クレイジーケンバンド横山 剣がニューアルバムとジモト夜遊びを語る!【前編】
横浜ウォーカー

横浜市出身、横山 剣率いるクレイジーケンバンド(以下、CKB)のニューアルバム「GOING TO A GO-GO」が2018年8月1日(水)に発売される。
オリジナルアルバムとしては3年ぶりとなるが、ソウル、ファンク、ジャズ、レゲエほか、あらゆる音楽性がうねり、国内外、時代も問わず、さまざまな磁場から生まれた全20曲を収録する。
今回は、横浜マリンタワー1階の「mizumachi bar」に、CKBとコラボしたビアガーデン「CKBガーデン!!」がオープンしていると聞きつけ、剣さんと夜遊びへ!
——「mizumachi bar」にやってきましたが、この「CKBガーデン!!」とは?
横山 横浜マリンタワーの名誉館長を務めておりまして、ここのコラボバーは毎年やってもらっているんですが、昨年からビアガーデンのスタイルです。
——CKBの映像も流れているんですね。剣さんはどんな夜遊びをしていますか。
横山 ここにもよく来ますけど、横浜や本牧には、誰かしら知り合いがいるので、誰かしら居るところへ(笑)。
——楽しみ方のポイントってありますか。
横山 えー「しゃべる」ですか。バイク! 車! 音楽の話からはじまって、世界の歴史、日本人の起源とか、だんだん深い話になっていって、日本とユダヤに関する日ユ同祖論とか、都市伝説、宇宙人の話へ。信じるも信じないもあなた次第ですけどね。女性の話は必ず! 最新の音楽の話ももちろん……そうやって夜が終わらなくなります。
——(笑)。宇宙の話というと、今回のアルバムのジャケットもすごいですよね。宇宙的な建物の写真で。
横山 これはLAの空港で、これを初めて見たのは1971年、11歳の時です。僕のLAの第一印象は、これだったんです。「なんだこれは!?」って。
——1971年に、実際にLAへ?
横山 ええ、ええ。1971年の記憶を再現しました。建物自体は、もっと古くて、70年以上前の建物なんですけどね。今は、Encounter Restaurantというレストランになっていて。今回はスタッフに撮ってきてもらいました。
——こうやって、飛行機も飛んでて?
横山 これは合成です(笑)。
——あはは。どういうイメージがあったんですか?
横山 これからの人生、たそがれていくから、最後の旅のような……。あ、これが最後のアルバムという意味ではないんですけど、“beginning of the end”(終わりの始まり)、第何章でいうところの最終章のスタートという感じでしょうか。
——でも、なぜLAだったんですか。
横山 なんとなくLAイメージの曲があったりして。「せつ子」とか。
——曲名「せつ子」(笑)。そこは、また、詳しく聞かせていただくとして、今回、オリジナルアルバム「GOING TO A GO-GO」がリリースされます。最後まで驚きが絶えない、すごいアルバムでした。
横山 自分でもなんでこんな曲ができちゃったのかわからないんですけど、浮かんじゃいましたね。あとは、メンバーとサウンドを練り上げているうちに、どんどん欲が出てきて、ある程度進んだところで、全部やり直そう! って。ドラム以外全部録り直したりしました。
——3年ぶりのオリジナルアルバムということもあって、気合いの入り方が。
横山 爆発していましたね。
——もう、1曲目「GOING TO A GO-GO」の冒頭から、にょ~~んって鳴るじゃないですか。
横山 にょ~~ん~~~。ああいうゲバゲバの音って、ギターで鳴らすんですけど、ジェームス・ブラウンのバンドもやっていて、「なんでこんな音を入れるんだろう」って思うんですけど、それに関しての記述はどこにもないんですよね。だから、都市伝説のように理由がわからない。でも気になるみたいな。
——「GOING TO A GO-GO」という言葉もすごいパワーです。言葉として正しいのかはわかりませんが。
横山 ははは。GOが3つくるので勢いだけみたいになっているんですけど、「GOING TO A GO-GO」はもともとスモーキー・ロビンソン & ザ・ミラクルズの曲にあるんですよね。ストーンズもカバーしていて、それもかっこよくて有名なんですけど、いろんな人がカバーしていて、僕もカバーしたいなと思ったんですけど、そのタイトルでオリジナルの曲ができてしまったので、カバーをやる必要がなくなってしまったという(笑)。
——思いがけないところへ(笑)。
横山 最初は「レッツ・ゴー クレイジーケンバンド」というタイトルで進んでいたんですけど、なにか足りない、抜けが悪いと思って。「GOING TO A GO-GO」、これしかないって。字面とか文字霊が強いなって。これなら、人生の後半戦をはじめるぞっていうスタートの合図になるというか。
——それは、どういうタイミングで意識されたんですか。
横山 「ZZ」(ジジィ)という曲ができたり、自然とそうなったんですよね。ただ、それを肯定的に捉えられるようになったのは、年配のお友だちとの交流が楽しかったりして。おじいちゃん、おばあちゃんのお話の奥行きとわびさびとか、若い人たちと遊ぶのとも違った味わいがあって、すごくおもしろい!
——自分のペースに持っていけるパワーもあったり。
横山 そーそーそー。全然空気読まないみたいなのものいいですよね。自分で楽しくしている。そういう先輩方と仲良くしていると、50代はまだまだ若造でいられるし、これからが楽しいなって。これまで歳をとりたくないと思って、否定的だったことが肯定的になりました。

——「ZZ」の「毎日がちょっと楽しいかも」という歌詞にもあらわれていますね。ちょっとを尊いと思えるかどうかって、若いころの感覚とは違うじゃないですか。
横山 若いころは全開なのでね。僕は、これまで全く草花とか興味なかったんですけど、紫陽花が咲いていたりすると、かわいいなって思ったり、グッとくるようになっちゃった。鎌倉の明月院とかいいなとか、未知の領域はいっぱい広がっているから。あと、今回、CKBのいろんなできごとで、偶然の一致とかあったりしてね。勝新太郎さんの偶然完全という言葉が効いてきた。やっぱり狙うんじゃなくて、偶然を呼び込んでこそっていう。
——歌詞にも出てきますね。偶然完全って?
横山 勝さんは、電気菩薩とかもそうなんですけど、いろんな名言があって。その中で偶然完全っていうのは、作為的にやったものではなくて、偶然に出てくるものこそ完璧という意味で。印刷で言うと版ズレみたいなものに色気を感じるといいますか。もうひとつのテーマにあったのは、24時間営業。ハワイに24時間営業の焼肉屋さんがあるんですけど、そこに朝行くと、夜の“気”みたいなものが消し忘れのような感じで残っているんです。夜は夜で、昼間のほてりが残ってる。そうやって何周もしていると、残像が消えなくなって、地層のように折り重なって行くんですよね。そこに狙っていないありがたみが出るんですよね。有明海の不知火とか、蜃気楼みたいな。
——24時間営業から生まれる、ありがたみですね。
横山 そー、そー、そー。そういう24時間のグルーヴにグッとくる。最近、そういうありがたみのあるものが、絶滅種になりつつあるので、そういう存在でいなきゃいけないなって。狙っちゃだめ。どんなに逸脱しても戻さず、そのまま沖まで漂流していくみたいな。そんな24時間グルーヴを持つアルバムでありたいし、それが遊びであり人生なんですよね。
(→後編に続く)


取材・文=古城久美子、撮影=映美
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