連載「関西カレー人(びと)に聞く」第1回：「口癖はカレー」主宰・三嶋達也さんインタビュー　関西カレーファンを集めてカレー情報を共有、イベントも手がける

関西は今、カレーブームが到来している。そのカレーブームを支えるキーマンにインタビューする「関西カレー人(びと)に聞く！」連載第1回。今回は、わずか20数人からスタートし、今や7,000人以上のメンバーを誇るFcebookグループ「口癖はカレー」を主宰する三嶋達也さんに、昨今のスパイスカレーブームや、今後の展望を聞いた。

◆口癖はカレーを立ち上げたきっかけを教えてください。

「『口癖はカレー』を開設したのは2011年ごろです。当時はスパイスカレーと呼ばれるオリジナル性の強いカレーを出す店はまだ数えるほどしかなかったんです。そこに『コロンビア8』や『旧ヤム邸』、『ボタニカリー』が出てきてものすごい勢いがあって、雑誌などでも取り上げられていました。ただ、まだ店が少なかったので、僕らカレー好きが行く店も重複していて、行くと誰か知り合いがいるような状況状で、そこで新しいお店の情報交換などをしていました。ところがその頃からFacebookが流行り出したのですが、グループを作る機能があったので、カレーファンのグループでも作ってみようかなって軽い気持ちで始めたんです（笑）」

◆どのようにしてメンバーを増やしたのですが？

「特に何もしてないです。最初は周りのカレー好きを適当に20人くらい招待してスタートしたんですけど、カレー好きが知人を誘い合って、あっという間に100人になりました。カレー好きの多さに驚きましたね。その人たちがまたカレー好きを誘ってあれよあれよと500人になった。そしたら雑誌に取り上げてもらって、さらにメンバーが増えて2014年ごろには1,000人くらいになったので、イベントをしようという話になったんです」

◆どんなイベントですか？

「千日前 味園ユニバースを借りて、カレーと音楽のイベントを開催しました。名前はそのまんまで『口癖はカレー』（笑）。第1回目はどうなるかわからなかったので、Facebookメンバーを中心に前売券だけを販売したのですが、500枚が完売しましたね。それからは年に1回開催するようになりました」

◆すごいですね。でもなんでこんなにカレー人気が出たと思いますか？

「『口癖はカレー』に集まったカレーファンの中には、店を食べ歩くだけでは飽き足らず、趣味としてカレー作り始める人もいるんです。

でも、少し前まではスパイスが手に入りづらく、神戸までわざわざ買いに行かないといけなかった。だから、SNSを通じて誰かが買いに行くのに便乗して、みんなが『このスパイス買ってきて』と週末に行ってもらってた。それがネットでもスパイスが販売されるようになってきて、カレーを作るマニアがさらに増えてきたんです」

◆カレーを作る人が増えたことが流行のきっかけに？

「素人とはいえ、おいしいカレーが完成すれば食べてもらいたくなりますよね？　その頃から、バーの昼間やカフェの定休日を間借りして、カレーを出す店が増えてきたんです。『谷口カレー』などが出てきて、間借りというスタンスが広まってきました。間借りだと一から設備を導入する必要がありませんからね。借りる方は初期費用が抑えられますし、貸す方も家賃が入る。お互いが得します。得するならやろか、っていう大阪の気質が間借りカレーを広めた要因だと思いますよ。僕もサラリーマンですが、天満橋の『Cafe Tokiona』」の定休日である、水曜日だけ間借りスタイルで営業している『ニッポンカリー。水曜日のオルタナ』をプロデュースしています」

◆まさに大阪らしいですね。今後はどうなると思いますか？

「スパイスカレーは定義がなく自由に作れる、言い換えればスパイスぶっかけ飯。だからまだまだいろんなスタイルが出てくると思います。そしてスパイスはヘルシーなイメージもあるし、今後はいろんな業種がスパイスに注目するんじゃないでようか？　すでに、スパイス料理を出す居酒屋やバルがすでに登場してますからね」

（終わり）

＜三嶋達也さんプロフィール＞

約7,000人のメンバーを有するFacebookのカレーファングループ「口癖はカレー」の主宰者。カレーの情報交換を目的に知人のカレー好きを招待して約20人でスタートしたところ、カレー好きがカレー好きを呼び瞬く間にメンバーが増えた。約1,000人に達した14年前に、千日前の味園ユニバースでカレーと音楽のイベント第1回「口癖はカレー」を開催。以降、年1回ペースで開催している。

エフィール