が交代で近藤の遺骸を見張っていたから、掘り返すことは不可能だったと言った。つまり、今も近藤はこの地に眠っていることになる……。
でもロバート負けないもん。その一方で、近藤の甥の勇五郎は見張りにお金を渡して掘り返し、三鷹に運んだと語り遺している。その額30両! 現代に換算すれば(計算方法にもよるが)ざっと120〜600万円! 村の若い衆もコロっといきそうに思うが、この記事を書くにあたって調べ直したところ、警備は村の要職クラスが担当したらしいので、ちょっと怪しくなってきた……マペヲが「若い衆」って言ったから~。でもでも! 勇五郎がおじさんの遺体を掘り返しに行ったことは、次の三鷹編で重要なポイントなるから覚えておいてほしいのだ!
「一緒に眠りたい」永倉新八の想い
「見てもらいたいものがあるんで」。新選組が好きすぎる女、真衣隊員が境外墓地内にある永倉新八の墓に一同を誘導する。永倉の墓は北海道の小樽のほか、東京板橋のここにもある。
「わざわざここに分骨頼むっていうことは、ここに近藤さんが眠っているからこそ、一緒に眠らせてくれって意味で分骨を頼んだんじゃないですか!?」
その言い方はズルい。証拠も論拠もない実にズルい攻め方だが、そう思いたいファンの愛はわかる。マペヲに深堀りされなくて三鷹派のロバートとしては幸いだったが、ここに近藤の墓が建てられたのは明治9年(1876)。近藤の処刑から時間が経ち、旧幕府関係者の罪が許されたり、怨讐もゆるみ始めた時期だから、永倉が「板橋に近藤が埋葬されている」あるいは「埋葬されたまま」だと知っていた可能性は高い。チクショ~。
でも! 板橋だけでこの調査の結論は出せない。公平に三鷹にも行くのだ~!
とは言っても寄り道もするぞBMR!
と、その前に。寿徳寺の境外墓地は他にも碑や見どころがある新選組ファンにとってのワンダーランド。欲望の赴くままにBMR隊員たちは他の史跡もから見て回った。


スペースは広くないが、右を見ても左を見ても新選組ファンなら興奮必至のスポットだらけの境外墓地。真衣隊員は勝手に石碑レポートを始めるし、マペヲ隊員は近藤勇像を前に思いの丈を語り出す。
「龍馬ファンとしてはさ、悪役でいてほしかったんだよ。でもさ尊王って思いはさ、一緒なわけじゃん」
幕末の人みんな根っこは尊王だった。当たり前じゃーん。常識じゃーん。とツッコミたいが、ピュアなマペヲにそれは言えなかった。

どんな事情か、刀を折られた近藤さんの像を見て、「幕末史跡を大切に!」と呼びかけた一行は、像の裏のファン交流ノートをたっぷり楽しみ、メッセージを書き込んだ。近くの人、新選組が好きな人はぜひ見に行ってほしい。「BMRのメッセージを見たよ、返事書いたよ」なんて人がいたら、我々維新通信社の公式twitterにひと言ください。ボクら見に行きます!
【ボクらの維新通信社2018】公式ツイッター
https://twitter.com/bokura_bakumats
次回予告! 三鷹で炸裂、暗夜の推理!?
板橋では首なしの骨、しかも右肩に傷、遺体が厳重に警備されていたことが明らかになった。結論は板橋寿徳寺境外墓地に落ち着くのかッ!? このままでは三鷹派はヤバい。もっとヤバいのは陽が暮れ始めたこと。楽しすぎてここにいすぎた! ますます白熱するBMRの推理合戦は、夜の三鷹に舞台を移す!
次回BMR「三鷹派の大胆推理」にご期待ください! <#03に続く>
動画の※印解説!
動画※1【BMRとは?】 幕末維新の歴史を、謎や疑問の観点から見て、調査して、時々想像して楽しもうというサークル。俳優や声優、歴ドルのかたわら、【ボクらの維新通信社2018】として幕末のおもしろをあれこれ発信しているメンバーたちが結成。今回の3人以外にもメンバー増加中。
動画※2【永倉と松本順】 西洋医学を学び、徳川家茂の主治医でもあった松本良順(維新後、順に改名)は近藤勇とも親交があった。新選組隊士の治療や診察、屯所の衛生管理に助言もする仲。鳥羽伏見、甲州勝沼の戦いの後、新選組の生き残りが会津で戦うための軍資金を用立てたのも良順センセイ。そしてそのお金を受け取ったのが永倉新八だった。維新後に永倉が剣術道場を開く際にも、良順センセイは協力している。
動画※3【名前が逆】 近藤勇の諱は「昌宜」。しかし板橋の石に刻まれた文字は宜昌……逆なのだ。真衣隊員は「業者のミス」だと切り捨てているが、そもそも諱とは真名とも言われて他人においそれと教えるものではなかった。だから永倉たちもよく知らず、素で間違えた可能性もある。手記や語り遺しでも新八っつぁんいろいろ間違えてるしなあ。沖田の死没地とか。と思うのは隊長ロバートの勝手な意見ですので異論は認めます。
【ボクらの維新通信社2018/ロバート・ウォーターマン(KUROFUNE-United)】
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