【郵便局員のホラー】「霊はいない」断言する局員を襲う恐怖→死んだ住人との遭遇と背中の“濡れた桜”
東京ウォーカー(全国版)
現役の郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さんのもとに集まった、同僚たちが体験した不思議な話や怖い話を漫画化したのが『郵便屋が集めた奇談』である。毎日、町の隅々まで郵便物を配達して回っている局員たちは、どんなに怖い体験をしても、配達物がある限りその場所を回避することはできない。
今回紹介するのは「僕は霊を信じない。幽霊を見たとかそんなのは錯覚だと思っている」と断言する、I局の配達員・山本君のエピソードだ。霊に否定的な彼が、桜の季節になると思い出す不気味な体験である。
散ったはずの桜を見つめる住人と、揺らぐことのない信念
数年前の春、とある家へ配達に訪れた山本君は、庭先にたたずむ家主と遭遇する。手渡ししようと声をかけるが、一向に振り向かない。熱心に何かを見ている様子だったため尋ねてみると「桜を見ているんです」と答えてくれた。しかし、その返答には奇妙な点があった。
この『桜』のエピソードについて送達ねこさんに話を聞くと、山本君は現在も「人は死んだら無に還る。幽霊もいるはずがない」というスタンスを変えていないという。
「もしも僕が霊の存在を信じていたなら“こんなこともあるかもしれない”と受け入れて、これほどは引きずらなかったかもしれない。自分としては全くありえないことなので、いまだに不可解というか、とても気持ちの悪い体験になっています」と山本君は語る。芯を持って霊を信じない彼だからこそ、得体の知れない不気味さを感じているようだ。
自分では見えない背中につけられた“濡れた花びら”
作中では、山本君の背中にびっしりと着いていた“濡れた桜の花びら”が不気味に描かれている。読者からも「逃げようと背中を向けたときにつけられたのでは」という声が上がったが、彼自身も同僚に指摘された瞬間を思い出すとゾッとするそうだ。自分では見えない背中に花びらをつけられたことについて、複雑な思いがあるという。
「死んだ住人の家から、逃げる自分を追いかけてきた花びら。ずっと霊の話に背中を向けてきた自分に、背後から声もなく呼びかけてくるものがあるようで、それもまたこの体験を忘れがたいものにしている一因と思います」
すでに桜は散っていた時期に、なぜ彼の背中に濡れた花びらが付着していたのか。不可解で説明がつかないことが起きるのが、世の中である。『郵便屋が集めた奇談』は「けっこう背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい」と読者からも好評だ。日本のどこかの町でひっそりと起こる“怪異”を、ぜひ覗き見してみてほしい。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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