JAXAらが送る”未来のレストラン”メニューが世紀末的……。実食レポート
東京ウォーカー(全国版)
「地球温暖化がこのまま進むと、未来の食事はこう変わってしまうかも」。そんな問いかけをコンセプトに、JAXAをはじめとする団体による「地球をみまもるプロジェクト」が2月25日(日)の1日限定で、未来レストラン いぶきをhanami 表参道にオープンする。

未来レストラン いぶきでは、温暖化などの地球環境問題と普段の生活との繋がりを身近に感じてもらうため、食をテーマに”ありうるかもしれない”メニュー5種を先着50人限定に提供する。オープンに先立ち、編集部は内覧会でそのメニューを試食した。
先に断っておくと、決して食べられないようなゲテモノが出てくるわけではないのだが……。今回は、そのあまりに絶妙なメニューを食レポ形式で紹介したい。
いろいろと真っ青な「BLUE PASTA」

見た目のインパクトが抜群なのが、”真っ青になったスパゲッティ・スピルリーナ”。スピルリナはスーパーフードとして脚光を浴びている藻の仲間。温暖化で小麦や米などの主要穀物の収穫量や栄養価が低下することを想定し、栄養不足をスピルリナで補った青い冷製パスタに仕上げた一品だ。
今でこそスイーツなどで青い食品は珍しくないが、やはりそのカラフルさはメインディッシュとしては異様。味は癖の強いチーズの風味で、単純な食の好みはあるにせよパスタの枠に収まっている。それだけに、食べ物は味だけではないということを再確認させられる。
たこ焼きの定義を考えたくなる「CRYSTAL TACOYAKI」

“未来の環境を見える化したたこ焼き”と題し、貴重品となった小麦の代わりにダシ汁のゼリーでタコをコーティングしたたこ焼き(?)。
ゼリー寄せのようなものだと思えばアリなのだが、たこ焼きという先入観が判断を曇らせる。ソースと青海苔とショウガは添えられているのに、ひんやり冷たいゼリーに寂しい気持ちがつのってしまった。
脇役に涙する「STEAK ON THE SIDE」

暑さで生産量や肉質が低下した食肉用の家畜が食卓の主役の座を降り、かわりに紫芋が躍り出るという未来予想から生まれた”主役の座を奪われたステーキ”。
塩こしょうの風味付けをされた紫芋に、申し訳程度に牛肉が添えられている。これ、見た目がスイートポテト然としているだけにステーキを再現しようとしてしきれていない味がもどかしくて仕方がない。今でも植物を材料に肉を再現する料理はあるが、ここまでくると騙すのは難しい……。
日本文化も永遠じゃない?「FUTURE SUSHI」

温暖化は気温だけでなく海水の温度も上昇する。その影響で大打撃を受けた魚介類の穴埋めに、あたたかくなった日本で獲れるトロピカルフルーツと人工イクラで作ったという設定の”ネタがつきた寿司”。
筆者が食べたのは人工イクラの軍艦巻きだが、紫に黄色というサイケデリックなカラーのイクラは、なんと海苔ではなくオブラートで巻かれていた。これにはさすがにたじろぎ、「このオブラートごと食べるんですね?」とスタッフに確認をしてしまったほど。人工イクラ自体はそれなりにイクラを再現しようと頑張っているのだが、どうしても寿司らしさが足りない。何故なら、この寿司には醤油もワサビも添えられていないのだから……。
子供の頃の夢だったのに…「UPSIDE-DOWN PUDDING」

乳製品が高級品になった世界では、プリンも大逆転。メインが黒いカラメル、その上にほろ苦さをマイルドにする黄色い部分が添えられたプリンだ。
小さい頃はカラメルの味が好きで「もっと黒い部分が多ければいいのに」と思っていた人も多いのではないだろうか。実際に分量が入れ替わったプリンを食べると、カラメルはアクセントだからこそその味が引き立つのだということを身をもって知ることができる。
未来レストラン いぶきは、JAXAの温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」に由来したネーミングだ。気象衛星「ひまわり」や小惑星探査機「はやぶさ」に比べて一般的認知度が低い人工衛星だが、地球上のさまざまな場所の温室効果ガスを日夜観測し続けている。
一見奇抜なレストランメニューも、伊達や酔狂ではなく地球温暖化への関心を少しでも高めようという思いによって作られたものだ。実際にその味を確かめたい人は、2月25日(日)の試食会に参加してもらいたい。11時から12時までの回と13時から14時までの回で各25人、全50人が参加可能。当日は朝8時から各回開始時間まで会場前で整理券を配布する。
試食会後は、15時から18時まで同会場にて「未来レストラン いぶき」のメニューや人工衛星いぶきなどに関連する展示を行う予定。こちらは入退場自由、整理券不要なのでこちらもチェックしてほしい。
また、未来レストラン いぶき特設サイトでは全メニューのレシピも公開。食べられなかった人は自宅でメニューを再現してみるのもいいかもしれない。

ちなみに内覧会の配布資料には、今回のメニューのレシートも添付されていた。お値段しめて1万7740円。これは食料価格が最大80%高騰する可能性を反映した数字とのことで、試食会は無料なのでご安心を。……が、いずれ来るかもしれない未来では定かではない。
国分洋平
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