「目黒さんま祭り」で今年も7000匹のサンマが無料で振る舞われる
東京ウォーカー(全国版)
第23回「目黒のさんま祭り」がJR目黒駅前(東京都品川区)で行われ、炭火焼きのサンマを求めて朝から大勢の人で賑わいを見せた。

目黒駅前商店街振興組合が主催するこの催事。もともとは1964年に行われた東京オリンピックにおける再開発や、90年代のバブル期による土地の値上げ等で昔ながらの人々が出てゆき、目黒駅前がビルだらけの冷たい街になってしまったことから、古典落語をヒントとして昔ながらの温かさを呼び戻すために1996年から行っているもの。

当初は築地で9月中旬ごろもっとも脂がのった岩手県宮古産のサンマを仕入れて振る舞っていたが、3回目の1999年、新聞の記事を見た岩手県宮古市から「なぜ、そちらでは毎年宮古のさんまを使っているのですか?」との問い合わせが。美味しいものを振る舞いたいと伝えたところ、感動した宮古市が、翌年の第4回よりサンマを無料で提供することになったという。

また、焼きサンマに欠かせないスダチも、第3回から日本一の産地・徳島県神山町と友好関係を結び、無料で提供を受けている。

その後、第6回から栃木県那須塩原市より大根を、第15回から和歌山県みなべ町より備長炭、さらに岡山県津山市から焼きさんまに風情を添える熊笹、キッコーマンからは醤油、東京にいたか屋からべったら漬けの無料提供を受けている。そして祭りを通じ、目黒区と神山町、宮古市は姉妹都市になった。商店街の祭りが、自治体を結びつけた形だ。


2011年に東日本大震災があった時、祭りを主催する目黒駅前商店街振興組合は、宮古市の復興を支援しようと募金活動を実施。5月、同組合が義援金を渡すために同市へ出向いた際、市長から「今年もにぎやかに開きましょう。サンマを持って行きますよ」と宣言。例年とほぼ同じ約7000匹が届けられた。

昨年は不漁だったサンマであるが今年は豊漁。脂の乗った新鮮なサンマが約7000匹をはじめ、スダチ1万個、500本の大根をはじめ、様々な食材が届いた。

好天にも恵まれ、会場には朝から人が集まり、午前10時の開始時間より1時間早い9時から焼きサンマの無料配布が始まった。開場時間の10時を過ぎると、首都高速2号目黒線沿いに並ぶ列は1キロ近く、目黒と五反田の中間地点にまで伸びた。

訪れた人に話を伺うと「去年、食べることができなくて、今年は朝7時に来ました。炭火で焼いた新鮮なサンマは、本当に美味しいですね」と舌鼓。主催者も「去年のサンマは脂が乗っていなかったですが、今年はいい感じ。その証拠に煙がいっぱい出ていますから(笑)」と笑顔だ。
会場は家族連れやカップルが多く、中にはタッパーに入れた白米と一緒に食べる人や、焼いたサンマを自前の容器に入れて持ち帰る人の姿も見られた。

また目黒駅前のロータリーでは、産地直送物産展などが開催され、スダチのつかみ取りや、サンマの販売などが行われ、こちらも大盛況。

また、会場近くの品川区立上大崎特別養護老人ホームでは無料の「目黒のさんま寄席」が開催され、「目黒のさんま」の落語をはじめ漫才や漫談が開催され、本物のサンマに負けない新鮮な笑いが届けられた。

目黒では、9月16日(日)に第42回目黒区民まつりが開催され、こちらでも焼きサンマ(気仙沼産)と大分県臼杵市特産のカボスが無料で配布される。
「サンマは目黒に限る」から広がった友好の輪。ぜひ目黒のさんま祭りに参加してみてはいかがだろうか。
栗原祥光
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