【連載/ウワサの映画 Vol.14】今回は「007」級のスケール!破天荒なスパイ映画「キングスマン」第2弾!
東海ウォーカー
第1作のブラックかつクレイジーな突き抜け具合が衝撃的で、ハードルが上がりまくりの続編「キングスマン:ゴールデン・サークル」。「キック・アス」「キングスマン」とマーク・ミラーの原作の実写化で成功したマシュー・ボーン監督は、今作でいよいよ、監督になりそこねた宿敵(?)「007」に肩を並べようという気合のスケールアップを図っています。型破り感全開の世界観+各国を股にかけたロケ&大スターの大量投入!ゆえに、個人的に求めていた”クールな英国感”が薄まった気がしますが…。とはいえ、なんといっても復活したコリン・ファースの「Manner Maketh Man.」が再び聞けるのはうれしすぎ!

前作で観客をトリコにした、教会の殺戮シーンや、「威風堂々」をBGMに頭がぶっ飛ぶ”花火大競演”シーンは、映画史に残るオリジナリティでしたよね。そんなイカれた描写も増幅していますよ。冒頭いきなりのカー・アクションでロンドンタクシー大爆走、イタリアのアルプスでゴンドラ大回転、英国一流ブランドが提供する百花繚乱のスパイ・ガジェット…。そして、ラストのハリー&エグジー子弟の待望の初共闘シーンは、お約束の”長回し”でクールに撮り上げています!

設定は前作の1年後。表の顔はロンドンの高級テーラーである、どの国にも属さない世界最強のスパイ機関・キングスマン。その拠点が、謎の敵”ゴールデン・サークル”の攻撃により壊滅状態に!生き残ったのは、一流のエージェントに成長したエグジー(タロン・エガートン)と、メカニック担当・マーリン(マーク・ストロング)のみ。2人は、同盟機関であるステイツマンと合流するためアメリカへ向かいます。キングスマンと表稼業はウイスキー蒸留所経営というザ・アメリカンなステイツマン、2つの組織は、はなはだしいカルチャー・ギャップを乗り越えて強敵の陰謀を阻止できるのでしょうか…?

新参戦のステイツマンには、チャニング・テイタムにハル・ベリー、ジェフ・ブリッジズら豪華メンツが集結。しかし、”シュッとしている”キングスマンと比べるとなんだかダサい…。投げ縄ビュンビュンのカウボーイ的な極端なアメリカナイズに、根底では相容れない2ヵ国の溝を感じてしまいます。前作でもサミュエル・L・ジャクソン扮する米国人IT長者を過剰に皮肉ってましたしねぇ。チャニングたちも「オレたち、イジられてる?」と、うすうす気づいてたんじゃないでしょうか(笑)

演技派のオスカー女優ジュリアン・ムーアがサイコな悪役という、ムダに贅沢な配役は続きます。ゴールデン・サークルのボスである女麻薬王・ポピーをアホかわいく演じるジュリアンは、上品に微笑みながらえげつない行為にいそしみ、使えない手下を着衣もろともミンチマシーンに突っ込んじゃったりする狂人ぶりです。そのお肉でハンバーガーを作って別の手下に食べさせたり…。グロい悪趣味要素もてんこ盛り!

死んだ瞬間から「絶対に生き返る」と決定事項化されていたコリン・ファース扮するハリーも、噂どおりの復活です。頭をぶち抜かれた影響で記憶喪失になっており、趣味である蝶の研究に没頭する”ぼんやりおじさんタイム”が長らく続きますが、その分、覚醒後のカッコよさがすざまじい。おじさんつながりですが、加えて、今作では重要な役どころのマーク・ストロングのシブさときたら!高級ブリティッシュ・スーツでキメた2人のおじさまから漂う気品と色気に悩殺寸前でしたよ。私のイチオシ英国製スパイ映画「裏切りのサーカス」でも共演しているご両人が、「裏切り~」とは対極にあるクレイジーなスパイ映画でも貫録のそろい踏み。今作におけるお2人の雄姿は特に感涙ものです!

…忘れるところでした、もう一人の主要キャスト、エルトン・ジョン!ポピーに誘拐され専属歌手になっちゃっている本人役でのご登場です。なんでもありのカオス状態の本作を象徴する、”ナイト”のシュールなオモチャ扱いをお楽しみに!【東海ウォーカー】

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「パディントン2」(1月19日公開)のヒュー・グラント!
おおまえ
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