「全部、嘘でした」海外投資に騙され奈落へ…2億円の借金を背負った夜逃げ屋スタッフが語る“人生の落とし穴”【作者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

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優しいなぐさめの言葉を期待して、スタッフの一人に自分の失敗を打ち明けてみたのだが…。画像提供:宮野シンイチさん

投資話に乗った結果、2億円もの借金を背負うことになった男がいる。夜逃げ屋で働くデンゾウさんだ。宮野シンイチさん (@Chameleon_0219) が描く実話漫画「夜逃げ屋日記」第15話では、人生が音を立てて崩れていった過去と、そこから再び歩き出すまでの道のりが描かれている。

「優しい言葉」を期待した先で突きつけられた現実

01画像提供:宮野シンイチさん

02画像提供:宮野シンイチさん

03画像提供:宮野シンイチさん

ある晴れた日、浜辺に並んで腰を下ろした宮野とデンゾウさん。宮野は、依頼者・大崎さんの依頼料を自分が肩代わりしていたことを打ち明ける。「デンゾウさんなら、きっと分かってくれる」

しかし、そんな期待とは裏腹に返ってきたのは、「ほんま気の毒やったな」という一言のあと、唐突な質問だった。「ところで、大崎親子の名前、なんやったけ?」母親の出身地、素性、背景――次々に投げかけられる問いに、宮野は言葉を失う。「そんなの知るわけないじゃないですか」。するとデンゾウさんは静かに告げる。「でもな、金を貸すなら知ってて当たり前のことばっかりや」同情と同時に突きつけられた“現実パンチ”に、宮野の心はずしりと沈んだ。

「実は僕も…」語られた借金2億円の過去

沈黙のあと、デンゾウさんは自身の過去を語り始める。「僕はな、3年前、社長に夜逃げさせてもらった人間や」。関西で複数の会社を経営し、「自分は何でもできる」と信じて疑わなかった。しかし事業はことごとく失敗。そこへ舞い込んだのが、海外投資の話だった。「オーストラリアの田舎町で都市開発が始まる。今買えば、必ず跳ねる」眠れず、食事も喉を通らない日々。早く元の生活に戻りたい一心で、藁にもすがる思いで契約書にサインしたという。

存在しなかった“儲け話”と、底が抜けた人生

だが、その投資話も、交わした契約も、すべてが架空だった。残ったのは負債だけ。全財産を投げ打ってもなお残った借金は、2億円。会社は倒産し、自己破産へと追い込まれる。「正直、首を吊ろうと思った」。人生のどん底で知ったのが、夜逃げ屋の存在だった。

夜逃げは逃げじゃない。“生き直す”ための選択

「せやからな、借金で夜逃げした言うより、僕のことを誰も知らん場所へ行きたかったんや」夜逃げ後、仕事探しに困っていたデンゾウさんを、夜逃げ屋の社長はスタッフとして迎え入れた。今もその恩を忘れていないという。

現在、宮野シンイチさん自身も夜逃げ屋スタッフとして活動している。夜逃げ直前は恐怖と緊張で言葉も出ない依頼者が多いが、無事に終えたあとに見せる安堵の表情を見る瞬間が、何よりのやりがいだと語る。かつて抱いていた「裏稼業で怖い」というイメージは、今では大きく変わった。夜逃げ屋は、人生を終わらせないための“最後の受け皿”なのだ。

取材協力:宮野シンイチさん(@Chameleon_0219)

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