花火大会の開催事情って?ハナビスト・冴木一馬が解説
東京ウォーカー(全国版)
近年、新たな花火大会が増えている。特に日本の花火は世界一の芸術品とも呼ばれるほどで、外国人観光客の誘致には最適のアイテムであることも理由のひとつかもしれない。

花火大会といえば今までは各市町村の商工観光課、もしくは観光協会・商工会議所・青年会議所・旅館組合などの主催が一般的だったが、数年前から新たな花火イベントとして広告代理店も含めて企業が参入してきた。花火大会というものは、上手くやれば実は儲かるのである。
例えば、近年はほとんどの花火大会が有料席を設けつつある。価格はバラバラだが一人あたり1000円から、高いところでは7万円もするところがある。
1000円のところは一人が座れるスペースにパイプ椅子が1つあるだけだったりするが、価格に応じてお茶やお弁当、アルコールが出たり、ご当地の土産がついたりする。そして7万円ともなると、オマール海老を食べながらワイン片手に花火が堪能できたりする。有料席には「早くから会場に出向いて場所取りをする必要がない」というメリットだけでなく、こうした付加価値で勝負する方法もあるというわけだ。
ただし有料席を売るためには、花火そのもののパフォーマンスや目玉となる大会内容も必須である。私がプロデュースしている大会も年を追うごとに認知度が高まり、有料席もなんとか完売するようになった。
さて、新たに花火大会を始めるには様々な課題がある。まずは会場周辺の住民の理解を得たうえで綿密な企画書を作成し、行政に申請する必要がある。中でも一番大変なのが警備の問題である。

2001年7月21日にに発生した明石の事故、2013年8月15日に起きたた福知山での露店爆発事故などにより、花火自体のイメージが悪化し、悪者扱いされることも少なくない。新たに開催するには、開催時間や警備員の配置、その他多くの課題が増えたことも事実である。
私が運営に関わって始めた花火大会でも、様々な問題を乗り越えて手続きを進め、コンビニ等でのチケットの販売も終了し、いざ開催となった3週間前に「駐車場の台数確保が少ない」ということで取りやめになり、有料席の返金にまで至ったことがある。
しかしながら花火は老若男女、多くの人々に喜んでもらえる一大イベントで、数十万人から100万人以上の観客を集めることもできるので、一人あたりの予算を考えれば非常に効率の良いイベントであることは確かだ。

ところで、数十万人集まる、ある市の花火大会では、一晩に約3000件のクレームの電話が市役所にかかってくるそうである。クレームの内容は軒先へのポイ捨て(空き缶やペットボトルなど)の問題だそうだが、意外と多いのが「花火の音に反応して吠える犬の遠吠え」である。これがご近所からうるさいと言われるらしい。
特に初開催の花火大会では、どれぐらいの観客が集まるか予想できない。そのため、警備員などのスタッフを多めに配置をすることになるわけだが、「会場からどの辺りまで配置するのか」「大会当日の交通規制はどうするか」「観客の導線をどのように確保するか」など、多くの問題をひとつひとつクリアしていかねばならない。
さらに消防や、場所によっては河川事務所や公園管理者、航空法による許可申請や港湾管理者への許可申請など、多くの手続きが必要だ。
これらの面倒な数々の手続きを経なくてはならなくてもなお、目標が達成され、多くの人々に喜んでもらえた感動を主催者は忘れることができないという。【取材・文/冴木一馬(ハナビスト)】
ウォーカープラス編集部
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