「この作品で、変われたな、というものが残る舞台に」/舞台『アンナ・クリスティ』佐藤隆太インタビュー
関西ウォーカー
篠原涼子が13年ぶりとなる舞台で初主演を務める「アンナ・クリスティ」に、佐藤隆太が恋人のマット・バーク役で出演する。作品は、ノーベル文学賞受賞作家のユージン・オニールが1921年に発表、ピューリッツァー賞を受賞した傑作戯曲だ。1930年に映画化され、グレタ・ガルボが主演した。また2011年、ジュード・ロウがマット役を演じたロンドンの公演は、ローレンス・オリヴィエ賞のベスト・リバイバル作品に。
15年ぶりに再会した船乗りの老父と暮らすアンナは、難破船から救った男・マットと激しい恋に落ちる。が、アンナの過去を知ったマットは…という物語。これまで3本のオニール作品を手掛けてきた栗山民也が演出する。

篠原と初共演、栗山演出も初めてという佐藤隆太。舞台は「いつも怖い」という佐藤と、久しぶりの舞台に緊張しながら立ち向かう篠原。「2人でお互いを応援し合いながら、この荒波を乗り越えたいなと思っております」と語る佐藤が、デビュー20周年を前に自分自身を見つめながら、舞台への意気込みを語った。
【作品の印象】
出演者が少ない人数で展開される話で、正直最初におっ!と感じたのは、セリフの量の膨大さですね。しかも発する言葉が全部エネルギッシュなんですよ。1日本気で1回公演しただけで喉がつぶれてしまうんじゃないかっていうぐらい。感情と感情のぶつかり合いが激しい作品なので、これは非常にタフな公演になるなと、少なからず緊張しています。
アンナと運命的な出会いをして、ひとめぼれして激しい恋が始まるんですけど、アンナの過去が許せなくて、ウジウジもがいてしまう。アンナ本人はもう変わっているのに、それが頭から離れない。書かれた時代は随分前の作品ですけど、今の時代に観てもらっても、きっと共感してもらえる普遍的なところを描いた作品だと思います。
自分の過去の恋愛とかを思い出して、ちょっと恥ずかしくなったり(笑)。男性のみなさんには共感してもらえる部分が多いかと。そして、篠原さんが13年ぶりの舞台ですよね。同じ演者から見ても、すごく素敵な篠原涼子さんを生で見れる。こんな機会はなかなかないですから是非お見逃しなく!(笑)。
【マットの役作り】
今回演じるマットというキャラクターが、たくましい、ザ・男という感じで。船乗りの荒々しいキャラクターなので、言葉遣いもすごく強い。僕は、小心者の一面があるので、自分に務まるかなと思ったんですけど、本を読み進めて行くうちに、彼もすごく繊細で、ある種、女々しい一面も持っている。そういうところをヒントに、役作りをして行けたらと思っています。

