「実は裏方が向いている」?”ポスト池上彰”目指すたかまつなな、NHK入局後の展望
東京ウォーカー(全国版)

フェリス女学院から慶応義塾大学、同大学院、東京大学大学院情報学環教育部へと進んだお嬢様芸人・たかまつなな。株式会社笑下村塾を立ち上げ、お笑いジャーナリストとしても精力的に活動。最近ではNHK内定が話題となり、今後の動きにもますます注目が集まる彼女にインタビュー!お笑いを始めたきっかけからNHK入局後の展望まで、自身の過去・現在・未来について語ってもらった。
―――お笑いの世界に進んだきっかけを教えてください。

中学2年生の時に哲学者の中沢新一さんの『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書)という本を読んでみたんです。それが爆笑問題の太田光さんとの対談本で、当時は太田さんのことを存じ上げていなくて、すごくユニークな政策をおっしゃる大学の先生だと思っていました。ところが、巻末にお笑いコンビと記されていて、「芸人さんだから憲法について面白く語れるのか」と感銘を受けたんです。それで、私もお笑いを通して政治や社会問題を伝えていきたいと思うようになりました。それからは高校生の時に学校のお笑いサークルを立ち上げて、英語のスピーチコンテストでネタを披露させていただいたりしましたね。
―――そのスピーチコンテストが初めて壇上に上がったライブだったのでしょうか。
その前に「ちびっこ漫才グランプリ」という大会に出ていたんですが、あまりウケなくて苦い思い出ですね。その後が先ほどのスピーチコンテストで、私は英語の成績が学年で最下位に近かったんですけど、ネタを披露したらすごく評判がよくて、みんなが前のめりになって爆笑するんです。お笑いにはすごい力があるなと感じて、お笑いを続けようと思うようになっていました。

―――芸能活動に学業、会社経営と、いろいろなことに挑戦されていますが、過密スケジュールの中でどのように時間を使われているのですか。
目的によって時間の使い方は変わってくると思っています。例えば、ラジオに出演が決まってから準備をするのはあまり良いことではなくて、急に決まってから勉強を始めると過密スケジュールになってしまうので、できる限り授業を聞いている時からラジオで話すならどう話すかを意識しながら過ごしています。勉強する時に勉強だけと思わずにネタにするならどうするか、討論番組で話すならどうするかを考えていますね。ただ、すべてにおいてそれをしていると辛くなってしまうので切り分けています。
後は私の場合は学校の授業を利用させていただいていました。討論番組の練習になりそうだなと思って(笑)。先生に頼み込んで5分間だけ授業の前説をさせていただいたりもしました。それがすごく練習になりましたね。一日5コマあれば5回もネタができるので、授業の単位も取れて一石二鳥だなと。そんな感じでどうすればその場が自分のためになるかを意識しながら考えるようにはしてますね。
―――授業でネタを披露をする際は緊張されませんでしたか。
緊張はしますね。だからスベってその授業に行かなくなったりとか(笑)。でも、テレビの前でスベるよりも200人の前でスベるほうがマシなので。それに、湯島天神の鉛筆に書いていた「自信は努力から」という言葉がすごく好きで、これだけ努力したから絶対に勝てると自信が持てるくらい努力しないとダメだなと思うようにしています。
―――出張授業にも精力的に取り組まれていますが、行う中で得られたものはありますか。
政治を分かりやすく伝えているつもりでも、まだまだ伝え足りなかったりすることはありますね。18歳の生徒との感覚にずれがあるなと感じたり、教育現場の課題の多さも目の当たりにして、自分の無力さみたいなものも感じます。

―――自身の中での理想の先生像を教えてください。
生徒のことを信じてあげる先生はいい先生だなと思います。私が行っている授業のオファーを生徒会の子が連絡してくることもあるんですよ。私が先生だったら自分で連絡したほうが絶対に楽なので、生徒のことを信じてあげる先生はすごいなと思います。できることだけをやらせていても絶対に成長しないし、近くで手を差し伸べ過ぎても成長しないので、できないことを温かく見守ることが大事なんだと思いました。私は多分できていないので、そういう部分は勉強になりますね。

―――NHKに入社後は、やはり「ポスト池上彰」が目標ですか。
池上彰さんは2つのことをされたと思っています。一つ目はニュースを分かりやすく伝える先駆者となったこと。もう一つは政治のニュースが視聴率を取れることを証明したこと。日本のニュースの世界に非常に貢献された方だなと思っています。ただ、池上さんのユーザーは政治に興味はあるけど時間がないビジネスマンが多いと思います。私はそこにお笑いを取り入れることで、子供や政治に興味がない人にチャンネルを合わせてもらえるように目指していきたいです。そういう意味で「お笑い界の池上彰」と公言していますが、バラエティの手法を用いればもっといろんな政治の伝え方があると思うので、多くの手法に挑戦していきたいです。また、問題を提起するだけではなく、解決策も提案していきたいですね。
―――NHKではディレクターとしてどんな番組を作りたいですか。
若い人に向けた政治や社会問題の敷居を下げる番組です。実験的な番組をどんどん作り続けることが私の使命だと思っています。
―――今後はディレクターと芸人をどのように両立させていきますか。
私って実は裏方の方が向いていると思うんです。NHKの内定が決まった時、番組を作るならそれに専念しなければダメだという世間のイメージも強く受けましたし、芸人をやるなら芸一筋で政治社会のことを語ってはいけないみたいな雰囲気も感じましたし、その縛りが強くて窮屈に感じる時もあります。でも、裏方のことを知っていれば絶対に良いパフォーマンスにつながると思いますし、自分がどう撮られているのかも分かるようになるんですよね。
兼業は禁止されなかったので講演会などは続けていくつもりです。そのほうが笑下村塾にとってもプラスになりますし、おそらくNHKで番組を作る上でも教育の現場を見ていることは大きいと思うので、両方に生きると思っています。以前、笑下村塾で番組制作を行ったことがあり、プロデューサーをやらせていただいたんですけど、すごくやりがいを感じて「もっとやってみたい」と思っていました。NHKでテレビ番組を届け、さらに、テレビの枠を超えていろいろなことに挑戦していきたいです。
永田正雄
この記事の画像一覧(全5枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!
ゴールデンウィーク期間中に開催する全国のイベントを大紹介!エリアや日付、カテゴリ別で探せる!
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介