休日は観光列車に乗って ~レトロを楽しむ“ノスタルジック”女子旅~ vol.2 特急 はやとの風

九州ウォーカー

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「最近、ため息が多くなったかも」……そんなときこそ、旅に出よう。旅の楽しみ方はいろいろだけれど、ちょっと疲れた心と体には列車の旅がちょうどいい。どこ行く?何する?何食べる?会話を弾ませ、車窓からの景色に感動、駅弁に舌鼓、時々ウトウト…。ガタンゴトンと揺れる旅情と、ゆったりと流れるひと時に身を任せ、がんばった自分に“おつかれさま”のご褒美を。

イケメン列車「はやとの風」で歴史情緒に触れる


吉松駅では、運行日が重なれば「いさぶろう・しんぺい」と「はやとの風」が並んだ写真が撮れるかも!


吉松~鹿児島中央間を結ぶ「はやとの風」は、質実剛健な薩摩隼人をイメージした漆黒のボディが目を引く。木のぬくもりを基調とした客室は、車両によって色合いの異なる木材を使用。木の色によってクラシカルな雰囲気だったり、ログハウスのような温かみがあったりとそれぞれ見比べるのも楽しい。

明治の風情がそのまま残る『大隅横川駅』


木のぬくもりがやさしい展望スペース。大きな窓から緑豊かな景観を望む


『吉松駅』を出て、豊かな自然に囲まれた車窓からの景色に心洗われながら再び列車に揺られる。道中、日本名水百選にも選ばれた「丸池湧水」のそばを通り、『栗野駅』を経て『大隅横川駅』へ。『大隅横川駅』は同じ路線の『嘉例川(かれいがわ)駅』と並んで鹿児島県最古の駅として知られる。開業は明治36年(1903年)、110年以上前の姿を今に伝える木造駅舎は風情があって郷愁を誘う。ホームには太平洋戦争時の銃弾の跡が残った柱もあり、悲しい過去の語り部となっている。

県内最古の駅舎が残る『嘉例川駅』。駅事務室などがそのまま残されている。数分間停車するので、見学してみよう


嘉例川観光大使も務める「にゃん太郎」に会えるかニャ?


『大隅横川駅』から『霧島温泉駅』へ。「ああ、温泉に浸かりたい…」と心惹かれながらもそれは次の旅の楽しみにとっておいて、『嘉例川駅』へと到着。先の『大隅横川駅』と同じく、開業当初の姿を残す佇まいはどこか懐かしく、歴史情緒にあふれる。駅舎は国の登録有形文化財にも指定されるほか、この駅は全国的にも珍しい特急列車が停まる無人駅でもあり、鉄道ファンならずとも肥薩線で必見の駅として人気が高い。また、2005年頃から駅舎に住みついた「にゃん太郎」(正式名称は『たぬき猫にゃん太郎』)も密かな人気者。出会えるかどうかは、運とにゃん太郎のご機嫌次第?

名物駅弁とスイーツに舌鼓。


絶大な人気を誇る「百年の旅物語 かれい川」(1,080円)。サツマイモの天ぷら「ガネ」は揚げた形が蟹に似ていることから名付けられたそうだ


「これおいしい!」と箸を口に運びながらも「景色キレイ!」と視線は窓の外。この慌ただしさは駅弁あるある?


さて、『嘉例川駅』といえば、九州駅弁グランプリで3年連続1位を獲得した駅弁「百年の旅物語 かれい川」(1080円)は外せない。竹皮に包まれた弁当の中身は、甘く煮た分厚いシイタケをはじめ、味噌田楽やコロッケ、また地元で“ガネ”と呼ばれるサツマイモの天ぷらなど地元食材にこだわった品々。手作りならではのやさしい味わいながらもしっかりと素材の旨味を引き出しており、その味たるや、まさに王者の風格。駅舎でも販売しているが、人気駅弁なので、事前に駅弁引換券を購入し、車内で受け取るのがベターだ。(※日によって発売してない場合あり)

売り切れ御免!とろける「黄金のプリン 安納」(340円)


おなかいっぱいでもペロリ。「このプリンなら別腹です」


安納芋の濃厚なコクと香りがクセになる。「お願い、もうひと口だけ」


また、食後に「なんだか甘いもの食べたくならない?」そんなスイーツ好きにとってうれしいのが、土日祝限定で車内販売される「黄金のプリン 安納」(340円)。種子島産の安納芋を使い、まるでスイートポテトのように濃厚であとを引く甘さ。くちどけはクリーミーで、ひと口ごとに「ふふっ」と思わずほほえんでしまう。すぐに売り切れてしまう人気商品というのも納得。

旅は終盤。ダイナミックな景色が広がる鹿児島へ


車内で販売しているオリジナルグッズをGET!携帯ストラップ、立体キーホルダー各720円、D&Sストラップ1,080円


旅の思い出として記念乗車証にスタンプを押そう


記念乗車証は車内にて無料で配布している


『嘉例川駅』を出発後、途中、記念乗車証にスタンプを押したり、旅のおみやげにキーホルダーやストラップを購入したり、旅の思い出はどんどん増えていく。車窓からの美しい景色は相変わらずだが、よく観察していると、だんだんと木々に南国色が強くなってくるのに気づく。ここはもう鹿児島なんだと改めて実感。と同時に、終点が近づいていることがちょっぴり寂しい。

『隼人駅』を過ぎてほどなくすると、窓の外に海が見えはじめる。美しい「錦江湾」だ。そして錦江湾の向こうには、今も活発に噴煙を上げ続ける鹿児島のシンボル桜島。さらに進むと名勝「仙巌園」も現れる。このあたりが「はやとの風」自慢の景観にして、下り路線のクライマックス。上り路線では旅の幕開けとなる。『鹿児島駅』を過ぎたら、終点『鹿児島中央駅』へ。名残を惜しみつつ、楽しい思い出と一緒に私たちを運んでくれたイケメンな「はやとの風」と記念撮影してフィニッシュ。

レトロな客車や駅舎、そして大自然がもたらしてくれたのは、ゆるやかに流れる時間と忙しい毎日から離れた非日常。今回は熊本から下りのルートだったが、上りはルートは同じでもまた違う感動がありそう。このまま往復するのもいいかも?

特急 はやとの風ルートMAP


[特急はやとの風] 吉松~鹿児島中央 1日2往復 / 運行日 要問い合わせ / 大人片道2500円(乗車券1470円、特急券1030円) / 予約・問い合わせ 092‐482‐1489

【取材・文=前田健志(パンフィールド) / 撮影=福島啓和】

前田健志

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