フランスがベルギーを下して決勝へ、ムバッペと苺ショートと21世紀の王様
東京ウォーカー(全国版)
サッカーのロシア・ワールドカップ(W杯)の準決勝が、7月10日(火)に行われた。フランス代表はベルギー代表と対戦。サミュエル・ウムティティのゴールで1-0と競り勝ち、12年ぶりの決勝進出を決めている。

フランスのキリアン・ムバッペは、何か起こさないと気が済まないのだろう。
フェイント、足裏、ヒールパス。ひとたびボールに触れると、これでもかと、次々と技を繰り出していく。
W杯のセミファイナルという大舞台が、いつの間にか路地裏に見えてくるから不思議なもの。仲間内で技を競い合っているかのように遊び心に満ちたプレーとも言えるし、玉手箱のように今度は何が出てくるのかという楽しみもある。
同サイドでマッチアップしたベルギーの10番エデン・アザールがときに自陣でスライディングタックルを敢行する姿とは正反対に、守備はほとんど人任せ。ポール・ポグバやエンゴロ・カンテ、バンジャマン・パバールと、後ろに構える年上たちが走って奪い、必死に運んでくるボールをもっぱら待っている。
63分に自身が右サイドを突破して、アントワーヌ・グリーズマンに預けたボール。左サイドのグリーズマンが自身の走り込むゴール前に折り返したが、先に駆け付けたオリビエ・ジルーがムバッペの鼻先でシュートを打ってしまう。
「ココは俺だろ」
実際に言ったかどうかはわからないが、ジルーに見せたジェスチャーは、そんなオーラを十分に醸し出していた。
随分と嫌な印象を書き連ねたが、ムバッペはショートケーキにおけるイチゴ、あるいはそんなイチゴを最後に乗せる子供とたとえられるかもしれない。
甲乙つけがたい上等品ばかりが並ぶなか、違いをつけるのはケーキの上に乗ったイチゴになる。そのイチゴが、どれほど大きく瑞々しいか。ムバッペのプレーにはそんな華がある。
そして、乗せる人の意味。もちろん、最後に仕上げを担うということ。
大人たちが仕立て、最後は最年少が仕上げる。まさしくほとんど出来上がったショートケーキに、最後にいちごを乗せる子供のように。
なんとも得な役回りだが、それも誰もが認める才能があるから。同じく規格外で鳴らすポグバですら、「キリアンは俺より、よっぽど才能がある。彼の年齢であんなことやったヤツいるのか?」と言ったというほどである。
才能が走っているかにも思える19歳を見て、今から60年前にブラジル人の少年を見守る人々はこんな感覚だったのかと想像してみたり。
1958年のスウェーデン大会。背番号10を背負う小柄な17歳は、決勝で2ゴールを挙げて、ブラジルの初優勝に貢献。ペレというその少年は、のちに“サッカーの王様”と呼ばれることになる。
W杯の決勝は、21世紀におけるキングの戴冠式にもこれ以上ない舞台なのである。
小谷紘友
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