恵比寿ガーデンプレイスにある醸造所「YEBISU BREWERY TOKYO」で特別なヱビスを味わえるツアーに参加してきた!
東京ウォーカー(全国版)
恵比寿ガーデンプレイスに足を踏み入れると、街の華やかなリズムのなかに知る人ぞ知るブルワリー(醸造所)がある。2024年4月にオープンしたYEBISU BREWERY TOKYO。1890年にヱビスビールが誕生したこの街・恵比寿で、ビール造りが再び動き出した。
ここは、ヱビスのルーツに触れるミュージアム、現在進行形の醸造を行うブルワリー、そしてここで造られたビールを味わうタップルームがひとつにつながる施設。過去を知るだけで終わらず、今造られているビールと向き合いながら、これからのヱビスを感じられる拠点だ。
今回は、この場所をより深く味わえるガイドツアー「YEBISU the JOURNEY」に参加。ヱビスの歴史を巡るミュージアムと、YEBISU BREWERY TOKYOで醸造されたできたてのビールの試飲を体験してきた。
BEER is HISTORY 恵比寿の街と歩んできた、ヱビスのこれまで
ツアーが始まると、まず案内されるのが恵比寿工場時代を再現した大きな模型の前。「ようこそヱビス・ザ・ジャーニーへ。本日は皆様を、新しいビールの楽しみ方を見つける時間へご案内します」。ツアーコンダクターの声が響くと、周囲のざわめきが少しずつ落ち着き、これから始まる時間へ意識が向いていく。
その流れのままミュージアムエリアへ進むと、正面のスクリーンにオープニング映像が映し出される。「まさに皆さんが立っているこの場所で、ヱビスは生まれました」。そんな言葉とともに、1890年にこの地に工場が建ち、本場ドイツから技術者を招いて本格的なビールづくりに挑んだこと、日本初のビヤホールを開き、黒ビールやプレミアムビールを広げてきたことがテンポよく紹介されていく。ヱビス専用の貨物駅が人々の足となり、その駅のある街が「恵比寿」と呼ばれるようになった経緯も、この映像の中で自然につながっていく。
映像を見終えると、今度は年表や写真に沿って歩みを追っていく。「こちらが発売当時のラベルです。どうぞ近くでご覧ください」。ツアーコンダクターのひと言をきっかけに、参加者は展示の前で足を止める。発売当初のヱビスがいかに特別な存在だったのか、どんな工夫で知られるようになっていったのかが、短いエピソードを交えながら少しずつ補われていく。
途中には参加型のクイズも用意されているが、内容や答えは現地でのお楽しみ。「ちょっと考えてみてくださいね」と促され、展示を進めるなかで、当時の資料と、今目の前にある景色とを行き来しながら想像を巡らせる時間が生まれるのも、このツアーならではだ。
やがて展示は、銀座に誕生した日本初のビヤホールや、海外の舞台で評価を受けたパリ万博へと続いていく。
「ここで、ヱビスは世界に挑戦します」
そう聞いて進んでいくと、当時の状況が少しずつ立ち上がってくる。国内ではビール税の導入によって多くの会社が姿を消し、厳しい時代を迎えていたこと。そのなかでヱビスが他社と手を組み、再出発を選んだことも、ガイドの言葉で自然につながっていく。
さらに進むと、空気は戦時中のゾーンへと移り変わる。「この頃は、好きな銘柄を選んで飲むことができなくなります」。すべてのビールが同じラベルに統一されていた時代を示す展示を前に、その背景を聞くことで、先ほどまでとは違った重みが静かに残る。
そこから視線を移すと、戦後に復活したヱビスのポスターや、「ヱビスビールあります。」のシンプルなビジュアルが現れる。その一角には小さなオルゴールが設えられていて、ツアーコンダクターが「では、少し音を聴いてみましょうか」と言いながらハンドルを回す。テレビコマーシャルでもおなじみのメロディが静かに流れ出し、「この音楽、JR恵比寿駅の発車メロディにも使われているんです。実は内回りと外回りで音の高さが少し違うんですよ」と教えてくれる。そんな話を聞いていると、ミュージアムを出たあと、駅で流れる音にも少しだけ耳を向けてみたくなる。
