多部未華子「やってないのに、できない、と20代を終えるのはイヤ!」 舞台「TOP HAT」取材会レポート
関西ウォーカー
WEB連載「はーこのSTAGEプラス」Vol.54をお送りします。
ハリウッド・ミュージカル映画を代表するフレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースを主演に、1936年に日本でも公開された映画「トップ・ハット」をもとにした舞台版のミュージカル「TOP HAT」。2011年に英国で初演、13年に英国ローレンス・オリヴィエ賞で、最優秀新作ミュージカル賞、最優秀振付賞、最優秀衣装デザイン賞を受賞した名作だ。15年に初来日公演し、大好評を得た本作を日本人キャストで上演する。

ミュージカル・スターのジェリー・トラヴァースと美人モデルのデイル・トレモントの、おしゃれなロマンチック・ラブストーリー。見どころは主人公カップルの華麗なデュエットダンス、そして燕尾服とシルクハット姿のかっこよくてパワフルな群舞だ。
ジェリー役には坂本昌行、デイルを演じるのは本格ミュージカル初挑戦となる多部未華子。「ニンゲン御破算」(7/15㊐まで)で来阪公演中の多部は、芝居の中で、なんとわらじ草履をはいて軽やかにタップを踏んでいた! そんな彼女がミュージカル「TOP HAT」取材会に臨んだ。

ミュージカルとの出会いから、2か月間の集中レッスンを経てオーディションに臨んだことなど、その想いが伝わる取材会となった。舞台に映画にドラマに活躍中の彼女が、20代の最後に決めた新たな挑戦。切るのが惜しいので、取材会の内容を時系列に構成して紹介する。
【この世界に入ったきっかけは「アニー」】
もともと両親がミュージカルが好きで、「シンデレラ」「ピーターパン」など、子供向けの作品によく連れて行ってくれていました。なので、ミュージカルは小さい頃からなんとなく劇場に足を運んで観るものだったのですが、「アニー」を観たことがこの世界に入りたいと思った大きなきっかけです。
「アニー」は小学5年生の時に母親に連れられて観ました。毎日ただ学校に行っているだけの私と、毎日こんなにお客様を楽しませている同い年の子たちに衝撃を受けて、私もこんな毎日じゃない毎日を送りたいと思って。今も「アニー」はたまに観に行きますが、小学5年生の時に観たキラキラした感じはいまだに超えないというぐらい、私にとってとても衝撃でした。
【ダンスは子供時代に習っていたけれど。。】
ダンスは小学5年生から中学2年生ぐらいまでジャズダンスを習っていました。タップダンスも数回習ったことがあるんですが、でもそこから10年以上、ほとんどやったことがなくて。どこかでいつかはやってみたいなぁ、という気持ちもありましたし、今までミュージカルのお話もなかったわけではないですが、最初から踊れないし歌えないからできないという気持ちで、ずうっとずうっと避けて来たんです。

【今回、初めてミュージカルに出演を決めたのは】
ダンスもほとんどやってないし、歌もそんなに得意ではない。大好きだからこそ手を出せないということもありました。でも、20代最後にこのお話をいただいて、踊れないし歌えないからできませんと断る自分自身はどうなんだろうと思って。やってもいないのに、できませんって20代を終えるのはイヤだなと思ったんです。だから挑戦しようと。それで自分の意識が変わればいいなという、きっかけを作ってくれた作品でした。
【2か月間の集中レッスンを経て海外オーディションへ】
お話をいただいてから演出家さんに会いにロンドンに行くまでの2か月、ほかの仕事はほとんど入れずに、課題曲のダンスと歌を練習しました。2017年11月末から1月まで2か月ぐらい練習して、2月にオーディションに行きました。ほかの仕事をしながらレッスンすることも可能ではあったんですけど、そういうことではなくて、何かに努力して費やすことが必要な時期だと思っていたので。なので、オーディションに絶対受かってやる、という感覚ではなく、やれることは全力でやろうという気持ちで臨みました。受かってうれしいですけど、怖いなっていう感じですね、今も。
【オーディションでは】
オーディションでは演出家さんたちとコミュニケーションを取りながら進めるような感じで、とても楽しかったです。お芝居の中でのダンスなので、感情の流れの中に踊りや歌が入る。ただ単純にダンスを踊るというだけではなくて、振付ひとつひとつにも意味があることを、たくさん教えていただきました。
これはこういう意味があるから、ここはこんな手の出し方、こういう足の出し方で。この人に対してこういう感情だからこうなんだよと、ひとつひとつの意味を話してくださって、今までたくさんミュージカルを観て来ましたが、振りの中にいろんな意味があることを初めて知ることができました。
【デイル・トレモントはどんな女性?】
オーディションの時に、「デイルは1人の女性としてカッコよく、自立もしているモデル。でも、今まで出会ったことのない男性に出会って、なぜかわからないけど惹かれてしまい、そんな自分に戸惑う女性」と言われました。

【好きなシーンは?】
公園のタップのシーンです。オーディションの課題のひとつでした。1曲の中にすごくいろんな感情があって、初めは、何?この人みたいな感じで、ちょっとツンツンしてるのが、だんだん息が合って、楽しくなって、最後に愛に変わるという。1曲にすべてが詰まっています。
課題のダンスでもありましたし、タップもほとんど踊れなかったのも練習して、あの公園のシーンの感情の流れも知ることができて。思い入れのあるシーンです。
【これからの課題は】
イギリス人キャストでの振付と同じ振付で踊るので、どこまで出来るかなと。(撮影のために着た)こんなドレスを着るのも初めてですし、これで踊るなんて…。それに、踊ると息切れがすごいんです。今は踊りだけなのに、歌いながら踊るとなると、息の整え方とか今は全然わからないので不安です。ダンスもまだ不安しかないですが、これからのお稽古で、感情に乗せたダンスというのができるようになればいいなと思っています。頑張ります。
【坂本昌行さんのこと】
優しい方だと思います。年齢としても芸歴的にも先輩なので、大人の人だなという感じがします。稽古を重ねて、坂本さんと波長が合うようになればうれしいですね。ミュージカルもたくさんされていますし、勉強になることたくさんあるだろうなと思っています。
【これからの夢】
歌って踊れる俳優さんで、映像もやってミュージカルもやってっていう人もいらっしゃいましたが、今はミュージカルの人はミュージカルの人が、映像の人は映像の人がやるという感じがするので、そういう境界線がなくなって、映像の人でも、もっとミュージカルに挑戦できるような環境になればいいなと勝手に思っています(笑)。うまく言えませんが…私みたいにどっちもやりたいなって思う人が、本当にどっちもやれるような環境になったら、もっといろんな人に出会えるし、もっと自分の可能性を広げられるだろうな…。そういう夢があります。
【ミュージカルの魅力は?】
感動するし、心が震えて…ただ単純に前向きになれる。なぜかわからないけれど、ハッピーな気分にしてくれる力が、ミュージカルにはあると思います。今回の作品も情熱的ですごく幸せになれるミュージカルなので、翌日の朝ぐらいまで、その余韻に浸れるような、素敵な作品を作れたらうれしいです。ぜひ興味を持っていただけたらと思っています。
演劇ライター・はーこ
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