公開制作もあと4日間!現代美術家・会田誠に緊急インタビュー!「ぼく、絵描きじゃないんで」(2)
関西ウォーカー
【インタビュー(1)の続き】
―(笑)。お会いするまで、失礼ですがどれほど偏執的な方なのかと少々不安だったんですが、ショックを与えるための意図的に選んだ描写であると聞いて、ちょっとホッとしました(笑)。
(笑)。これは自己申告なんですけど、僕はコンセプチュアル・アーティストで、絵の具と筆を使うことが回数的に多いという世界的にも珍しい種類のアーティストなんですよね。だからぼく自身は「絵描き」ではないんですよ。コンセプチュアル・アーティストなので、やはり作るものは企画ありきで…企画というか、自分のなかの「意図」するところと言いますか。意図を効果的に出すために「画」が適しているなら、画を選択して、それならどういう描き方が適しているか…っていう。輪郭線を使うか否か、とか、輪郭線を使うんだったら、果たして漫画的なのか近代以降の日本画的なのか、とか。それぐらい「わざとらしく」画を描いてるんですよ。
―その「意図するところ」は、どのように決まってくるんですか?
僕は毎回、展覧会が決まってから作品を作り始めるんですけど、いつも一番最初のお客さんを気にしちゃうんですよね。そこに来る最初のお客さんが日本人なのか外人なのか、ギャラリーなのか美術館なのか、とか。そういうのを含めて、そこに来るお客さんに何を言いたいのか見せたいのかってところからはじめますね。
―あくまでも外向きに作品作りをされているんでしたら、時事ネタなんかは題材としては一般大衆と大きな共通項ですよね。
僕も時事ネタは出来る限りやりたいんですけど、そこは美術の世界でも一番難しい、ハードルの高いジャンルだと思っておりまして、だからこそ挑戦もしてみたいんですが失敗の可能性も高いので。なんで美術において時事ネタが難しいのかっていうのはいろいろ理由がありまして、美術というものは単純に、作って見せるまでに時間がかかるので、一般ジャーナリズムに比べて時間的にあまりにノロいこと、あとはどちらかと言えば時間が経っても見られるものであるべきところがあるので、出来れば普遍的なものを取り扱うほうが無難なんですよね。でもそれをやると、どんどんどんどん美術ってものが趣味的な、常に動いている社会から取り残されたものになっちゃって、それは僕的には悔しいっていうか。でもほんと時事ネタで成功したという話では、ビンラディンの映像なんかは、欧米人に人気があるみたいで。僕の時事ネタの成功としてはそれが唯一ですね。悲しいことに。
―今回の公開加筆で完全に完成ということですが、現段階はどのような状況ですか?
あと4日あるんですけど、こういうのってやりだすとキリがないんですよね。いま悩んでるのが、水の流れに黒い輪郭線をつけるかどうかなんですよ。たぶん付けても透明感には何も変わらないんですけど、僕にとって輪郭線を描く絵と描かない絵という大きな問題にぶつかってまして、水しぶきに関しては何となく描いてないんですけど、なんかどこか徹底してない感じもありながら、でもやるとなると「大変だなあ…」って(笑)。こういうのって「オール・オア・ナッシング」なんで、もう全部やっちゃうか全くやらないかでちょっと揺れてる状態ですね。…でもたぶんやる方向です。
―画を描いているところと完成の瞬間が見られるというのは、お客さんにしたら贅沢ですよね。
僕は、描いているところは基本的に妻にさえ見せないタイプですからね(笑)
―鶴の機織り(笑)。人目に晒されながら描くということにはだいぶ慣れましたか?
全く慣れないですね(笑)。昇降機で画の高いところに逃げてるか、怖い顔してるかしてますよ(笑)。僕の絵って結果オーライなところがあって、ゴールが同じなら行程はどうでもいいじゃないか、と思ってるんですよ。卑怯な行程とか、人が見たらガッカリするような行程をやるんで、あまり人に見せるものではないですよね(笑)。この絵も、下書きの段階では付箋がいっぱい張ってある資料のエロ本がいっぱい広がってましたからね(笑)。
(取材・文=三好千夏)
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