影山貴彦のテレビのホンネ。「小曽根 実さん特別番組NHK神戸の粋な企画」
関西ウォーカー
元毎日放送プロデューサーで、同志社女子大学メディア創造学科の影山貴彦教授が、“関西ローカル”のテレビ番組の核心に迫るコラム!
ジャズを「楽しむ」ことを大切にした、神戸のジャズ界を支えた小曽根 実さん

3月4日にNHK総合テレビ(兵庫県内向け)で、「神戸ジャズの”ビッグパパ”小曽根実さん 自分だけの音を奏でろ!」が放送された。在りし日の小曽根さんを、演奏VTRと本人や関係者の話で振り返っていた。関西ジャズ界の重鎮、古谷 充さんのサックスと「小曽根実トリオ」(小曽根さん、上場正俊さん、魚谷のぶまささん)によるセッションも流れた。古谷さんは、以前私が担当していた番組にゲストとして出演いただいたこともある。
ジャズを「楽しむ」ということを大切にした小曽根さんの人柄があふれた番組だった。今やその道の第一人者である橋本のりこさんがナレーションを務めていた。彼女の抑えた声が心に響いた。
「客が10人いて、8人くらいがおしゃべりをしていたとしても、1人か2人くらいは絶対耳がこっちを向いている。僕はその2人のために弾いたるぞという気持ちで弾く」小曽根さんならではの言葉だ。阪神・淡路大震災では、自身も大きな被害を受けながら、生まれ育った愛する神戸のために震災後、復興支援ライブを開くなど、神戸をジャズで盛り上げようと尽力し続けた人でもある。
日本のジャズ発祥の地といわれる神戸。その神戸に小曽根さんのような方がいらっしゃったことが素晴らしいと思う。今回のスペシャル番組を制作したNHK神戸の制作陣に拍手を送りたい。
番組を御覧になれなかったみなさんへ。毎週金曜の夕方には、NHK神戸放送局1階の公開スタジオ、「トアステーション」で、「ジャズライブKOBE」というミニライブを楽しむことができる。ライブの一部は、その日の「ニュースKOBE発」で生放送される。神戸らしい粋な企画だ。
【著者プロフィール】かげやまたかひこ/同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。「カンテレ通信」コメンテーター、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。
影山貴彦
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