影山貴彦のテレビのホンネ。「KBS京都とサンテレビ 『森脇伝説』が面白い」
関西ウォーカー
元毎日放送プロデューサーで、同志社女子大学情報メディア学科の影山貴彦教授が、“関西ローカル”のテレビ番組の核心に迫るコラム!
演出過多やグイグイ感がない、いい形で芸の熟した森脇が街と向き合う
「森脇伝説」をご存じだろうか? KBS京都とサンテレビの共同制作で、2014年4月から放送されている。番組のコンセプトは、「街にあふれる伝説の数々を発掘。森脇健児が、あの手この手で街と向き合う一生懸命バラエティ」だ。関西ローカルの良さがあふれた番組だ。
ファイトあふれるランナーとしての印象も強い森脇。毎年春と秋に放送されるTBS制作「オールスター感謝祭」での名物企画「赤坂5丁目ミニマラソン」での彼の雄姿を楽しみにしている人も数多いことだろう。若い頃仕事を共にしたことがあるが、イメージ通りの熱き男なのだ。
「森脇伝説」ではヒット企画も多い。チキチキジョニー(石原・岩見)の2人と森脇がゆるくドライブする企画も面白い。先だっては、石原の実家のある岡山県新見市を訪れていた。番組で使用する車はチキチキジョニーの本当の愛車だ。1年間で3万キロを2人で走るという。

当初は朝早くからのロケということで、あまり乗り気でなかった森脇だったが、地元の名勝やグルメに触れ、一気にテンションが上がっていく様子が良かった。芸人になることを反対していた石原の母とのエピソードにグッと来た。娘を思う母、母を思う娘。石原の涙は本物だった。阿部寛主演の映画「祈りの幕が下りる時」で、女優としても素晴らしい才能を見せた石原。相方の岩見もそうだが、裏表のないまっすぐな性格がいい。2人の漫才も、年を重ねさらに面白くなってきた。
テレビは時に演出過多になる。視聴者の興味を少しでも引き付けようと、大げさなタイトルをつけたりもする。だがそれは大体逆効果となる。「森脇伝説」にはそんなグイグイ感がない。いい形で芸の熟した森脇と交流深い演者やスタッフたちとの信頼関係があればこそ、街の人たちとの交流もうまくいく。熱さの中にまろやかな旨味のある番組だ。
【著者プロフィール】かげやまたかひこ/同志社女子大学 学芸学部 情報メディア学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「影山教授の教え子が泣きにくる。~涙が笑顔にかわる京都の女子大研究室」など。
影山貴彦
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