【過去の女性は気になる?】
若い頃はそういう時期もありましたね。でも、時間をかけていくうちに信頼関係が生まれて、忘れられるっていうか、考えなくなるというか…。女々しいという言葉がありますけど、男の方がよっぽど女々しいんじゃないかって、僕は自分自身に対してすごく感じるので気持ちはわかりますね。で、自分が人からそういう相談受けると「そんなの気にするなよ!今が大事だろ!!」とか言うんですけど、あれ?これ、果たして言える権利がオレにはあるのか、みたいな(笑)。そんなことは多々ありますね。
【アンナはどんな女性?】
魅力的な女性だなと思いましたし、そのアンナを篠原さんが演じられてる姿を想像すると、すごくワクワクします。辛い境遇に立たされている女性なので、その置かれた場所で日々を過ごすなかで、いろいろなことが自分の想いとは違うようになってしまった…。でも、すごく芯がしっかりとしている女性で、たくましく感じるし、汚れた部分というか、彼女なりに傷を負ってしまった部分も含めて、すごく人間臭いですね。マットは彼女の過去に対して拒絶しちゃうけど、でも実はそんなタフさも含めて惹かれてるのかなぁと。そういう人間力がすごくある女性なんじゃないかなと思いますね。
【篠原涼子と初共演】
「アンナ・クリスティ」のビジュアル撮影の時に、初めて一緒にカメラの前に立たせてもらったんです。1時間ぐらいだったと思うんですけど、すごく刺激的で楽しくて。最初は、大先輩ですし、はじめましてなので緊張もあり、具体的にこうしましょうかなんてお互い話せるわけじゃないんですけど、距離が近い撮影なのでいろいろ試してみたりして。あの短い時間でもあれだけ刺激的だったので、舞台で長い時間ご一緒できるのがますます楽しみになりました。「楽しかったです、舞台でもお願いします」って言った時に篠原さんも「私も楽しかったです」って言ってくださったので、稽古が始まってからがっかりされないように頑張りたいと思っています。
【栗山演出について】
舞台に立つ時は、いつもすごく怖いんです。自分の至らなさが直接的に出てしまう場所だと思ってるので。毎回、舞台のお話をいただくと、すごくうれしいんですけど、ひるむんですよね。でも、気づけば舞台でデビューさせてもらって、あっという間にもうすぐ20年。この先、お芝居を続けて行きたいと思ってるなかで、40代に差し掛かる時に、もっと自分に引き出しを作らなきゃいけないと感じています。
だから今回、栗山さんとご一緒させていただいて、一から叩き直してもらいたい。例え自分が逃げ出したくなったとしても。そんなことを期待するのもおかしいですけど、見つめ直したいんです。自分のお芝居に対する甘えみたいなものがあるならば、そこをビシっと叩き直してほしい。怖いですけどね。
さっきから怖い怖いって言ってますけど、自分はそういう小心なところがあるので、栗山さんとご一緒した経験豊富な先輩の役者さんに「どんな感じですか?」って聞いてみたんです(笑)。でも、みなさん「優しいし刺激的な稽古場になる」とおっしゃってたので、すごく楽しみです。

【意気込み】
毎回作品に参加すると、どんな作品であれ半歩ぐらいは成長したいですし、成長してなきゃダメだなと思ってやってるんですけど、それって実感を持つのがすごく難しいんですよね。でも、今回はそこに対して欲があるというか、すごく自分にとって怖さがある作品だと感じています。振り返ると、あの時良かったなって思うのは、けっこう苦しい想いをした時が多いんですよね。今回は、この作品に参加したことで、どれだけの歩数かわからないけど、ちゃんと進めたんだっていう実感を珍しく欲しがってる感じなんです。だから今回、どんなものが得られるかはわからないですけど、ただ、後で振り返った時に、あそこでちょっと変われたかなと、何か残るものがほしいと思っています。
【舞台は続けて行く?】
機会をいただけるのであればやりたいです。デビューからすごく恵まれていて、自分がやらせていただいているパート(役)を自分が必死で追いかけてる感じというか、デビューの時なんか特に技量がないまま選んでもらって。恵まれていたのが続いていたと思うんですけど、もうその流れはそんなに続かないぞ、いよいよここから、自分が少なからず感じてる溝みたいなものは埋めて行かなきゃ今後は続けて行くのは難しいだろうと思いますし。そういった時に、自分を追い込める舞台という場所は得られるものが多いなと思います。
【最近思うこと】
ほんとに遅いんですけど、やっと恵まれてるって言ってたところから、芝居をさせてもらうスタート地点に立てたかなと感じているんですよね。20年前を考えると、右も左もわからないなか、ただ勢いでがむしゃらにやっていたので。今はアプローチの仕方や楽しみ方も変わって来たというか、その場でワッと勢いに身をゆだねるお芝居ももちろん大事だと思ってるし失いたくないところではありますけど、もうちょっと違ったところで芝居をした後の充実感みたいなものが感じられるようになっていったらいいなと思っています。
【バラエティ番組も】
作らずに自然体でいることに対して、以前はもっと怖がってましたけど、そのギャップがあるからこそ楽しい、前々から思ってますけど、より一層楽しくなってきたという感じです。「虎バン」はうれしいです、純粋に。好きな野球のことを考えて、月に1回のペースで大阪に来れる(笑)。阪神タイガースももちろん好きですし、芝居とは違うところでリフレッシュできるっていう意味でも、すごくありがたいと思っています。これから?それは選手と同じですから、契約更新されれば(笑)。解除になったらもう何も言えませんので(笑)。
小笠智子
この記事の画像一覧(全3枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!
ゴールデンウィーク期間中に開催する全国のイベントを大紹介!エリアや日付、カテゴリ別で探せる!
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介