ヨーロッパ企画・上田誠「高い山に挑む気持ち」で青春SFの金字塔“時かけ”の続編を舞台化!

関西ウォーカー

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青春小説の名作として世代を超えて愛され続ける『時をかける少女』。この作品の続編として脚本家の石山透が執筆し、78年に出版された『続・時をかける少女』が、劇団「ヨーロッパ企画」の上田誠による脚本・演出で初の舞台化が決定。2月17日(土)には森ノ宮ピロティホールで大阪公演が行われる。“SFコメディの旗手”とも称され、劇作家に止まらず、テレビドラマや映画の脚本、さらにバラエティ番組の構成も手がけるなど、ジャンルを横断する活躍を見せる上田。2017年には“演劇界の芥川賞”の異名をもつ「岸田國士戯曲賞」を受賞し、今もっとも注目される劇作家の一人である彼に、プロデュース公演『続・時をかける少女』について話を聞いた。

青春SF小説の金字塔『時をかける少女』幻の続編の舞台化を手がけた上田誠


-本題に入る前に、2018年にヨーロッパ企画が20周年を迎えられるそうで、おめでとうございます

上田誠(以下、上田):ありがとうございます

-2017年12月31日には劇団のカウントダウンイベントも行われましたね。そして2018年になって2月には「続・時をかける少女」の本番があります。お正月はゆっくりできましたか?

上田:あまりゆっくりする時間がなくて…ちょっと大変ですね(笑)

-カウントダウンイベントの中で20周年を記念した全国ツアーについても発表されました。2018年を迎えるにあたって上田さんの中ではいつもと違う新年だったんじゃないですか?

上田:2018年は20周年なんで、もちろん頑張るんですけど、20周年で燃え尽きないようにしないといけないなと思っていて(笑)。山があったら谷もあるんで21年目以降に鬼が棲んでいると思っています。今年は『続・時をかける少女』があって、『サマータイムマシンブルース』の再演もあって割と忙しいんですけど、その間に次のタネが上手く仕込めたらいいなぁと思っているんですけどね。

-『続・時をかける少女』についてお伺いしていきます。公演のホームページのメッセージの中で上田さんが“「時かけ」に「続」があると知った時はひっくり返りそうになりました」とおっしゃっていたのが印象的だったんですけど、上田さんご自身は『時をかける少女』という作品に対して思い入れがあったりしましたか?

上田:もちろん思い入れはありますけど、どちらかというと“高い山だな”という恐れの方が近いですね。やっぱりファンも多いですし、SFの金字塔だと思うんですよね。これまで数々の作り手が挑戦しては、成功を収めたり収めなかったりしてきた作品で。あまり取り上げられていない作品を舞台化するのと、『時をかける少女』に手を出すのはちょっと違いますから。僕も思い入れは強いですけど、それ以上に『時をかける少女』という作品のファンの方の“想い”の強さを感じていて。今回は“ちょっと高い山に挑むな”っていう気持ちですね。

脚本・演出の上田誠が原作『続・時をかける少女』に出会った経緯を語る


-『続・時をかける少女』の原作は、1978年に書籍化されていますが、原作の存在をお知りになったのは今回の舞台化のどれくらい前ですか?

上田:たしか5〜6年前だったと思います。復刊ドットコムから発売されて知ったんですけど、ほんとに“こんなんあるんや!”って驚きました。

-原作を読まれた時ってどんな感想をお持ちになりましたか?

上田:SF色が強くてイメージと違うなと思いました。 “『時をかける少女』ってこんなんじゃなかった感”があるなと。仮にこの小説が、現代に続編として出版されたら大顰蹙を買うんじゃないかなと思うんです。でも今のように筒井康隆さんの原作小説が取りざたされていない頃に出版された続編なので、のびのび書かれているのが印象的でした。

-小説『続・時をかける少女』が最初に出版されたのは1978年なので、大林宣彦監督がメガホンを取った角川映画版『時をかける少女』公開の5年も前ですね

上田:そうですね。『時をかける少女』の枠で、僕らだったら恐々しながら続編を作らざるを得ないような中で、全然そんなこと関係ないような書きぶりで、大暴れして書かれている続編だから、すごく心地よかったですね。例えば今回の舞台を観た人から“こんなの『時をかける少女』の続編じゃないよ”と文句がついたとしても“いや、原作小説があるんだから”と言えますし(笑)。とにかく読んでいて痛快でした。筒井康隆さんの小説がエバーグリーンなイメージがあったんで、それに比べて続編はなんて破天荒で具沢山なことかと。

-原作小説を上田さんがご覧になっていた時には、ご自身の中で「舞台にするならこうかな?」というイメージがあったりしましたか?

上田:先に他の人が映像や舞台で作品化したらもったいないなぁと。もともと僕の作品じゃないんですけど(笑)、そう思うことってこの作品に限らず時々あるんですよ。“この作品は僕がやった方がいいだろうけど、誰かが先にやったら嫌だなぁ”みたいな。この作品もそうだったんで。舞台化できてよかったです。

-『続・時をかける少女』は今回初めて舞台化されるわけですが、筒井康隆さん原作の『時をかける少女』は映画、ドラマ、アニメ、舞台など様々なメディアで展開されている作品です。それらの作品を意識されたりしましたか?

上田:過去の作品たちの続編になっていないといけだろうとは思っていて。もちろん作品によって設定が違っていたりしますけど、でもどの作品もよっぽどのことがない限りはだいたい最後にある情感を残して未来人が帰っていって、残される和子、みたいなことにはなるので。今回の舞台はそのシーンから始めようかなとイメージしています。だから『時をかける少女』のエンディングをかじったようなところから舞台は始まりますね。【関西ウォーカー/スズキヒロシ】

(後編へ)

スズキヒロシ

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