明治からあるロングセラー駅弁も!関西のレジェンド駅弁4選
関西ウォーカー
関西でも特に歴史が長く人気も高い4つの駅弁。いつ誕生してどう発展していったのか、その知られざる物語を紹介。<※情報は関西ウォーカー(2018年6月5日発売号)より>
和歌山水了軒の「小鯛雀寿し(特上)」
「小鯛雀寿司」は源平時代に平維盛が有田の奥城山にこもった際に振る舞った兵食が起源と言われ、古くから和歌山に伝わる郷土料理。その伝統の味を駅弁として販売したのは136年も前のことだ。当初は1匹の小鯛の中にシャリを入れていて、その形がスズメに似ていることから「雀寿司」と言われるようになったそう。

口の中でほろりと崩れるような柔らかなシャリと、小鯛の歯応えが絶品。そのままの味を楽しむため、醤油は付いていない。
現在は尾付きの半身を使用しているが、紀淡海峡の海流にもまれた、身の締まった小鯛の旨さは当時と変わらない。秘伝の合わせ酢の味加減や締め加減のバランスも絶妙で、地元では街なかの寿司店で販売している所も多いが「和歌山水了軒」のものを求め駅まで足を延ばすリピーターもいるほどだ。詳しい年代は不明だが、戦後には切り身を使ったお手ごろな価格のものも用意するように。そちらは1080円から購入できる。

販売駅はJR和歌山駅。絶妙な味加減が評判の136年のロングセラー駅弁。鯛の好漁場として知られる紀淡海峡の小鯛で作る郷土料理だ。
■和歌山水了軒<住所:和歌山市太田394-4 電話:073-475-6150(本社) ※3000円以上の利用で和歌山県内(和歌山市、岩出市、海南市、紀の川市)の無料配達あり ※詳細要問い合わせ>
井筒屋の「元祖鱒寿し」
1889(明治22)年、東海道線が開通した時に駅弁販売を開始した井筒屋が、同じ米原にあり、当時「東洋一」と言われた醒井養鱒場のマスを使い、お頭や尾が付いたマスの姿寿司を販売したのが始まり。それから間もなくしてから見た目にもこだわる客の声に応える形で変更され、姿寿司ではなくマスの切り身と近江米の酢飯を使った現在の押し寿司になったという。

程よく脂ののったマスは、口の中でとろけるような食感。ひと口サイズなので車中でも食べやすく、箸が進むハズ!
マス寿司というと富山が有名だが、名前に「元祖」とあるのは、駅弁として販売したのが初めてだったから。酸味は抑えめでさっぱりした味わいなのが井筒屋流で、上にのった山椒のさわやかな風味が、マスの旨味を引き立てる。姿寿司は、東海道新幹線開業50周年に当たる2014年以降、予約限定で「元祖面構え鱒寿し」(1500円)として復刻販売しているので、そちらもぜひ味わってみてほしい。

販売駅はJR米原駅。ピリリッとした山椒がマスの旨味を引き立てる。客のリクエストに応え姿寿司から押し寿司に変化。

容器は当時と同じく木製だった。
■井筒屋<住所:滋賀県米原市下多良2-1 電話:0749-52-0006(本社) ※予約可(3日前まで)>
淡路屋の「肉めし」
淡路屋が宝塚で駅弁の販売を始めたのは1903(明治36)年。その後戦時中に神戸に拠点を移し、今ではいち早く加熱式駅弁を販売したり、人気キャラとのコラボ駅弁を考案するなど、時代に合わせユニークな商品を連発しているが、かつては戦後の物資の不足もあり幕の内や寿司が主力だった。その後物資が充実してきた高度成長期に、なにか神戸らしいものを作れないかと開発したのが肉めしだ。

肉の本来の旨味を堪能できる神戸名物の洋風弁当。錦糸卵と共にご飯にのる大きな肉は、柔らかく旨味もたっぷり。付け合わせにインゲンのゴマあえやフルーツなどが付く。
神戸といえばやっぱり牛肉。味もすき焼きのような和風でなく、異国情緒を感じさせる洋風のものを、と牛モモ肉を秘伝のタレに漬け込み、丁寧に焼き上げたローストビーフをサフラン風味のご飯にのせた洋風弁当が誕生した。淡路屋が多数の商品を展開する今でも、肉の旨味を存分に堪能できる肉めしは、神戸を代表する駅弁として愛されている。

販売駅は、JR新神戸駅、JR神戸駅、JR大阪駅など。

今と異なりリアル。当時は200円で販売されていた。
■淡路屋<住所:神戸市東灘区魚崎南町3-6-18 電話:078-431-1682(本社) ※3日前の午前中までに予約すれば、JR新神戸駅、JR神戸駅などの直営店舗での取り置き可>
水了軒の「八角弁当」
八角形の容器の中に、冷めても水分を保ちおいしく味わえる俵形のご飯や赤魚味噌祐庵焼、炊きかしわ、牛肉やマイタケの煮物など、薄味ながらダシがしっかり染み込んだ総菜が満載。出張で新幹線を利用するサラリーマンにはなくてならない関西人好みの駅弁として愛されてきた。なかでも口に入れるとジュワッとダシがあふれ出す優しい味わいの高野豆腐には芸能人のファンも多い。

胃にもたれる揚げ物はなく、肉、魚、野菜など、バランスよく18種の総菜が入っている。

薄味で優しい味わいの八角形の容器に入った和風弁当。販売駅はJR新大阪駅。
そんな逸品が一時姿を消したのが2010年。水了軒の事業停止により出張の楽しみを失った人々が続出した。しかしその味を岐阜の惣菜・弁当メーカー「デリカスイト」が受け継ぎ、幸運にも1年ほどで復活した。レシピが残っておらず味の再現には苦労したそうだが、以前からの職人が多く残っていたこともあり、関西人を魅了したかつての味は今も守られている。
■水了軒<住所:大阪市淀川区野中北1-16-16 電話:06-6150-4137(本社) ※大丸梅田店、阪神梅田店、近鉄百貨店上本町店で取り置き可>【関西ウォーカー編集部】
編集部
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