花火は化学だ。―「和火」と「洋火」など歴史を紐解く花火の色物語

東京ウォーカー(全国版)

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カラフルな花火も豪華絢爛で良いものだが、線香花火のような暗めのオレンジ色で大輪の花を咲かせる花火「和火」もまた違った趣があるもの。江戸時代の花火と同じ火薬で作られているという「和火」の歴史とともに、バリエーション豊かになった花火の色を紐解こう。

江戸に咲いた「和火」のリバイバル


明治時代になって外国からさまざまな薬剤が輸入されるようになるまでは、日本の花火は酸化剤が硝石だけだった。

そのため花火は暗い色の光で、今のような色彩豊かな明るいものはなく、麻・桐・松・竹といった異なる原料の木炭を使い、鉄粉や水銀、雲母、松ヤニや砂糖などを加えて試行錯誤の工夫を重ねていた。木炭の燃焼による色味だけで変化をつけるのに当時の花火師たちは苦心したという。「和火」とは、江戸時代までのこういった暗めの花火のことだ。

【写真を見る】和火の「大柳火」(C)K.Takeshi


一方、明治時代以降には輸入された薬剤や金属化合物を組み合わせて、現代と同じようなカラフルな花火「洋火」が主流となった。洋火の隆盛によって一度は姿を消したかに見えた和火だが、21世紀を迎える目前に復活を遂げることとなる。

その後、江戸開府400年にあたる2003年ごろからリバイバルブームが訪れ、現在ではすっかり定着。数多くの大会で和火が打ち上げられ、江戸時代から続く伝統の光と技術を今に伝えている。

花火の色作りは化学のはなし


現代の一般的な花火の色は、花火玉の中に詰められた星を構成する元素などの炎色反応を利用したもの。元素が高温で燃焼するときの炎の色を使って作り出している。元素によって発する炎の色が異なり、赤色はストロンチウム化合物、黄色はナトリウム化合物、緑色はバリウム化合物、青色は銅化合物。

また、強い白光を出すためにはアルミニウム、マグネシウムなどの化合物を使用する。新しい色の開発はさらに進んで、2000年代に入ってからはレモン色やライトブルーなど多彩なパステルトーンの花火も増え、すでにスタンダードなカラーとして流通しているという。

花火の色は年々豊富になっていく(C)photolibrary


時代のニーズに応えながら、技術の革新とチャレンジ精神によってさらなる進化を遂げていく花火。鮮やかな色の裏にある花火の歴史に思いをはせるのもいいかもしれない。

ウォーカープラス編集部

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