15歳のコーヒー焙煎士・岩野響くん「コーヒーを楽しめる環境を作ることが大切」
東京ウォーカー(全国版)

アスペルガー症候群という発達障害を抱えながら、その優れた嗅覚と味覚でコーヒー焙煎士としての才能を開花させ、15歳にして自らの工房「ホライズンラボ」を営む岩野響くん。
現在も毎月異なるテーマで「ホライズンコーヒー」の焙煎・販売を行う彼に、ウォーカープラス編集部がお話をうかがいました。

■毎月のホライズンコーヒーが生まれるまで
――まもなく「2月のホライズンコーヒー」が販売開始になりますが、3月、4月のテーマはもう決まっているのでしょうか?
岩野響くん(以下、響くん):はい、3月のテーマはもう決まってます。4月のテーマはまだ考え中です。

――毎月のテーマはどのようにして決めているのでしょう?
響くん:パッとひらめくこともあるし、それこそ半年くらい前から考えていることもあります。それでも月に1タイトルは出すことは決まっているので、本当にずっとコーヒーのことばかり考えてます。
――常にテーマが先行しているんですか?
響くん:ほとんどはそうです。もちろん、テーマを決めてもすぐにイメージどおりの味を出せるわけではないので、そこでもまたずっと焙煎をしながら、思い描いたイメージを追い続けていますね。
逆に「これだ!」と思うものができた後で、その味のイメージから「これは何月のコーヒーにしよう」ということもあります。
岩野久美子さん(以下、久美子さん):できあがった味に対して「あ、これは何月に飲みたいな」というイメージが本人にはあるみたいです(笑)。

岩野開人さん(以下、開人さん):知り合いなどからコーヒー豆のサンプルをいただいたりすることがあるんですが、試しにそれを焙煎してみたらその味に衝撃を受けて、アイディアがふくらんだり、考えていたテーマに影響を与えたりもしてるんだよね。

響くん:うん。
――響くんのコーヒーは焙煎度合いでいうと「深煎り」に属するそうですが。
響くん:コーヒー豆の焙煎度は一般的には(浅煎りから深煎りまで)8段階くらいに分けられるんですが、ぼくのはだいたい6から8になります。ただ、表面的に段階分けしたところで、例えば同じ「焙煎度7」だったとしても、焙煎士の腕だったり“気持ち”で味は大きく変わります。そこがすごく面白いですね。
――焙煎士の加減しだいだと。
響くん:はい。あと、コーヒーの焙煎は一回で最後までやり切らないといけなくて、「今日はここまで焼いて、続きは明日」っていうのができないんですよ。ですので、一回一回が勝負です。
――焙煎が上手くいったかどうか、作業の途中で“予感”のようなものはあるんですか?
響くん:うーん、無くはないんですけど、やっぱりコーヒーにして飲んでみるまでわからないですね。それもコーヒー焙煎の魅力です。
■大坊勝次さんから学んだこと
――コーヒー通なら誰でも知る、大坊勝次さん(※1)とも交流があるそうですが。
響くん:はい。ただ、大坊さんは弟子を取る方ではないですし、実際ぼくも弟子ではないんですけど、なんて言うんでしょう…。
開人さん:最初のころはお互いの焙煎したコーヒーを持ち合って品評的なことをしたりもしていたんですが、最近は文化的な話というか、大坊さんの好きな絵だったり小説だったり音楽だったりの話をうかがうことが多いですね。
コーヒーの味については大坊さんのおかげもあって、響の目指すところも見え始めた感じです。今は技術的な話よりも、空間やムードなど「コーヒーをいかに楽しむか」ということをよく話していますね。
響くん:大坊さんもそうなんですが、僕も「喫茶文化」というか、今のカフェとは違う、「昔ながらの喫茶店」の雰囲気が好きですね。
――最近では「コーヒー第4の波」(※2)などと言われていて、コーヒーにより注目が集まっています。「これからコーヒーをたしなみたい」という人におすすめのコーヒーや飲みかたなどはありますか?

響くん:味覚は人それぞれなので、どのコーヒーがおすすめ、とは言い切れません。ただ、市販品にしても、自分で挽いて淹れるにしても、とにかくゆとりを持って、自分に「コーヒーを楽しめる環境」を作ってあげることが大切だと思います。
開人さん:自宅で飲むなら、お気に入りのデザインのカップを見つけることとか。
久美子さん:誰と飲むか、いつ飲むか、とかもね。
――なるほど。それでは、響くん自身が今までに飲んで美味しいと感じたコーヒーはありますか?
響くん:「スプロケ」(※3)のコーヒーは本当に美味しいです(即答)。あと、お店に直接行ったことはないんですが、豆をいただいたことがあるところだと「アアルトコーヒー」(徳島県徳島市)とか「ゼロハチコーヒー」(秋田県秋田市)のも美味しかったです。
いま挙げたのは全部深煎りなんですが、逆に浅煎りだったら銀座の「カフェ・ド・ランブル」(東京都中央区)ですね。
――それでは最後に、ホライズンコーヒーを愛飲してくださっているお客様に一言お願いします。
響くん:みなさんのおかげで今もこうして続けさせていただいているので、本当に感謝の気持ちしかありません。ありがとうございます。
久美子さん:おかげさまでリピーターになってくれる方も増えてきて。
開人さん:本当にありがとうございます。

※1:南青山の喫茶店「大坊珈琲店」店主。同店は入居ビルの取り壊しに伴い、惜しまれつつ2013年12月に閉店した。
※2:これまでのコーヒーブームでは「コーヒー豆の種類」「コーヒー豆の産地」「コーヒー豆が栽培された農園」がそれぞれ注目されてきた。最近の「第4の波」では「誰が焙煎したか」「誰が淹れたか」が注目の対象になるという。
※3:群馬県高崎市にある「スプロケットアンドコーヒー」のこと。コーヒーやコーヒー豆の移動販売もしており、その際のブランド名は「CAFE MAKAP(カフェ・マカプ)」。
桑原健太郎
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