後半は、ヱビスと恵比寿の街との関係に焦点を当てた展示へ。「恵比寿」という地名が、ヱビスビールを運ぶために作られた専用の貨物駅から生まれたことが、写真や資料とともに紹介される。ブランド名がそのまま街の名前になった例は珍しく、ガイドの説明に思わずうなずく場面も多い。
工場敷地内に設けられた列車型のビヤレストランのエピソードや、街に溶け込んできた数々の取り組みをたどりながら、最後は現在の恵比寿ガーデンプレイスの模型へ。「ここが、工場があった頃の姿です」。そう言われて見比べることで、街が歩んできた時間をゆっくりと実感する流れになっている。
BEER is CREATIVITY 今、YEBISU BREWERY TOKYOで醸造されている一杯
ミュージアムエリアを抜けると、今度は視線が自然と足元へ向く。ガラス越しに見えてくるのは、ドイツ製の仕込釜が並ぶブルワリーエリアだ。ただ、ここで目にしているのは全体の一部にすぎない、とガイドが少し間を置いて教えてくれる。
「実際の醸造は、この下で行われているんですよ」。そう言われてスクリーンを見ると、映像は床の下へと視点を移し、地下に広がる醸造スペースがほんの一瞬だけ映し出される。丸いタンクが並び、パイプを通してビールが行き来する様子を垣間見るだけでも、この場所が今も稼働している現場だということが伝わってくる。
「地下には降りられないんですが、真下ではちゃんと発酵と熟成が進んでいます」。そんな補足を聞きながら釜の前に立つと、見えていないはずの空間まで想像が広がる。タイミングが合えば、釜のそばで作業をしている醸造家の姿を見かけることもあるという。原料に触れられるコーナーでは、麦芽やホップが並ぶ。ふたを開けると、まず感じるのはホップの香り。ただ、展示されているホップは時間が経っているため、本来のフレッシュな香りはもっと豊かなのだそう。
「ぜひ香りを嗅いでみてください」と声をかけられ、スプレーでホップの香りを再現したミストをひと吹き。すると、飲んだときの印象とはまったく違う、レモングラスを思わせるようなさわやかな香りが立ち上がる。「これ、売ってないんですか?」と聞かれることも多いというのも、思わず納得してしまう。
続いて、仕込釜の前でツアーコンダクターが工程をひとつずつ説明してくれる。まず指し示されるのは、向かって右側の釜。「ここでは、粉砕した麦芽とお湯を合わせて煮込み、麦のおかゆのような状態を作っています」。ビールづくりの最初の工程となるマイシェづくりは、見た目以上に重要な工程だという。次は左側の釜。ここでは、マイシェをゆっくりとろ過し、麦芽の皮などの固形物を取り除いていく。「ここでようやく、麦の汁と書いて麦汁になります」。ガイドの言葉に、ビールのもとが少しずつ姿を変えていく様子が重なる。
そして真ん中の釜では、その麦汁にホップを加えて煮沸していく工程へ。100度近い温度で煮立たせることで、ビールらしい苦味や香りが引き出されていくが、「この段階では、まだアルコールは入っていないんです」と聞くことで、ここから先の発酵工程によって初めてビールになるのだと理解でき、仕込みと発酵の役割の違いがわかった。
不純物を取り除いた麦汁は、このあと足元の地下3階にある醸造場へ送られ、酵母を加えて発酵の工程へ進んでいく。見えている釜の向こう側で、ビールが静かに育っていく様子を思い浮かべながら説明を聞く時間も、このエリアならではだ。1回の仕込み量はおよそ1キロリットル。「350ミリリットルの缶にすると、だいたい2850本分くらいですね」。そう聞くと、ここで仕込まれているのが、この場所でしか飲めないビールなのだと実感できて、どんな味わいなんだろうと想像がふくらんでくる。
