パラアイスホッケー・上原大祐に聞いた、現役復帰とこれから
東京ウォーカー(全国版)
2018年3月に開催される平昌パラリンピック。2017年10月、スウェーデン最終予選でパラアイスホッケー日本代表は2010年バンクーバー大会以来2大会ぶりのパラリンピック出場を決めた。その原動力のひとつに、大舞台に帰ってきた1人の選手の存在があった。トリノパラリンピック、バンクーバーパラリンピックに出場し、バンクーバーでは銀メダルを獲得した上原大祐だ。
上原は2014年に現役を引退し、NPO法人「D-SHiPS32」を設立。スポーツを通して障害を持った子供たちとともに様々な活動に取り組んできた。2017年にはアスリートの社会貢献活動を促進するプロジェクト「HEROs」のアンバサダーにも就任した上原は、スウェーデン最終予選を前にパラアイスホッケー代表復帰を果たした。12月、「HEROs AWARD」授賞式に出席した上原に、現役復帰への思いとパラアイスホッケーの見どころを聞いた。

――まずは「HEROS AWARD」の開催にあたって一言いただければと思います。
「アスリートの発信力には大きな影響力があります。アスリートと社会貢献を結び付けて、これからもっともっと日本が課題を面白く、ポップに、そしてスポーティに解決していける、そんなスタートが切れたかなと思っています」
――今回、現役復帰されたきっかけは?
「NPOの活動をしていく中で、障害をもった子どもたちやそのご家族とかかわる機会が増えてきたんですね。そんな中で親御さんから『上原さんが氷の上に乗っているのを見たことがないので見てみたい』というリクエストが何度かありました。私が氷の上に立つことで、子どもたちに『やっぱりスポーツは楽しいな』だとか、『ああ、見られてよかったな』と思ってもらえるのであればと。今までは自分の首にメダルを下げることを目標にしていたのが、今回は子どもたちの未来のためにという思いで復帰を決めました」
――引退されていた間、パラアイスホッケーの活動はされていたのですか?
「体験会などはしていましたけど、プレイヤーとしてはほぼやっていないですね」
――3年のブランクがある中での現役復帰です。今の心境は?
「体力的にはまだ戻ってないんですけど、技術的には割とすぐに戻りました。平昌で子どもたちが『アイスホッケーかっこいいな』と思ってもらえるようなプレーができたらいいなと思います。『やっぱり世界の大祐だな』と思ってもらえるように、ですね(笑)」

――復帰からスウェーデンでの最終予選までを振り返っていかがでしたか。
「復帰してすぐに予選大会があったので、早く自分を戻さなきゃなという思いがありました。チームプレイとしても、自分の技術的なところも上がってきたので、(平昌パラリンピックまで)あと3ヶ月、もっともっとスキルアップを含めて、元の自分に戻れるように努力していきたいと思っています」
――パラアイスホッケーの現場に戻って変化した部分はありますか?
「これまでは体力があったので体力任せのプレーがあったんです。今はアシストする選手と得点する選手との間の懸け橋になって、他の選手のいいプレーをより引き立たせるためにはどうしたらいいのかな、という部分を考えるようになったのが大きいかなと」
――平昌パラリンピックを前に、改めてパラアイスホッケーの魅力をお聞かせください。
「パラリンピック全体に通じる話として、オリンピックと違って道具がいろいろあるんですね。その道具をいかに使いこなすかがパラリンピックのひとつの魅力なので、プレーだけではなく道具の使い方や器用に扱っているところに注目してもらえればいいなと思います。パラアイスホッケーはスティックを両手に持つので、両手をいかに使いこなしているかをひとつのポイントとして見ていただければ。また、ぶつかり合う迫力があるスポーツなので、視覚的なスピード感と、『バン!』とぶつかる聴覚的な部分、その両方で楽しめるスポーツかなと思います」
――これからもNPOの活動を続けていくかと思いますが、この先の展望は?
「障害を持った子供たちを平昌に連れていくツアーをNPOで組もうと思っています。そういったところで興味を持ってもらって。その先に子供たちがプレーする場所がなかったらやっぱり問題なので、日本でもっとパラスポーツができる場所が充実するよう開拓していけたらいいなと思います」
――最後に平昌パラリンピックへの意気込みをお聞かせください。
「もちろん、金メダルです!」
まぶしい笑顔で語ってくれた上原。平昌パラリンピックは、上原のプレーと、パラアイスホッケー日本代表の活躍にぜひ注目してほしい。
国分洋平
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