育児放棄された弟と姉の再会!一枚の写真から始まる物語に「いい話」「泣ける」、ラストシーンの“4つ”の意味【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
「私に弟がいた!!」主人公の恵は、家の押し入れで見つけた一枚の古い写真をきっかけに、自分でも忘れたふりをしていた過去と向き合うことになる。離婚した両親と幼い自分、そして確かに写っている“弟”の存在。写真の裏に書かれた住所を頼りに、恵は会ったことも覚えていない弟に会いに行く決意をする。
やっと再会できた弟はやせ細り、大切にされてはいなかった
学校帰り、友達に付き添われて訪れたアパートは、想像を超える光景だった——。荒れ果てた部屋、やせ細った弟、そして奥で無関心に横たわる大人の姿。弟は確かにそこに生きていたが、大切に守られている様子はどこにもなかった。友達に帰ろうと促されても、恵の足は動かなかった。今ここで背を向けたら、自分はもう二度と「お姉ちゃん」ではいられない気がしたからだ。
「明るい子」の奥にしまい込まれた辛い過去
作者・墨染清さん
(@sumizomesei)
によると、恵は弟の存在を忘れていたわけではないという。弟の記憶は、彼女自身のつらい過去と強く結びついており、あえて考えないようにしてきただけだった。普段は明るく振る舞う恵が、その話題になると軽く笑ってかわすのも、自分を守るための選択だった。無意識のうちに封じ込めてきた記憶が、写真一枚で一気に現実として押し寄せてくる構造が、この物語に静かな緊張感を与えている。
細かな描写であえて語らない。だからこそ伝わるもの
『毒のこども』では、説明しすぎることがない。弟がどんな日々を過ごしてきたのか、恵がどれほどの葛藤を抱えてきたのかは、細かな描写ではなく、行動や沈黙から伝わってくる。だからこそ、読者は恵の立場に自然と感情を重ねてしまうのだ。悲惨な状況を描きながらも、物語全体に流れるのは「それでも人は誰かを思える」という静かな温度だ。
ラストに残る「4つ」という数字の意味は?
読後、多くの読者が心をつかまれたのがラストシーンだ。「4つか、そっか」という感想が象徴するように、具体的な説明がないからこそ、その数字が持つ意味をそれぞれが噛みしめることになる。大げさな救いは描かれない。それでも、確かに何かがつながったと感じさせる余韻が残る結末になっている。
本作については「いい話だった」「お姉ちゃんによく頑張ったねと言いたい」「静かに泣ける」といった声が多く寄せられている。派手な展開ではなく、感情の積み重ねで心を揺らす一作として、最後まで見届けてほしい。
取材協力:墨染清(@sumizomesei)
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