何が入っているの?実はグローバル商品「仁丹」の知られざる製造工程
関西ウォーカー
総合保健薬から口中清涼剤へと、110年以上前から世界に知られたグローバル医薬品の先駆け「仁丹」。人気の秘密と知られざる製造工程をご紹介!<※情報は関西ウォーカー(2016年8月23日発売号)より>

「仁丹瓶入」(1瓶・3250粒・1620円)。殺菌効果があり、保存がきくことから、コーティングには銀箔が使われている。1粒に16種類の生薬を配合し、さわやかな清涼感で気分をリフレッシュ。携帯に便利なケース入り、詰め替え用もあり。
知られざる製造工程を紹介!

<1>多彩な生薬を粘土状になるまで混合。16種類の生薬を含む、粉末、香料、のり状になるデンプン、水などを計量して調合。ニーダーに投入し、粘土状になるまで練り合わせる。

<2>原料を素早く丸めて小さな球状に。原料を板状に延ばし製丸機へ。ドラムの溝を通った原料を1粒分ずつかき取り、ローラーを転がる間に震動する板を上から当て球状に。

<3>ゆがみのない、まん丸の原料だけを選別。原料の粒は網棚に広げて、常温で4日間かけて乾燥。セレクターでサイズが異なるものやゆがんだものを除き、真球形のものだけ選別。

<4>銀箔で生薬の成分をコーティング。回転する容器に粒を入れ、水で湿らせてからのりを噴き付け銀箔をかけてコーティング。再度、乾燥させて、選別、検品を経て完成。
「仁丹」ヒットの裏側
ピーク時の1日最大生産量は、「約1620kg」。粒数換算で約1億2300万粒に相当。時代ごとに発売された仁丹ケースは「約100種類」。収集家もいるほど多種多彩!

当初、板を使って原料を丸めていた職人技を、現在も機械で再現し、原料を真球に成形する。

積極的な広告戦略のなかで、「薬の外交官」をイメージした大礼服マークは国内外で存在感を発揮。
髭の紳士のマークでおなじみの「森下仁丹」
大礼服の帽子をかぶったカイゼル髭の紳士のマークでおなじみの森下仁丹は、1893(明治26)年に薬種商として大阪で創業。当初は薬業者への原料供給が主だったが、創業者・森下 博氏はいち早く予防医学の考えを実践し、総合保健薬の開発に着手。日清戦争後に台湾へ出征した際、現地の丸薬に想を得て、1905年に前身である赤大粒仁丹を発売した。医療の状況が貧しく、風邪や食あたりでも命にかかわることが多かった当時、万病に効果があり、携帯保存に優れた仁丹は瞬く間に全国的な支持を獲得。薬店の突出し看板やロゴ入り町名看板、新聞の全面広告など、画期的な広告展開も注目を集めた。

また発売の2年後には早くも海外にも進出。1929年に現在の銀粒仁丹となり、戦後は口中清涼剤として世界各国で愛用されている。原料の精選と優良品の製造販売、地球規模の事業展開、生活者の心に響く流通手段という創業理念を実現した仁丹は、実はグローバル医薬品の偉大なる先駆けでもあったのだ。
「仁丹で培ったコーティング技術をもとに、現在はマイクロカプセルの開発に取り組み幅広い分野に応用。ヘルスエイドをはじめとしたサプリメントの開発にも力を入れています」と、ヘルスケア開発部の古川理人さん。
■森下仁丹株式会社<住所:大阪市中央区玉造1-2-40(本社) 電話:06-6761-1131 創業:1893年 社長:駒村純一 事業内容:医薬品、医薬部外品、医療用具および食品などの開発・製造・販売 従業員数:283名(2016年3月末現在)>【関西ウォーカー編集部】
編集部
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