依頼料を払えないのに「夜逃げしたい!」金銭的な問題だけでなく限界まで追い込まれた人間の姿を描く【作者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア
汚部屋のゴミまで引越し先に持ち出そうとするなど挙動不審な依頼者。「依頼料、払えます?」単刀直入に尋ねると…。画像提供:宮野シンイチさん

子どものころから漫画に親しみ、ユーモアを交えた作品を描いてきた宮野シンイチ (@Chameleon_0219) さん。X(旧Twitter)で発表している「夜逃げ屋日記」は、DV被害や生活破綻など、実際に夜逃げを請け負った経験をもとに描かれた実録漫画で、今回紹介するエピソードも多くの反響を集めている。「夜逃げ」という極限状態に置かれた人間のリアルを、淡々としすぎない筆致で描き出すのが本作の特徴だ。


退寮期限が迫る母子、追い込まれた末の依頼

12-1画像提供:宮野シンイチさん

12-2画像提供:宮野シンイチさん

12-3画像提供:宮野シンイチさん

今回の依頼者は、大崎ノブコとその息子・ソウスケ。ノブコは約10年前に離婚して以降、ひとりで子どもを育ててきたが、病弱な息子の看病で仕事を休みがちになり、ついには職を失ってしまう。現在住んでいるのは社員寮で、年始の営業日までに退去しなければならない状況だった。引っ越し業者も動かない時期に追い詰められ、藁にもすがる思いで夜逃げ屋に連絡をしてきたという。

大量のゴミ袋と、噛み合わない受け答え

現地に到着した社長と宮野、デンゾウの3人を迎えたのは、部屋いっぱいに積み上げられた大量のゴミ袋だった。社長が状況を確認すると、ノブコはそれらを新居に持っていけるかと当然のように尋ねる。処分する前提で話が進まないやり取りに、現場の空気は徐々に重くなっていく。生活が破綻していることは明らかで、冷静な判断ができる状態ではないことが伝わってくる場面だ。

前払いできない依頼料、そして突然の土下座

家の様子を見た社長は、単刀直入に依頼料が支払えるかを確認する。事前の電話では用意していると聞いていたものの、ノブコはその場で「今日は払えない」と打ち明けたのだ。「来月まで待ってほしい」という申し出に対し、社長は原則前払いであることを理由に、今回は引き受けられないと判断した。すると突然その場で土下座し、涙を浮かべながら助けを求めるノブコ。わずかな現金を探そうと、ゴミ箱まで漁り始める姿に、場の空気はさらに張り詰めていった。

夜逃げ現場で見える、追い詰められた人の現実

宮野シンイチさんによれば、「当日になって依頼料を支払えないと告げられたのは、このケースが初めてだった」という。それだけに、強く印象に残っている出来事なのだそうだ。また、部屋が散らかっている依頼者は決して珍しくなく、精神的に追い詰められるほど片付けまで手が回らなくなる人は多いのだとか。夜逃げの現場には、金銭的な問題だけでなく、人が限界まで追い込まれた末の姿がそのまま残されている。

果たしてノブコは、もう一人のスタッフが到着するまでに依頼料を用意できるのか——。前代未聞の事態に直面した夜逃げ屋の判断も含め、物語はこの先さらに緊迫していく。

取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

この記事の画像一覧(全16枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

紅葉特集2023

紅葉特集 2025

全国約1100カ所の紅葉スポットを見頃情報つきでご紹介!9月下旬からは紅葉名所の色付き情報を毎日更新でお届け。人気ランキングも要チェック!

CHECK!全国の紅葉名所人気ランキングはこちら

イルミネーション特集

イルミネーション特集

全国約700カ所のイルミネーションを、エリアやカレンダーから探せる完全ガイド!クリスマスマーケット情報も!

CHECK!全国の人気ランキングをチェック!

東京人気ランキングも要チェック!

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る