逆転の発想で地方都市をプロモーション! 「絶メシリスト」の仕掛け人・高崎市長に聞く

東京ウォーカー(全国版)

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群馬県高崎市には、昔から魅力的なローカルグルメが数多く存在する。しかし、一方で、地方における共通の課題でもある、後継者不足や若い働き手不足により、店が次々に閉店しているのも事実だ。

そのような”古き旨き絶品ローカルグルメ”を出す飲食店に着目し、「絶メシリスト」というシティプロモーションを高崎市が打ち出したのは今年の9月ことだ。

高崎市市長の富岡賢治氏


「地方都市が自分の街の特色とか魅力とかを発信しなくちゃいけないと言うのは共通の課題でしょう。しかし、何を発信するかは案外難しくて、街の特色をよく考えないと伝わらない。高崎市も北関東で言えば、中核的な都市だけど、これ一本というか、首都圏の人から『高崎にはこういうものがある』というのはなかなか見つからないのが現状。そんな高崎市をどのようにアピールするかが今までの課題だったんだよね」。そう切り出したのは、高崎市市長・富岡賢治氏。

高崎出身、群馬県立女子大学の学長を経て、平成23(2011)年に市長に就任した富岡氏が、今年「絶メシリスト」というローカルグルメを使ったシティプロモーションを実現するきっかけは何だったのだろうか。実現までの秘話を富岡氏に聞いた。

観光ガイドといったパンフレットを作っても、予算はかかるが読む人がいないという課題に悩まされ続けた高崎市。そこで、インターネットや携帯で魅力的な情報を流す方法でプロモーションを考えたという。

「まずは、観光スポット、食という2つのテーマに絞る。ただ、高崎の観光スポットといっても全国から人が来るほど、凄いものがあるわけでもないのが現状」と、苦笑いの富岡市長。

そこで“食”というテーマで、シティプロモーションの面白いアイディアを民間の力を借りて提案してもらおうと動き出したという。集まった企画の中の一つに、「すごい絶品を出すけど、古くて途絶えそうなお店を紹介するローカルグルメサイトで街をPRする」案があった。「絶メシリスト」と題された企画。「絶メシ」とは、「絶やすな」と「絶品」のふたつの意味が込められていた。

「はじめて『絶メシ』という言葉を聞いたとき、抵抗があったけど、どうせやるなら思い切ったことをやろうと。そこから『絶メシリスト』の制作がスタートしたわけ」と当初を振り返る。

「いし田珈琲」を取材する絶メシ調査隊の船橋さん


サイトには、20を超える名店が紹介されている。いずれもプロのグルメライターで編成された「絶メシ調査隊」が何度も現地を周って自分の舌で確かめ、また、地元の人に教えてもらった情報を元に入念にリサーチしたお店ばかりだ。

【写真を見る】「太洋軒」門外不出、餃子のレシピ紹介


また、お店の紹介だけではなく、長年こだわり抜かれた「絶メシ」の門外不出レシピや、「絶メシリスト」掲載店の将来的な後継者・インターン生の募集、絶やしてはならない“絶メシ店”のタレコミ情報投稿など、読者が参加できる様々なコーナーを盛り込んでいるのもポイントだ。

高崎市のシティプロモーションについて熱心に話す富岡氏


「地方都市にありがちなのが、中央(東京)から来た一流のものに価値を見言い出しやすいということ。でも、それでは全然ダメ。やっぱり、その地域の特色、長く愛されているものがその街の一番の魅力だと気づくべきだよ。先輩たちが長く培ってきた食文化を高崎市のシティプロモーションとして打ち出せたことは、とってもいいことだと思っている。

高崎に来る人達に、『何が美味しい?』と聞かれても、『大したものはないよ』と返すのは、ここでは当たり前の会話だった。でも、私たちが自信をもって言えなかった 『そうじゃない!あなたが普通に食べているものが実は一番美味しいものなんだよ』という小さな逆転の発想が、高崎市のシティプロモーションとして成功したわけなんだよね」。

「絶メシリスト」といった大胆なシティプロモーションが実現したのも、富岡市長の志に共感し共有していった、市役所職員や民間の人と想いをぶつけあった成果だと熱心に語る。

食堂「大豪」のらあめん定食


当たり前に昔からあるローカルグルメこそ街の魅力であるということを、思い切った視点から発信する高崎市。「絶メシリスト」を通じて、市民も高崎の魅力を再発見しただろう。

地方都市に住んでいる人が、「うちの街なんか大したことない」と内向きになりつつある思考を変えるようなアイディアが、これからの地方都市のシティプロモーションには必要なはず。また、同時に当地以外の場所で生活する人たちに対して宣伝できる仕組みも重要だろう。

高崎市が打ち出した大胆なプロモーションは、地方都市のPR活動のありかたに一石を投じるものではないだろうか。「絶メシリスト」の今後を見守りつつ、他の自治体からも次なるプロモーション手法が出てくることに期待したい。

矢野詩織

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