Spotifyが2025年の音楽ランキングを発表!日本一再生されたMrs. GREEN APPLEが「令和にバズる」理由とは?
東京ウォーカー(全国版)
世界で7億1300万人以上が利用するオーディオストリーミングサービスのSpotifyが、音楽やポッドキャストなどの今年のリスニングデータから2025年を振り返る各種ランキングを発表。2025年12月3日に開催された「Spotify年間ランキング メディア向け先行説明会」に、スポティファイジャパン 音楽部門企画推進統括の芦澤紀子さんと、音楽ジャーナリストの柴那典(しば・とものり)さんが登壇し、「ランキングから見る2025年の音楽傾向」についてコメントした。
「2025年に国内で最も再生された楽曲」として、TOP10にランクインしたのは、1位「ライラック」(Mrs. GREEN APPLE)、2位「ケセラセラ」(Mrs. GREEN APPLE)、3位「青と夏」(Mrs. GREEN APPLE)、4位「Soranji」(Mrs. GREEN APPLE)、5位「GOD_i」(Number_i )、6位「怪獣」(サカナクション)、7位「ダーリン」(Mrs. GREEN APPLE)、8位「クスシキ」(Mrs. GREEN APPLE)、9位「点描の唄」(Mrs. GREEN APPLE)、10位「Who」(Jimin)。
1位の「ライラック」は、昨年4月のリリース以来、安定して高い再生数を保ち続け、昨年の2位から1つ順位をアップ。Mrs. GREEN APPLEは2位、3位、4位、7位、8位、9位も合わせて計7曲がTOP10にランクインし、まさに“ミセスの年”を象徴する結果となった。
これに柴さんは「すごいことです!このランキングが始まってから、ここまで同じアーティストが上位を占拠するということはなかったと思います」と驚きの表情。芦澤さんも頷き、「そうですね。なかでも1位『ライラック』は、年間を通して聴かれ続けてロングヒットになっていますね。以前からあるものも今年リリースしたものもランクインしていますから、Mrs. GREEN APPLEは本当に幅広い楽曲が聴かれているんですね」と同調した。
そして柴さんは「彼らは、デビュー10周年ということも踏まえると、本当に華々しい活躍ぶり。グループとしての音楽活動のみならず、メンバーそれぞれが俳優・番組MC・CM・映画など多方面で活躍していますし、全国アリーナツアーも圧倒的なスケールの演出力と物語性がSNSで話題になりました。7月の山下ふ頭の野外ライブでもあらためて思いましたが、彼らを見ていると、バンドのライブをしているというよりは、テーマパーク、夢の王国を作っているという感じ。音楽という領域を超えて、エンタメとして、異常なくらいの活躍を見せた1年だったと思います」と続け、「ちなみに彼ら自身はこの状況をどう思っているかというと…。実は、以前のインタビューで『これほどMrs. GREEN APPLEが音楽シーンを席巻している状況についてどう思うか』と、大森元貴さん((Vo/Gt)に聞いたところ『こんなことあっていいのかな?みたいなことも思いますよ。チャートとか見て引きます。これは日本の音楽業界的にあっちゃならないことだと思っているんで』という言葉が返ってきているんです。それを聞いたときにリアルでおもしろいなと思いました」と、振り返っていた。
今回は「2025年Spotify年間ランキング」の結果を深掘りすべく、説明会のあと、芦澤さんと柴さんに、より詳しい話を聞いてみた。
――先ほど、『2025年に国内で最も再生された楽曲』のTOP10に、Mrs. GREEN APPLEの楽曲が7曲もランクインしてスゴイ!という話になりましたが、中心となっているファン層はどの辺りだと思われますか?
