影山貴彦のテレビのホンネ。「男気あふれるさんま、やっぱりカッコいい!」
関西ウォーカー
全国ネットの番組と顔つきが違う。さんまが重きを置く「ホームグラウンド」
タレント間、スタッフ間、あるいはタレントとスタッフの間での衝突が時に芸能ニュースを賑わすことがある。私は、それもこの業界の魅力のひとつと考える。確かにあまりにヒドいもめ事は困るが、逆に言うと人間らしさを感じ、親しみを覚えることも少なくない。
先日、明石家さんまが34年ぶりにテレビ東京の番組に出演した。「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」だ。
80年代初め、テレビ東京で最高の人気を博していた「サタデーナイトショー」の司会を務めていたのがさんまだった。だが、「お色気番組がトップとはいかがなものか」というテレビ東京上層部の判断で、番組は突然打ち切りになったのだ。それに納得しなかったさんまが、その後一切テレビ東京の番組に出演しなくなったという話は、「都市伝説」として語り継がれていた。
「充電~」でバイクを走らせながら、さんまは出川に「都市伝説」を自らの口で語った。出川との関係があったからこそ出演を決めたという。演者と局の長年の軋轢がベースにあり、その雪解けが実現する。エンタの世界として最高の流れだ。番組は過去最高の視聴率を獲得した。
そんな「男気」で仕事をするさんまがホームグラウンドにしているテレビ番組が、「痛快!明石家電視台」(MBS)だろう。良く見れば気づかれる読者もいるだろうが、全国ネットの番組と「明石家~」で、さんまの顔つきは違う。「明石家~」の方が、表情が柔らかい。スタッフ、共演者との人間関係もこの上なく強固だ。
「MBSヤングタウン土曜日」(MBSラジオ)では、さんまのストレートな感情を吐露し、それがネットニュースになることも目立つ。こうした番組は、まさに彼の「ホーム」なのだ。さんまの数多くの魅力のひとつは、それに重きを置くことにある。明石家さんま、やっぱりカッコいい。

【著者プロフィール】かげやまたかひこ/同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。「カンテレ通信」コメンテーター、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。
影山貴彦
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