村サスペンスミステリーの金字塔に清水崇監督が挑んだ映画『八つ墓村』を鑑賞。ベストセラー小説を完全新作として映画化した超大作!
東京ウォーカー(全国版)
2026年9月18日より全国公開された『八つ墓村』は、尾上松也とJホラーを牽引し続けてきた清水崇監督がタッグを組んだ作品。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。
【ストーリー】
内定ゼロ、彼女ナシの大学生・井川辰弥(奥智哉さん)のもとに舞い込んだ母の訃報。辰弥は、奇妙な探偵・金田一耕助(尾上松也さん)に誘われ、岡山県山奥に潜む「八つ墓村」を訪れる。
すると、封印されたルーツと怨念の記憶が目を覚まし始めた。
村では、名家・田治見家の莫大な遺産の相続人である辰弥の帰還に合わせたかのように、不可解な連続殺人事件が発生。
辰弥は、奇妙な探偵・金田一とともに、美しき未亡人・森美也子(堀田真由さん)、双子の大叔母・小竹と小梅(高島礼子さん)、そして不気味な村人たちと関わっていくなかで、事件に巻き込まれてゆくのだった…。
清水崇監督とタッグを組んだ尾上松也が名探偵・金田一耕助役に挑む!
監督を務めるのは、『呪怨』シリーズ(1999年〜2006年)を手掛け、ハリウッドリメイク版として世界中で公開された『THE JUON/呪怨』(2004年)が、日本人監督として初めて全米興行収入1位を獲得するなど、世界的にJホラーを牽引し続けてきた清水崇さん。
清水監督は、『犬鳴村』に始まる恐怖の村シリーズ3部作(2020年〜2022年)や、『忌怪島/きかいじま』(2023年)、『ミンナのウタ』(2023年)、『口に関するアンケート』(2026年)などを手がけ、多くのホラーファンを楽しませてきた。
そんな清水監督とタッグを組んだのは、映画『ミステリと言う勿れ』(2023年)やNetflix映画『Demon City 鬼ゴロシ』(2025年)、Netflix映画『新幹線大爆破』(2025年)などに出演し、『モアナと伝説の海』(2016年)では声優として参加するなど、幅広く活躍する尾上松也さん。
本作では、映画版の石坂浩二さんやテレビドラマ版の古谷一行さんをはじめ、多くの名優たちが挑んできた名探偵・金田一耕助を、どこか飄々としたキャラクターとして表現している。
亡き母のルーツをたどるなかで、連続殺人事件に巻き込まれる青年・辰弥を演じたのは、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(2025年)の徳川家基役で注目を集め、映画『映画ラストマン -FIRST LOVE-』(2025年)や現在放送中のドラマ『俺たちの箱根駅伝』など話題作への出演が続く若手俳優の奥智哉さん。
辰弥を村に迎え入れる田治見家の親族・森美也子を演じたのは、ドラマ『御上先生』(2025年)、『僕達はまだその星の校則を知らない』(2025年)、『一次元の挿し木』(2026年)などに出演し、2026年8月28日より公開された『私はあなたを知らない、』では、シングルマザー役に挑戦した堀田真由さん。
さらに、田治見家の双子の老婆小竹・小梅を高島礼子さん、辰弥の兄・田治見久弥とその父・要蔵を滝藤賢一さん、辰弥や金田一とともに事件を追う磯川警部を小籔千豊さんが演じており、それぞれが独特なキャラクターを見事に体現している。
滝藤賢一の演技が光る身の毛がよだつ惨劇シーン、村サスペンス好き必見の1本!
金田一耕助といえば、『犬神家の一族』(1976年)の石坂浩二さんのイメージが強いが、筆者は市川崑監督がメガホンをとった『八つ墓村』で豊川悦司さんが演じた金田一がかっこよくて好きだった。
本作の尾上松也さん演じる金田一は、飄々としていはいるけどミステリアスな雰囲気はあまりなく、少しコミカルな一面がある。尾上さんが新たに作り上げた金田一耕助はとても新鮮で、ユーモラスなシーンでは親近感が沸いたのもよかった。
清水崇監督が手掛けたということは、Jホラーの要素が少なからずあるはずで、展開や結末を知っている身としては“どうやってホラーっぽくしていくのだろうか?“と気になっていた。そしていざ鑑賞し始めると、清水監督らしいホラー演出や予想していなかった恐怖シーンが登場し、“キタキター!これですよ!”と思わずニヤリ。もちろん、『八つ墓村』の世界観もしっかりと受け継がれているので安心してほしい。
原作が発表されたのは1950年で、物語の背景には本家と分家の身分差や妾と異母兄弟の確執など、いまの社会ではなじみの薄い要素も盛り込まれている。本作では、基本設定や因習モノのエッセンスはそのままに、舞台を昭和初期から現代に移し、偏見を持つ村人が扇動され、やがて暴動を巻き起こす物語として描いている。
村を舞台にしたサスペンスドラマだと『ガンニバル』(2022年、2025年)、ホラー作品では、田舎の村を訪れた女性が得体の知れない恐怖を体験する『みなに幸あれ』(2024年)、平和な田舎の村に得体の知れないよそ者がやって来たことから巻き起こる恐怖を描いた『哭声/コクソン』(2017年)あたりを思い出す。
筆者はこういった閉鎖的な地域で起こるサスペンスものやホラー、変な風習や気味の悪いお祭りがある村が舞台の作品と聞くとワクワクが止まらない。なぜかというと、信じられないようなヤバいシーンが登場する確率が高いからだ。
『八つ墓村』では“八つ墓村の祟り”によって男が殺戮を始めるシーンがあり、大きな見せ場となっている。清水監督版ではどうなっているか楽しみにしていたところ、頭に2本の懐中電灯をくくりつけ、女面をかぶり、日本刀と猟銃を背中に差した異常な姿の要蔵が、次々と人々を殺めていくシーンがしっかり怖くてテンションが上がった。滝藤さん演じる要蔵の身の毛がよだつ惨殺シーンは、悪夢を見そうなほど恐ろしかった…。
清水監督ならではの“怪奇幻想ロマン冒険譚”としての魅力を再構築したミステリー超大作『八つ墓村』。ぜひ劇場で鑑賞してもらいたい。
文=奥村百恵
(C)2026「八つ墓村」製作委員会(C)Yokomizo Seishi/KADOKAWA
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