「ルーヴル美術館展」開催!ナポレオンの君主像など、見逃せない肖像芸術を解説

2018年6月6日 18:30更新

東京ウォーカー(全国版) セキノユリカ

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「ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか」が、国立新美術館にて9月3日(月)まで開催されている。ルーヴル美術館を代表する肖像の傑作約110点が集結。その豊かなコレクションを日本で堪能できる貴重な機会だ。

人の似姿を表現する「肖像芸術」とは、一体どんなものなのか。今回、見逃しがたい作品をピックアップし、鑑賞のポイントを紹介する。

後世の肖像制作の手本に!アレクサンドロス大王の胸像

《アレクサンドロス大王の肖像》、通称《アザラのヘルメス柱》 2世紀前半、リュシッポスによる原作(前340-前330年頃)に基づきイタリアで制作 イタリア、ティヴォリ出土

《アレクサンドロス大王の肖像》、通称《アザラのヘルメス柱》 2世紀前半、リュシッポスによる原作(前340-前330年頃)に基づきイタリアで制作 イタリア、ティヴォリ出土
Photo © Musée du Louvre, Dist. RMN-Grand Palais / Daniel Lebée / Carine Déambrosis /distributed by AMF-DNPartcom

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《アレクサンドロス大王の肖像》、通称《アザラのヘルメス柱》。

ペルシャを征服してインドまで進出、大帝国を築いたアレクサンドロス大王。生前から既に神話になっていた。大王自身が自分の肖像を制作する芸術家を選び、その時代有名だった彫刻家リュシッポスに、自分の像を彫らせた。リュシッポスが制作したブロンズ像(現存せず)が、ローマ時代に、アレクサンドロス大王の活躍を示すために(頭部のみ)大理石で複製されたのがこの胸像だ。

側面にアレクサンドロスの名前が彫られおり、18世紀末に発見された。アレクサンドロスは若く、ハンサムに表現されている。西洋美術においては、モデルに似ているということに加え、理想化し、性格や人物像を表現することが重要とされていた。胸像のライオンのたてがみのように表現された髪の毛は、彼の情熱的で勇ましい性格をよく表しているようだ。征服者の作品の一つのコードとして、後世でも形が真似されていった。

胸像は、アザラという人からナポレオン・ボナパルトに、「アレクサンドロス大王の後継者である」という意味合いも含めて贈られ、後にルーヴル美術館に所蔵されることとなった。

キャリアの変遷がわかる!ナポレオンの肖像作品たち

【写真を見る】アントワーヌ=ジャン・グロ 《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》 1796年

【写真を見る】アントワーヌ=ジャン・グロ 《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》 1796年Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Hervé Lewandowski /distributed by AMF-DNPartcom

《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》。

1796年にアントワーヌ=ジャン・グロがミラノで制作したナポレオンの肖像。ナポレオンがまだ27歳と若く、オーストリア軍に勝利し成功した時の作品だ。この時グロも25歳と若く、同じように若い2人が、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌの仲介で出会った。

絵は動きがダイナミックで、ナポレオンが体をねじって顔を後ろに向け、自分の軍の兵士たちを応援しているようだ。上記のアレクサンドロス大王の作品のように、髪の毛がライオンのたてがみのようになびき、雄々しい印象を与えている。習作だがナポレオンの見ているところで描かれ、その後制作された正式な作品よりも筆跡が生々しく残っている。

クロード・ラメ 《戴冠式の正装のナポレオン1世》 1813年

クロード・ラメ 《戴冠式の正装のナポレオン1世》 1813年Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado /distributed by AMF-DNPartcom

《戴冠式の正装のナポレオン1世》。

こちらは皇帝となったナポレオンの彫刻で、クロード・ラメの作品。ルーヴル美術館の彫刻部門から初めて特別に貸し出された。

実際のナポレオンよりもかなり大きめで2メートルを超える大きさだ。ナポレオンはまっすぐ前を向き、人物自体は静かなたたずまいだが、マントのひだや首周りのレースなどが精細に再現され動きがある。

27年ぶりの来日!美しきナーニ

ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ) 《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》 1560年頃

ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ) 《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》 1560年頃Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado /distributed by AMF-DNPartcom

《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》。

ルーヴル美術館ではモナリザと同じ部屋に展示されており、注目を持っていかれがちだが、27年ぶりに来日したルーヴルが誇る肖像画の至宝だ。

16世紀のヴェニスは商業で栄え、貴族たちが活躍していた。貴族たちは自分たちの肖像をたくさん描かせ、その中でも人気だったのがこの絵を描いたヴェロネーゼという画家だ。

貴族たちが描かせた肖像画はいつも背景が暗く、女性の場合は肌の白さやブロンドの髪を際立たせるためだった。この絵に描かれた女性はとても裕福な家庭の人で、指輪をしているので結婚しているのではないかと言われている。そして、腹部から推測されるに妊娠していたのかも知れない。彼女を覆っている薄いベールは、一般的に妊娠している貴族の女性が着けていたと言われている。

彼女がしている金属類、宝石類は、ボリュームたっぷりに描かれている。宝石は日常の生活ではしないものなので、とても大切なシーンであるようだ。手をおいている布はトルコの布だそうで、ヴェニスがこの時代とても栄えていた印でもある。

よく肖像画で見られる表情と違い、彼女は眼をそらしており、恥じらいを見せているようだ。また、自分の手でベールを弄んでいるようにも見える。これらの要素から、この作品はとても個性的なものだとされている。

この他にも、同展には貴重な名品が目白押し。一つ一つ近寄ってじっくり鑑賞してみよう。古代から19世紀まで、さまざまな肖像芸術を見比べ、その魅力を存分に感じてほしい。

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