井筒和幸監督インタビュー「大人社会で生きる若者の本当の姿を知ってほしい」
関西ウォーカー
●井筒和幸 監督インタビュー
「ヒーローショー」(5/29(土)公開)
「大人社会で生きる若者の本当の姿を知ってほしい」
ことし、監督生活35周年を迎える井筒和幸監督の3年ぶりの新作「ヒーローショー」。お笑いコンビ、ジャルジャルを主演に迎え、気弱な専門学生・ユウキ(福徳)と自衛隊出身の青年・勇気(後藤)を中心に、暴力を繰り返す現代の若者の姿を描く青春映画だ。
「若者の不条理な暴力事件に対して、大人は“若者は何も考えてないやつらばっかり”とか根拠のないことを言うけど、そうさせてしまったのは、若者が育つ土壌をしっかりと作っていない大人なんですよ。僕の若いころも大人たちに“無気力”とか“無関心”と言われていたけど、実際はそうじゃない。気力もあったし、夢もあった。大人たちが若者をいかに無視していたかということです。だから若者に能力がないんじゃなくて、彼らを受け止められる皿が社会にないだけ。この映画を作って、もっといろんな人に若者たちの現状を知ってほしいと思ったわけです」
そんな若者たちの置かれた“いま”を象徴するのが、劇中に登場する“ヒーローショー”だ。
「正義や友情をテーマにしたヒーローショーをアルバイトで演じていても、実生活では生きるために正反対のことをしている。ヒーローショーと若者の姿を結び付けたら、いまの社会が見えておもしろいと思って」
ユニークな発想と共に、井筒映画ならではの凄まじい“暴力性”も拍車がかかる。主人公の暴力はエスカレートし、犯罪へと拡大。まさに救いのない負のオンパレードだが…。
「いま、暴力を美化しただけの映画が多いけど、僕は大嫌いで。救いのない物語でも、感じ取るものがあることが重要なんです。若者は主人公のことを他人事とは思えないし、逆に“あんなふうにならないようにがんばろう”とエネルギーがみなぎってくると思う」
不器用ながらも、懸命に生きる若者たち。彼らの視点に立てる監督だからこそ、この痛快な青春映画は生まれえたのだ。
(井筒監督プロフィール)
PROFILE●1952年奈良県生まれ。75年の監督デビュー以降、「岸和田少年愚連隊」('96)や「パッチギ!」('04)、「パッチギ!LOVE&PEACE」('07)など、さまざまなエンタテイメント作品を作り続けている。また、80年〜90年代を駆け抜けた人生エッセイ「ガキ以上、愚連隊未満。」(ダイヤモンド社刊)が発売中
(STAFF&CAST)
監督・脚本:井筒和幸 脚本:羽原大介 吉田康弘 出演:後藤淳平(ジャルジャル) 福徳秀介(ジャルジャル) ちすん 米原幸佑(RUN&GUN) 桜木涼介 林剛史 阿部亮平 石井あみ(’10角川映画/R15+)上映時間:134分
※梅田ブルク7ほかにて5/29(土)より全国ロードショー
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