夫婦の正解はひとつじゃない?「働かないヤンキー夫」と「働く妻」、その決断が家庭を変えていくまで【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
よい夫、よい父とはどんな存在なのか——。人によって答えは違うが、「安定した職に就くエリート夫」と「無職でギャンブル好きのヤンキー夫」、どちらを選ぶかと問われれば、多くの人は前者を思い浮かべるだろう。ところが現実はそう単純ではない。夜泣き対応に追われる妻の隣で爆睡し、「オレの箸どこ?」と平然と言うエリート夫。しかも事前連絡なしで義母までついてくる。一方、ヤンキー夫は家事や育児に積極的で、その母は妻の心強い味方だとしたら、話は一気にややこしくなる。
どちらの家庭が壊れる?究極の二択から始まった物語
そんな極端な2つの家庭を並べ、「どちらかの家庭が崩壊する」という刺激的なコンセプトで描かれるのが、横山了一さん
(@yokoyama_bancho)
の「どちらかの家庭が崩壊する漫画」だ。2022年12月、X(旧Twitter)で「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」として連載が始まると、読者の間では「一体どっちが先に崩れるのか」と注目が集まった。なかでも毒山(ぶすやま)家については、「ゴンが就職してくれれば安泰なのに」という声が多く寄せられていたという。
ついに動き出したヤンキー夫、そして予想外の展開へ
ギャンブルに明け暮れていたゴンは、周囲の空気に背中を押されるように仕事探しを決意する。しかし現実は甘くなく、職場で揉めてしまい、あっという間にクビに。そんな姿を見た妻の海(マリン)は、少し呆れつつも「しっかたねえな〜、とりあえずあーしが働くわ!」と腹をくくる。こうして、ゴンが主夫になるという選択が生まれる。それぞれができることを担い、家庭を回していく姿は、単なる逆転劇ではなく、夫婦の柔軟さを感じさせる展開だ。
いい意味で力を抜く、それが横山家のスタイル
作品の根底にある夫婦観は、作者自身の家庭とも重なる部分があるという。横山さんは、妻で同じく漫画家の加藤マユミさん(
@katomayumi
)との関係については、「いい意味でいい加減」だと語る。細かいことに目くじらを立てず、流せるところは流す。そのスタンスが、結果的に大きな衝突を生まない秘訣なのだそうだ。家庭内で一番揉め事を起こすのは大人ではなく子供、という話には、思わず笑ってしまう。
気になることは山ほどあるけど、言わない選択もある
日常生活には、シャンプーの詰め替えや洗濯物の出し方など、細かな不満がつきものだ。横山家でも「ポケットに物を入れたまま洗濯に出される」といった出来事は日常茶飯事らしい。「洗いましょうよ(笑)」と軽口を交わしながらも、深刻な喧嘩には発展しない。その距離感が、夫婦関係を長く続けるうえでのバランスなのかもしれない。
誰か1人が背負わない家庭のかたち
毒山家もまた、ゴンが主夫になることで、3人で生活を作っていく土台が整い始めている。直接的にお金を稼ぐ役割でなくとも、家庭を支える方法はひとつではない。誰か1人が無理をするのではなく、状況に応じて役割を変えていく。その柔軟さこそが、この作品が投げかけるメッセージだろう。これから毒山家がどんな道を選んでいくのか、その行方から目が離せない。
取材協力:横山了一、加藤マユミ
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