【放置子の絶望】「朝起きたら母親がいない」友達の家で朝食を食べる保育園児だった私の孤独【作者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

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子どもは親を選べない。朝起きたら、母親がいない――。そんな「放置子」のような子ども時代を過ごしてきた漫画家・魚田コットンさん。自伝漫画「家族やめてもいいですか?」では、保育園児ながら独りで母の帰宅を待ち、ときには近所の友達の家で朝食を食べさせてもらうという、過酷な日常が描かれている。あまりに歪んだ環境に身を置きながら、当時の彼女は「これがうちの当たり前」だと疑わなかった。


朝起きたら“ひとり”が当たり前。母の失踪と男性への連れ回し

家族、辞めてもいいですか?_01画像提供:(Ⅽ)魚田コットン/KADOKAWA

家族、辞めてもいいですか?_02画像提供:(Ⅽ)魚田コットン/KADOKAWA

家族、辞めてもいいですか?_03画像提供:(Ⅽ)魚田コットン/KADOKAWA


幼いころ、魚田さんは母親を尊敬していた。しかし現実は、保育園児を置いて母親がいなくなることが頻繁にあった。母を待つ孤独な時間のなか、彼女は自ら友達の家に行き「家に誰もいない!」と助けを求めることを思いつく。周囲の大人は、保育園まで連れて行ってくれる「優しい人」と、そうではない「冷たい人」に二極化していたという。

さらに、家を空けがちな父親の不在を突くように、母親は幼い彼女を連れて特定の男性と定期的に会うこともあった。時期が過ぎればまた別の男性へ。純粋だった彼女は、そんな生活に慣れ、疑問を抱くことさえなかった。小学生のときに両親は離婚したが、その後に待っていたのは母親の再婚と、新しい父による10年間にわたる性的虐待という、さらなる地獄だった。

「毒親なのかな…?」漫画を描くことでようやく気づけた凄惨な半生


これほど凄絶な環境にありながら、魚田さんは「うちの親は毒親なのか?」と今でも微妙な気持ちになるという。母と距離を取ろうと思えるようになったのは、結婚して自分の家族ができてからしばらく経ったときだった。ブログでの連載がきっかけで書籍化が決まった本作だが、制作過程は自分自身の凄まじい過去と向き合う、最も過酷な作業となった。

自らの半生を俯瞰して描くことで、彼女はようやく「私ってけっこう酷い生活をしていたんだな」と、客観的に気づくことができた。以前の自分は自分にも他人にも厳しかったが、過去を冷静に整理できたおかげで、今は人に対しても少し寛容になれた気がするという。

取材協力:魚田コットン(@33kossan33)

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