ミュージアムで歴史をたどり、ここで現在進行形の仕込みを知る。この場所に立っている時間そのものが、少し特別に感じられてきた。
BEER is YOUR STORY BREWERY TOKYOだけの、特別な一杯を
ブルワリーを抜け、そのまま奥へ進むと、ツアー参加者だけが入れる特別なビアストーミングルームが現れる。
席に着きビールがそろうと、ツアーコンダクターから声がかかる。「それでは乾杯をしましょう。私が『乾杯』と言ったら、皆さんは『ヱビス』でお願いします」。そのひと言に合わせてグラスが上がり、「ヱビス〜!」と、自然に笑顔が広がっていった。
ここで提供されるのは、この施設のフラッグシップである「ヱビス ∞(インフィニティ)」。地下3階で醸造された、ここでしか飲めない一杯だ。「恵比寿工場時代に使われていたヱビス酵母を、もう一度選び直して使っています」。そんな説明を聞きながらグラスを見ると、さきほどブルワリーで見た仕込みの光景が自然と重なってくる。
さらに、創業当時に使われていたとされるドイツ産のファインアロマホップ「テトナンガー」を一部使用していること、当時をなぞるだけでなく、今のヱビスとして磨き直した味わいであることも、会話の流れのなかで添えられる。「通年で楽しめるビールなんですよ」と聞くと、この一杯が、この場所の軸になっていることが伝わってくる。グラスを傾けながら、質問があれば気軽にどうぞ、と声がかかる。ビールのこと、さっき見た設備のこと、気になったことを投げかけると、その場で答えが返ってくる距離感も心地いい。
テーブルには「ヱビス ∞」に合わせて用意されたナッツも並ぶ。「これ、売ってないんですか?ってよく聞かれるんですが、ここだけなんです」。そう教えてもらいながら口に運ぶと、ビールとの相性を考えて作られていることが、すっと伝わってくる。
タップルームは、スタンディングを含めて約110席。大きな説明がなくても、ここが“飲むための場所”だということは、自然と伝わってくる。「ヱビス ∞」と「ヱビス ∞ ブラック」を通年で提供。加えて、訪れる時期によって期間限定や数量限定のビールが並ぶこともある。ツアーに参加せずとも利用できるエリアだが、ツアーの最後にここへたどり着くと、ビールの見え方が少し変わる。
ミュージアムで過去を知り、ブルワリーで現在進行形の仕込みに触れ、その流れのままグラスを手にする。その一連の時間が、このタップルームでひとつにつながっていく。
タップルームを出た先には、ギフトショップも併設されている。ここでしか手に入らないYEBISU BREWERY TOKYOオリジナルのグッズが並び、ビールを楽しんだ余韻をそのまま持ち帰れるのもうれしいポイント。ちょっとしたお土産を探すのにもぴったりだ。
ツアー「YEBISU the JOURNEY」は事前予約制で、公式サイトから申し込みが可能。予約は3週間前の13時から受付が始まり、日によっては早い段階で埋まってしまうこともあるそう。特に土日祝は人気が高く、気になる人は早めにチェックしておこう。
ミュージアムやブルワリー、タップルームは入場無料で立ち寄ることもできるが、ツアーに参加すると、ヱビスビールの背景や造りへの理解がぐっと深まる。そうして味わう一杯は、いつもより少しおいしく感じられるはずだ。ふらりと立ち寄る日も、時間を取って巡る日も、それぞれに楽しみ方がある。次の休日、恵比寿を歩く理由のひとつに、YEBISU BREWERY TOKYOを加えてみてはどう?
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※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。
取材・文・撮影=北村康行
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