悲報! 西郷さん、一度死んでいた!!

東京ウォーカー

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明治維新三傑の一人、徳川幕府を倒した男、東京上野の銅像でも有名な西郷隆盛は一度死んでいた! と言ったら驚く人もいると思いますが、ホントの話です。鹿児島県鹿児島市吉野町、対岸に桜島を望む国道10号線沿いに西郷隆盛蘇生の家がひっそりと建っています。「蘇生」ですから一度死んでいたんです。

幕府の第14代将軍に徳川慶喜を推したため、徳川家茂を推していた井伊直弼に睨まれてしまった「勤王坊主」月照さん。


安政5年(1858)夏から始まった安政の大獄で、徳川幕府に反抗的な志士が弾圧されるようになると、西郷さんの身にも危険が迫りました。同志で京の清水寺成就院の住職・月照にまで幕府の追っ手がかかり、西郷さんは二人で薩摩へ逃れることにします。

ところが幕府の追及を恐れた薩摩藩は、月照を隣国の日向へ追い出して、藩境で処刑することに。月照を見殺しにできない西郷さんは、ついに自殺を決意し、安政5年11月16日夜、鹿児島から日向へ向かう船の上で、二人は錦江湾に身を投げました。

同船していた筑前の思想家・平野國臣の救助で二人は陸へ運ばれますが、それもむなしく月照は絶命。西郷さんも死線をさまよい、土地の人の一ヵ月もの長きわたる介抱の末、奇跡的に息を吹き返したのです。吹き返す前の息は止まっていますから、ここで死んでいました。

海沿いを走るJR日豊本線の線路のわきに、ひっそりと佇む西郷隆盛蘇生の家。


かつて、敬慕していた藩主・島津斉彬が急死した時、後追い自殺しようとする西郷さんを思いとどまらせたのが月照でした。その恩を返すどころか、月照一人を死なせてしまった無念、はからずも約束を破ってしまった不義理、同志を見捨てた藩への怒り……。様々な思いが西郷さんの胸中を駆けめぐったでしょう。

どうしても自分を許すことができなかった西郷さんは、ついに自らを「土中の死骨」と考えるようにしました。「死んだ骨」と言っているし、埋葬もしてしまったので、やはり亡くなっています。こうして自分を死なせることで、一旦リセットし、やり直そうとしたのでしょう。

蘇生の家近くにある月照上人遷化之碑。西郷は「むなしく幽明を隔て墓前に哭す」と詠み、独り生き残ってしまった無念をにじませている。


文字通り生き返った後の西郷さんは、二度の島流しに遭ったり多くの仲間が非業に倒れても止まることなく、ついに徳川幕府を倒します。ところが維新後の西郷さんは立身にも出世にも興味を持たず、郷里の鹿児島に隠棲。明治新政府の要請で東京に出てきても、まるで抜け殻のような日を送り、「西郷は死ぬのではないか?」と親しい者に危惧されることすらありました。

その理由は、強い厭世観だとも、急速に欧米化する明治新政府と相いれなかったとも、栄達して汚職に染まる志士仲間への嫌悪とも、様々に分析されています。しかし西郷さんには、月照とともに目指した幕府政治の改革、その果ての倒幕維新を成し遂げた後はおまけで、あの時自分は月照とともに死んだのだという思いがあったのかもしれません。

豪快で陽気、鷹揚なイメージの中に、繊細で緻密、脆さが同居する不思議なキャラクター。


【ボクらの維新通信社2018/大葉二郎(サツマニア)】

土井祐希

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