東京ラーメン30年 なんでんかんでんetc 伝説の名店をプレーバック

東京ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

今や日本を飛び出し、世界中で愛されている“RAMEN”。そのトレンドの発信地はいつの時代も東京だ。特に90年代以降、目覚ましい進化を遂げた東京ラーメンの歴史を、ラーメン評論家・山本剛志さんがキーワードと共にひもといていく。

連日深夜まで長い行列ができた「なんでんかんでん」(写真は’92年ごろ)。同店をはじめ、環七沿いに人気店が次々と誕生。しかし路上駐車が横行し、社会問題へと発展していった


'90年ごろに環七ラーメン戦争が勃発 東京にとんこつブームを巻き起こした!


「80年代まで、東京のラーメンはあっさりした醤油スープが主流でした。しかしそれに風穴を開けたのが’87年創業の『なんでんかんでん』です。’90年ごろから人気が爆発して、行列店となり、店主は『東京のラーメンを豚骨(とんこつ)に変えた』とまで豪語しました。この店を筆頭に、環状七号線沿いのラーメン店に客が押し寄せ、路上駐車が社会問題に」(山本さん)。

まったく新しいラーメンを生み出し、それまでの概念を覆した'96年組の登場


「その後、新風を吹き込んだのが『'96年組の登場』です。『麺屋 武蔵』『中華そば 青葉』『くじら軒』がその代表格で、これらが誕生した'96年は東京ラーメン史において大転換期に。何が衝撃的だったかというと、既存の概念に捉われず、斬新なラーメンを作り出した点です。『青葉』の代名詞だったのが“ダブルスープ”。これ自体は'96年以前にもあったのですが、どんぶりの上で動物系スープと魚介系スープを合わせるというスタイルがほかにはなく話題に。『武蔵』がスープの主役に据えていた“サンマ節”は、当時市販されていなかったものを、水産会社に依頼して作ってもらったとのこと。このようにラーメンに用いる食材を開拓していくスタイルも画期的でした」。

【写真を見る】「麺屋 武蔵」の武蔵ら~麺。時代に合わせ、常に進化させており、現在はサンマ節不使用


「麺屋 武蔵」


「中華そば 青葉」の特製中華そばは、ダブルスープの元祖として、多くの店に影響を与えた


「中華そば 青葉」


2005年ごろに濃厚つけ麺ブーム到来! その牽引役となる有名店が誕生した


「00年代になると、『青葉』を模した店が急増し、“青葉インスパイア系”という言葉も生まれました。『青葉』がこの時代に与えたもう一つの影響は、つけ麺を広く認知させたこと。これが後の『濃厚つけ麺ブーム到来!』につながります。それまでのつけ麺はあっさり系が定番でしたが、『'96年組』が根付かせた魚介豚骨スープをより濃くしたつけ麺が躍進。そしてその人気を決定的にしたのが、'05年に創業した『六厘舎』と『つけめんTETSU』です。それまでも『勢得(せいとく)』(町屋→千歳船橋)や『二代目つじ田』(新御茶ノ水ほか)などがありましたが、『六厘舎』は海苔(のり)の上にのせた“魚粉”、『つけめんTETSU』は冷めたスープを温かくする“焼き石”と、ビジュアルのインパクトもあり、ブームの牽引役となりました」。

「六厘舎」のつけめんは、ドロドロの魚介豚骨スープ&極太麺の組み合わせで大人気に


「六厘舎」


2007年ごろから「まぜそば」の注目度アップ 豊富なトッピングを生かして多様化


「その後は『まぜそばが多様化』。東京・武蔵野エリアでは“油そば”の文化は根付いていましたが、それとは異なる太麺や豊富なトッピングを生かした “まぜそば”が脚光を浴びることになります。きっかけは'04年創業の『ラーメン二郎 横浜関内店』の“汁なし”で、それにヒントを得たのが、'07年にオープンした『ジャンクガレッジ』。この店は『六厘舎』のネクストブランドだったことも人気が爆発した要因となりました。ほかにも『担々麺 辣椒漢(らしょうはん)』や『阿吽(あうん)』(湯島)といった“汁なし担々麺”をウリにした店、“ピザそば”という創作まぜそばを編み出した『ajito ism』も同じく'07年に創業しています」。

大崎で創業し、現在は埼玉が拠点の「ジャンクガレッジ」のまぜそば


調味料を抑えた自然派ラーメンで注目された人気店が'11年組と呼ばれるように


「00年代に入ると、『自然派ラーメン』が注目されるように。その象徴が'11年創業の『響(もてなし) くろ㐂(き)』『ソラノイロ』『牛骨らぁ麺マタドール』で、“'96年組”に通じる部分もあることから、“'11年組”とも呼ばれています。これらの店は、調味料を極力抑え、自然食材を生かした自由な発想のラーメンを打ち出していきました。これには東日本大震災も少なからず影響しています。震災によって叫ばれるようになった食の安全性を意識し、さらには風評被害に遭っていた東北の食材を積極的に使う店もあり、被災地の支援にもつながりました。そして現在は、“鮮魚”や“鶏白湯(とりパイタン)”などがブームとなり、“鶏と水”だけで作るラーメンも今注目され出しています。各時代を彩った数々のラーメンをあらためて味わってみると、当時とは違った印象を感じることもあるので、興味深いですよ」。

「饗 くろ㐂」の塩そば。地鶏のスープ、国産小麦を使った自家製麺などこだわりが満載


「饗 くろ㐂」


「ソラノイロ」の特製ベジソバ。スープ、麺、具とすべてに野菜を使ったヘルシーな一杯


「東京ウォーカー CLASSIC 2000's」編集部

この記事の画像一覧(全11枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

紅葉特集2023

紅葉特集 2024

全国約1100カ所の紅葉スポットを見頃情報つきでご紹介!9月下旬からは紅葉名所の色付き情報を毎日更新でお届け。人気ランキングも要チェック!

CHECK!全国の紅葉名所人気ランキングはこちら

花火特集

花火特集

全国約800件の花火大会を掲載。2024年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!

CHECK!2024年全国で開催予定の花火大会

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る