影山貴彦のテレビのホンネ。「市井の人々への愛情・ 探偵!ナイトスクープ」
関西ウォーカー
元毎日放送プロデューサーで、同志社女子大学メディア創造学科の影山貴彦教授が、“関西ローカル”のテレビ番組の核心に迫るコラム!
「ボクはナイトスクープの大ファンです!」西田さんの心意気が象徴された言葉

「探偵!ナイトスクープ」(ABCテレビ)が、放送開始から30年を迎えた。関西だけでなく、日本のテレビ界に大きな影響を与え続けている「お化け番組」だ。全国ネットのバラエティが、「ナイトスクープ」のネタを後追いしているのを目にすることも多い。番組がこれほど長く続いたのは、何よりも魅力ある探偵たちや番組スタッフの卓越した企画・制作能力があればこそだ。心からお祝いを申し上げたい。
「ナイトスクープ」の顔は局長だろう。上岡龍太郎さんが放送開始から12年あまりを務め、2代目の西田敏行さんが就任し18年目となる。番組の礎を築いたのは上岡さんだ。笑顔を浮かべながらも、「ええ加減なことしたら、承知せえへんで!」的な独特の緊張感を探偵たちに与えた。彼のような天才司会者は、今も他に多くない。だからこそ、後任を誰に託すのかは番組にとって大きな問題だった。 局長の人選を間違えば、一気に番組の魅力を損なうことになりかねなかった。
ちなみに上岡龍太郎さんが芸能界引退のため局長を退いてから、およそ8か月局長不在の時期がある。プロデューサーはじめ、スタッフたちがあらゆる可能性を必死で模索した証拠だ。
そんな中、新局長に抜擢されたのが日本を代表する俳優の西田敏行さんだった。上岡さんとは、180度キャラクターが異なる。新局長就任が決まり、西田さんはとびきりの笑顔で、「ボクはナイトスクープの大ファンです!」とおっしゃった。 本気で局長を務めます!という西田さんの心意気が象徴された言葉のように思えた。
多くの視聴者、特に関西人がとりわけ「探偵!ナイトスクープ」が好きなのは、市井の人々への愛情がしっかり注がれた番組だからだ。上岡さんからバトンを受けた西田局長が、その愛情を変わらず大切にし続けている意味は大きい。
【著者プロフィール】かげやまたかひこ/同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。「カンテレ通信」コメンテーター、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。
影山貴彦
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