【スカッとホラー】お盆の「送り火」をサボって帰ろうとしたら…。助手席に座った祖父の霊がカーナビをハッキングしてきた件【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
お盆の時期、実家に帰省していた主人公。しかし急な仕事が入り、慌ただしく実家をあとにすることになる。 「今から?送り火、今夜よ」「こういうのちゃんとしないとじいちゃん怒るよー」 母親の制止を振り切って車を出した主人公だったが、帰りの道中で背筋が凍る体験をする。なんと、助手席に亡くなったはずの祖父が鎮座し、恨めしげな視線で孫の顔を至近距離から凝視していたのだ。
カーナビを乗っ取る「高性能じいちゃん」の霊
本物の幽霊が現れたことに度肝を抜かれる主人公。「悪かったよ」「来年はちゃんと送り火するから」と必死に謝罪するが、祖父の霊は許さない。それどころか、霊力でカーナビを勝手に操作し、目的地を「実家」に変更するという強硬手段に出る。 無口で不器用だった祖父は、単に送り火をサボったことに怒っているのか。それとも、強引に引き返させてまで、孫に伝えたい何かがあったのか。 本作『祖父の教え』は、ホラーな展開から一転、予想外のラストに「泣ける」「じいちゃんカッコよすぎ」と反響を呼んでいるショート漫画だ。
作者は現在、電子雑誌『comicタント』(ぶんか社)にて、都市伝説系漫画『ただのうわさです』(原案:飯倉義之)を連載中の三ノ輪ブン子さん(@minowabunko)。ホラーや都市伝説を得意とする三ノ輪さんに、本作に込めた思いを聞いた。
怖く見えた祖父の顔、大人になって気づく「優しさ」
作中に登場する祖父の霊は、リアルで威圧感たっぷりに描かれている。 三ノ輪さんは、現代において祖父母と同居経験がない人が増えていることを指摘する。「たまにしか会わない祖父は何を考えているかわからず、少し怖い存在に感じることもあります。頑固で怖い顔に見えるのはその距離感のせいかもしれません」と語る。 しかし、自身が大人になり当時を振り返ると、あの厳しさは祖父なりの優しさだったと気づく瞬間が多いという。「思い出していて寂しくなってきました。もっとたくさん話をしておきたかったです」と、三ノ輪さんは亡き祖父への悔恨と愛情を滲ませた。
花火で鎮魂?実家の思い出と新作ホラー
三ノ輪さんの実家では、少し変わった送り火の思い出があるという。祖母が門前で藁を燃やす横で、子供たちが花火をするのが恒例だったそうだ。 「正しい方法ではないと思いますが、打ち上げ花火には鎮魂の意味もあるので、あながち間違いではなかったのかなと。祖父母が亡くなり、今ではお盆の風習もやらなくなってしまいましたが、またできる環境になりたいです。あの世でじいちゃんが怒っているかもしれませんしね」
そんな三ノ輪さんが手がける連載『ただのうわさです』も好調だ。8月16日(金)からは電子書籍版の第1巻が発売される。「死体洗いのバイト」や「メリーさんの電話」といった古典的な都市伝説を現代版にアレンジした話や、タクシーの幽霊話など、バラエティ豊かな短編が収録されている。
お盆の伝統行事である「送り火」。死者の魂をあの世へ送り返す大切な儀式をないがしろにした孫と、それを諌める祖父の霊。怖いけれど温かい、三ノ輪ブン子さんの描く不思議な世界観をぜひ味わってみてほしい。
取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)
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