【芦澤】“国民的アーティスト”になっているので、データで見ると、どの年代にも聴かれているということになります。そんななかで、もう少し数字を追うと、25~34歳が最も多く、次いで18~24歳となっていますが、その前後もわりと均等に聴かれていますね。数字の大きさがそんなに変わらないので、やっぱり全世代にまんべんなく聴かれているんだと思います。
【柴】本当に老若男女に聴かれていて、40、50代も聴いているんですよね。ちなみに、2020年7月の活動休止前に当たるフェーズ1のときは、おもに10代後半から20代に、ある種、青春のサウンドトラックとして聴かれていたというイメージ。『青と夏』や『点描の唄』などですね。若い世代のハツラツとしたバンド、というイメージだったんです。そこから、活動休止後のフェーズ2に入って、『Soranji』などが出てくると大人世代のファン層も増えました。それが、この人気の爆発につながったんだと思います。バンド自体もフェーズ1から2に移行したときにそうしたことは意識していて、計画的に音楽性も変えたのではないかなと思います。ビジュアル面でのプロデュースも含め、ダンスパフォーマンスなどの要素も入ってきましたしね。いわゆる“若い子たちが好きなロックバンド”という存在から、“全世代対応型のポップスグループ”に脱皮したのがフェーズ2。その動きがいよいよ実を結んだのが2025年かなと思います。
――今回、Mrs. GREEN APPLEが1位に輝いた「国内で最も再生されたアーティスト」のランキングのほかに、“今年新しく聴かれたアーティスト”として「国内で最も発見されたアーティスト」や、「国内で最も再生されたダンス&ボーカルグループ」のランキングなども発表されましたが、これらをもとにMrs. GREEN APPLE以外で、“今、押さえておくべきアーティスト”がいたら教えてください。
【柴】それでいうと、「国内で最も発見されたアーティスト」の1位になった、ガールズグループのHANAですね。今年ブレイクしていますがデビューしてから日が浅いので、数曲聴けばまだまだこの波に追い付けます!また、プロデューサーのちゃんみなも含めてブレイクしていますから、どちらにも注目したいですね。
――女性ファンの多さも目立っていますよね。
【柴】ちゃんみながオーディションを開始したときに、たとえば“ルッキズムにとらわれない”とか、“年齢や体重は不問”とか、そうしたメッセージを出したんですね。これまでのガールズグループのオーディションだと、足切りっぽくなっていた要素を『あえて問わない』ということを明示しました。これはエンパワーメントだと思うんですよね。いろいろな女性から、『私にもできる』『私にも道がある』という、共感を呼ぶきっかけになった。なので、HANAはグループのコンセプト自体にすごく共感を誘うものがあるなと思います。
【芦澤】「『NO』を突き付けられてきたあなたにチャンスがある」という、リスナーの自己肯定感が上がるメッセージ性があって、多くの女性たちに受け入れられたのではないでしょうか。
――そのほかにも“今、押さえておくといいよ”というアーティストがいたら教えてください。
【柴】timeleszですね。実は、timeleszもオーディション企画でメンバーが決定しているんですが、こちらもやはりオーディションの時点から“プロデューサー側の想い”とか、メッセージ性が感じられたんですね。HANAとtimeleszは、音楽の方向性は全然違うんですけど、そうしたプロデューサー側の意思や価値観が、リスナーの共感を呼ぶきっかけになったんだと思います。そして、それを知ることが、グループの“箱推し”につながっているんです。ただ、なんでもかんでもオーディションをやって人を集めればブームになるかというとそうではなくて、“どんな価値観を掲げてどんなメッセージ性でグループを作るか”ということで共感を得なくてはいけないので。形だけのオーディションではだめなんですよね。
ほかには、「国内で最も再生されたダンス&ボーカルグループ」で1位になったNumber_iにも注目したいですね。彼らは、ダンス&ボーカルグループの中では特殊な立ち位置で。いろいろなタイプの曲があるんですけど、MONJOE、Pecori…と基本のソングライターチームがいて、曲を作っている人がほぼ共通なんです。そして、Number_i自身も歌詞を書いたり、楽曲制作にかなりタッチしていて。すごくバンドに近いというか、クリエイティブなグループなんですよね。もちろん、彼らのキャラクターやパフォーマンス、ダンスも魅力的なんですが、僕たちみたいな立場から見ると、クリエイティブな部分も非常に興味深いグループです。
取材・文=平井あゆみ
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