ミャクミャクとトゥンクトゥンクも祝福!万博の「null²」が横浜で転生、落合陽一プロデュース「null²ⁿ」が横浜ランドマークにオープン
東京ウォーカー(全国版)
大阪・関西万博で長い行列と予約争奪戦を生んだシグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」。見たかったのに入れなかった——そんな声に応える形で、その世界観を受け継ぐ常設ミュージアムシアター「null²ⁿ(ヌルヌルネクサス)」が、2026年10月14日、「横浜ランドマークタワー」のランドマークプラザ5階にオープンした。プロデューサーはメディアアーティストの落合陽一さん。鏡とLEDに囲まれたシアター、完全な暗闇の部屋、人類の発明品がずらりと並ぶギャラリーなど、入口の「門」から5つのエリアを約60分かけて巡る体験型の施設だ。万博の会期は半年だったが、こちらは会期を定めない常設施設。開業に先立って行われたオープニング記念セレモニーの様子と併せて、特別内覧会で体験した館内を紹介する。
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万博の熱狂が横浜に!オープニング記念セレモニーで落合陽一さんが語った思い
開業に先立つ10月9日、ランドマークプラザ1階のガーデンスクエアで、「null²ⁿ」のオープニング記念セレモニーが開かれた。2025年の大阪・関西万博で、落合陽一さんがテーマ事業プロデューサーとして手がけた「null²」は、鏡の膜でおおわれた建物が低い音とともに揺らぐ姿が会場でもひと際目をひき、会期中は延べ約53万人が体験した。それでも万博全体の来場者数から見れば、中に入れたのはごく一部。セレモニーに登壇した落合さんは「2500万人の来場者がお越しいただいても、約2%しか入れなかったというのが実情」と振り返り、「ここ(null²ⁿ)は幸いなことに、会期は6カ月で終わりませんので、かなり多くの人に満足してもらえると思う」と語った。
さらに落合さんは、人類が道具を使い始めて約300万年が経つなかで、「AIが出てきて、人間は道具を自分で作るということから卒業しそうになっています」と指摘。そのうえで「身体とは何か、記号とは何か、知性とは何か、みたいな問題について難しく考えるのではなく、体験的に理解できて、かつ芸術的に感じられるような施設を作ろうというのが、今回のプロジェクトの非常に大きな意図です」と、「null²ⁿ」に込めた想いを明かしてくれた。
万博から続く今回の展開について、落合さんは「万博ではやりきれなかったいくつかの作品構想があったので、それを無響室で表現した」と明かし、「これから新しいスタートなので、いろんなものがアップデートされたり、作品がよりよくなってきたりします」と語った。「null²ⁿ」は、大阪・関西万博の「null²」と、2027年開催の「GREEN×EXPO 2027」に登場する「null⁴(テトラヌル)」をつなぐ存在でもある。
来賓による祝辞に続いて行われたテープカットには、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」と、GREEN×EXPO 2027の公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」も駆けつけた。大阪から横浜、そして来春の園芸博へと続くバトンを象徴するキャラクターたちが並び、会場は晴れやかな雰囲気に。
鏡と映像が生み出す異次元空間!「門」から始まる没入体験
「null²ⁿ」の見どころは、鏡や映像、音、振動などを組み合わせた、五感を刺激する没入体験だ。館内は「門」から始まり、「壱(いち)の間」「弐(に)の間」「参(さん)の間」「肆(し)の間」を経て、最後の「橋」へと続く構成となっている。まず迎えてくれるのが、「null²」を思わせる鏡面の「門」。万博のパビリオン外装にも使われた素材を採用し、鏡面が揺らぐ様子や独特の音、振動によって、日常から別世界へと誘われる。
続く「壱の間」は、鏡とLEDが生み出すミラーシアター。大阪・関西万博で人気を集めた体験を横浜版として進化させたもので、LEDを5面に設置し、視界いっぱいに広がる映像世界を作り出している。デジタルヒューマンとなった自分たちとの対話や、LLM(大規模言語モデル)をモチーフにした演出など、見どころも盛りだくさんだ。
一転して、次の「弐の間」は、視覚に頼らず音や身体感覚で楽しむ暗闇の空間。無響室を利用した作品で、目から入る情報を遮断することで、普段は意識しない自分の身体や周囲の空間に向き合う。華やかな映像に包まれる「壱の間」とは対照的な体験で、五感の不思議さに気づかされるはず。
人類の発明品とAIの夢が押し寄せる!頭がクタクタになる圧巻の後半戦
「参の間」に進むと、カメラや工具など、人間が生み出してきたさまざまな道具が集められた空間が現れる。人間は長い歴史の中で道具を作り、使うことで生活を変えてきた。しかし、AIの進化によって、その関係も大きく変わろうとしている。ここでは、道具が並ぶ棚がさまざまな演出とともに動き出し、人間と道具の関係をあらためて考えるきっかけを与えてくれる。落合さんによると、人間が持つ「記号」とは何かを考える場所でもあるという。見慣れた道具がいつもとは違う表情を見せる、不思議な空間だ。
続く「肆の間」は、AIやコンピューターの内部で起こっていることを、光や映像によって表現したミラーシアター。AIが情報を処理し、学習していく過程を可視化したような世界が広がり、まるでコンピューターの中に入り込んだような感覚を味わえる。落合さんは「ここではお話を聞くというよりは、五感で人間と計算と自然の関係を捉え直すというところがポイント」と説明。目に見えないAIの世界を、身体で感じ取る体験が待っている。
そして、体験の締めくくりとなるのが「橋」。非日常の世界を巡ってきた来場者が、再び現実へと戻っていくための場所だ。ここにも、ちょっとした仕掛けが用意されているが、落合さんが「ネタバレにならないように、現場で楽しんでいただければ」と話していたので、詳細は伏せておこう。どんな体験が待っているのかは、ぜひ実際に訪れて確かめてほしい。
万博から横浜へ、そしてGREEN×EXPO 2027へ。進化し続ける「ヌルの森」
「null²ⁿ」での体験はここで完結するわけではない。2027年3月19日(金)、横浜・上瀬谷で開幕する「GREEN×EXPO 2027」(2027年国際園芸博覧会)では、「null²」の系譜を継ぐ新たなパビリオン「null⁴」がお目見えする。名前は「ヌルの2乗の2乗で4乗でいいじゃん」という思いつきから決まったそうで、落合さんいわく「花畑の中にある鏡のパビリオン」。外装には「null²」や「null²ⁿ」の門と同じミラー膜が使われ、建物そのものが動く可動構造になるという。
天井高に制約のある商業施設で内部の体験を作り込んだ「null²ⁿ」に対し、屋外に誕生する「null⁴」は、建築そのものがダイナミックに動く展示となる予定だ。また、アプリ「Mirrored Body(R)」は「null²ⁿ」の演出とシンクロし、「null⁴」でも連動するという。みなとみらいと上瀬谷、2つの施設を訪れる楽しみも広がりそうだ。
大阪・関西万博で「null²」を体験できなかった人も、もう一度あの世界に触れたい人も、横浜なら予約して訪れることができる「null²ⁿ」。落合さんも「2週に1回ぐらいは何らかの変化が訪れる」と、今後のアップデートにも意欲的で、「ぜひ一度ではなく、何度も遊びに来ていただければ」と呼びかける。みなとみらいの街歩きやグルメと組み合わせて楽しめる、横浜観光の新たな目的地としてこれからますます注目を集めそうだ。
取材・文=水島彩恵
(C) Sustainable Pavilion
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