【連載/ウワサの映画 Vol.15】ドイツ発の爽快な実話。”視野5%で夢を追う青年”役のイケメン俳優に注目!

東海ウォーカー

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2017年最後に紹介するのは、「ぼんやりしてるうちに今年も終わってしまった、いかん!」というあなた(と私)に向け、新年にあたっての改心を促す1本「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」です。もとはといえば「ドイツの人気イケメンが2人も出てる」という不純な思いが鑑賞意欲となった作品ですが(笑)。主人公がブッダの本で読んだという「幸福への道はない。道が幸福なのだ」という名言が胸に刺さるハートフルな実話ドラマです!

「誰よりも狙われた男」のコスティア・ウルマン(左)と「シャトーブリアンからの手紙」のヤコブ・マッチェンツ。ドイツでも評価の高い若手実力派の共演も話題です©ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH


ドイツ人の母とスリランカ人の父の間に生まれた”サリー”ことサリヤ(コスティア・ウルマン)の夢は、立派なホテルマンになること。ところが、まだ10代の彼は、突然、先天性の病気により視覚の95%を失ってしまいます。父とは逆に理解のある母&姉の協力を得て、目が見えないことを隠してミュンヘンの5つ星一流ホテルの研修生となったサリー。同期のマックス(ヤコブ・マッチェンツ)らに助けられ順調に研修をこなし、シングルマザーのラウラに恋をする彼でしたが、やがて完璧だった偽装計画が綻び始めてしまうのでした…。

「目の前に回転ドア、くぐり抜けたら12時の方向に20歩、45度左にソファ…」と、高級ホテルの前で、面接に向かうサリーを優しい姉が指導します。その甲斐あって、晴れて念願の研修生に!©ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH


「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」で知られるマルク・ローテムント監督による、再びの”実話の映画化”となった本作。今回は希望あふれる成長物語を軽快に描き感動を呼びましたが、もちろん社会派監督ならではの視点も。祖国では外科医だったのにドイツでは皿洗いの職しか得られないアフガニスタンからの移民を登場させるなど、いまや日常的光景となった政治的問題を織り込みながら、”ドイツのリアルな現状”を伝えることも忘れていません。

マッサージ師になる、職業訓練学校に通うなどの”現実的選択”は無視し、ルーペを隠し持ち夢を追う主人公。その勇気と信念を、ローテムント監督が手堅い演出で魅せます!©ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH


主人公・サリーを演じるのは、ドイツ人とインド人とのハーフという、この役にぴったりのルーツを持つコスティア・ウルマン。ワイルド×スウィートなお顔に加え、全身から”好青年オーラ”を発散する絶対的有利な容姿の持ち主です。この天使のような笑顔の魅力に、どうやったって抗えな~い!特注コンタクトレンズなどを使って、ぼんやりとした光の集合体にしか見えないという”視野5%”状態を準備したり、セリフをパソコンで再生して”音”で覚えようとしたりと、演技面でも主人公同様の努力の人らしく…、ホレ直し!

実家の農園の作物を納品に来たラウラに恋をするサリーでしたが、仕事の壁に実家のトラブルが重なり、緊張と過労が限界に…。仕事も恋も失いそうになるサリーが見ていられません(涙)©ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH


目の不自由を隠しながらのベッドメイクにテーブルセット、カクテルの調合などなど…。調理場で電動スライサーによる流血沙汰を起こしたりしながらも、サリーが持てる感覚を総動員して技術を習得していく過程に釘付けです。そして、そんなサリーの奮闘を支える同期の研修生仲間・マックスを演じるヤコブくんの、さりげない優しさが光る存在感にも釘付け!裕福な経営者の父を持つチャラいマックスですが、初対面時にサリーにフォローされた縁もあり、いち早く”サリーの事情”を見抜いて好アシストを連発します。サリーを支える周囲の人々も、ちゃっかりと”いい顔”に変化していくのがすがすがしい!

放蕩息子・マックス、いいヤツです。彼の親のレストランに夜な夜な入り込み、軽量・配合に精度を要するカクテル作りの猛特訓!彼のおかげで、サリーはホテルの構造も丸暗記できました©ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH


そんな中!こんなキュート・ガイをいじめるオニが一人…。名優ヨハン・フォン・ビューロー演じる教官です。サリーの根性を見事にくじく、ホテル愛がハンパない完璧主義者が非常にムカつく…。実家にトラブル発生で定職ゲット必須、目が見えるフリを通して採用試験にこぎつけなければならないサリーVS鬼教官の攻防は見ものですよ。…しかし、ビューローがかぶりすぎている、「セッション」のJ・K・シモンズに。いつ酒ビンやらフォークやらが飛んでくるのかとヒヤヒヤでした(あそこまでは狂ってなかったです!)。

「セッション」ばりに、サリーに”グラスを洗って磨く”を何度も何度も繰り返させる鬼教官。「一点のくもりもない状態に仕上げる事ができるまで、徹夜でやれっ!」との指令です…©ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH


障がいを”挑戦”だと言うサリーの大きなチャレンジが、欠点を超えて挑むことの意義を明瞭に示唆し、”目標とは固執すべき結果ではなく、チャレンジの過程で形を変えるものでもある”と教えられます。劇中に「急ぐなら1人で行け、遠くへ行くなら仲間と行け」という”古い言葉”が出てきましたが、真剣に身近な人々と交わって生きるうちに、その時々にふさわしい”道”は開けていくのかもしれませんね。これが、冒頭に書いた「道が幸福」っていうことなのかも…。温かな余韻にしみじみ…、です。【東海ウォーカー】

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「デトロイト」(1月26日公開)のジョン・ボイエガ!

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