貫地谷しほりインタビュー/現代能楽集『竹取』「自分の可能性に、ちょっとワクワク」
関西ウォーカー
野村萬斎が企画・監修し、古典を現代に甦らせる人気シリーズの最新作、現代能楽集『竹取』が、10月5日(金)から東京・世田谷パブリックシアターで開幕。関西での上演ももうすぐだ。同タイトルに出演する貫地谷しほりさんにお話を伺った。

今回は演出に小野寺修二を迎え、日本最古の物語文学「竹取物語」に挑む舞台。小野寺は、マイムの動きをベースとした独自の身体表現で世界観を創り上げる演出で幅広く注目され、ジャンルを超えたアーティストにも熱い支持を受ける売れっ子。今回は出演に、小林聡美、貫地谷しほりを筆頭に、ダンサーや能楽師、打楽器奏者など異色のコラボで立ち上げる、まったく新しいかぐや姫の物語だ。
誰がどの役をするのか不明、舞台装置も抽象的な空間になりそうというぐらいの情報の少ない時期に、貫地谷さんが兵庫県立芸術文化センターに来館、取材会が行われた。
これまで「ダンス経験は皆無」という彼女の新たな挑戦。「竹になってください」と言われたビジュアル撮影など、戸惑いながらも「なんとかなるだろう」という持ち前の柔軟な性格で、楽しみながら稽古を待っていた。「年1回は必ずやりたい」と、大切にしている舞台に向かう彼女の「竹取」への意気込みを紹介しよう。

【出演を依頼されて】
私自身、小さい頃にかぐや姫の物語を絵本で読んで、大人になってからもジブリの作品とかで見たり。改めて「竹取物語」について、すごく熱く語る友人がいて、あ、そういうおもしろさがあるんだと感じたや先でのオファーでした。子供の頃から観ていた物語に入っていける喜びもあり、とても楽しみにしてる作品です。
小林聡美さんは、以前からテレビなどで拝見していて、すごく潔いいという印象を持っていました。是非いつかご一緒したいなと思っていた方と今回ご一緒できるという楽しみと同時に、小野寺さんの世界の一員になれるという楽しみもあり。
ただ私、身体表現というもの、そもそもダンスというものがとても苦手なタイプなので、大丈夫かなと不安もあるんですけれど、いろんな想いをこの作品にぶつけて新たな自分を発見したいと思っています。
【小野寺さんの舞台について】
小野寺さんが演出の「椿姫」を拝見して、人間の身体ってすごいなぁと感動しました。ほんとにちょっとしたしぐさで、想像をかき立てられるような舞台を作ってらしたので、すごいパワーだなと思って、最後まであっと言う間に観てしまいました。だから小野寺さんの演出ってどういうものか、すごく興味があって。きっと何かを引き出してもらえるんだろうな、未知の領域に行けるのかなぁって。
【出演を決めた理由】
演出家の小野寺さんご本人から熱いお手紙をいただいてオファーされたことが大きかったですね。私が出演した「ハムレット」の舞台を観て、オファーしてくださったこともうれしかったですし。それと、最初にオファーがあった時に、舞台が詳しい友人たちに相談したら「小野寺さんの舞台は絶対に出た方がいい」っていう人ばかりだったんですよ(笑)。
演劇界の中に小野寺さんのファンがすごく多くて、「竹取」と小野寺さんの演出と、このメンバーだけの発表だったのに、いろいろな演劇界の先輩から「絶対観にいく」って連絡があったり(笑)。いいって言う人が周りにたくさんいて、いろんな所から背中を押されて飛び込んだ感じです。
演劇界の大先輩が、その組み合わせを聞いただけで、おもしろそうって思ってくれるその世界に入れることが、今回私にとってすごく楽しみなこと。チャレンジですけれどね。
【かぐや姫の役?】
小野寺さんからのお手紙には、かぐや姫のイメージとすごく合うと思ったので、と書いてくださっていたので、あ、かぐや姫やるんだと思ってたんですけど、なんかちょっとそこは、フワッとしてますね(笑)。姫じゃなくて、翁と媼(おうな)も、もしかしたら弓矢もやるかも。そもそも7人しかいないですし、そこで帝やらいろんな登場人物を、どう表現するのか楽しみです。
【ダンスは苦手?】
デラシネラ(小野寺修二が率いるカンパニー)の映像を見た時に、皆さんすごいダンサーなので、その動きがカッコイイと思ったんです。この中に入れるんなら入ってしまいたいと、ちょっと夢を見てしまいまして(笑)。
ダンスは苦手で、ダンス経験は皆無です。そもそも初めてのことに苦手意識があるんですけど、でも、やると決まったから、楽しくやれたら。
【新たなチャレンジ】
自分の可能性にチャレンジするという意味では、あまりチャレンジしてこなかったタイプだと思います。違うジャンルに飛び込むとか、チャレンジできる年齢っていつまでだろうって思うと、いつでもできるとおっしゃると思うんですけど、体を動かさなきゃいけない舞台という意味では、今できることはすごくいい時期なんじゃないかなと思っています。
これでダンスに興味持っちゃったらどうしようかと、ドキドキしてるんですけど(笑)。さ来年あたりミュージカルやってたらどうしよう(笑)。ちょっと自分の可能性にワクワクしてます。
【怖くはない?】
今のところは。性格ですね、多分。小さい時から、できないことを平気で人前でやるようなタイプだったので。ブラスバンドでクラリネットをやってたんですけど、練習まったくしてなくて、ほんとにできないのに舞台に堂々と立って、できなかったっていう(笑)。あとピアノの発表会でも、間違えても平気で最初から弾きなおす子供だったみたいなので、性格ですね。何に於いてもトライ&エラーすることが大切だと思っていて。そういう意味では、いい性格に生まれたなと思ってます(笑)。
【舞台は必ず年1回やる】
映像だと1回やったら終わりだけど、舞台ってほんとに毎日毎日同じことをやるので、その中で違う発見がいつもあるんですよね。人としてもいろんなことを学べる場だなとも思いますし。毎年いろんな発見があるので、自分の経験にとっても女優の人生としても豊かな時間を持てるというか。すごく贅沢な時間なので、毎年1本はやりたいと決めてます。
【関西公演に向けて】
その土地のものを食べなきゃって思っちゃうんです(笑)。今回、動かないといけないので、その食い意地だけはどうにかして押さえないと、と思ってます。
先輩方が、あそこが美味しいよ、ここが美味しいよって、いろんなとこ連れて行ってくださるので。ついつい目の前に出されると全部食べてしまうから、節制しなきゃ(笑)。
かんじやしほり●東京都出身。04年の映画「スウィングガールズ」で注目を集め、07年、NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で初主演。08年第32回エランドール賞新人賞受賞。13年映画「くちづけ」で、第56回ブルーリボン賞主演女優賞受賞。数多くのドラマや映画をはじめ、「プロフェッショナル 仕事の流儀」のナレーションなどでも活躍している。舞台はこれまで「ガラスの仮面」「もとの黙阿弥」「ハムレット」などに出演
STAGE 現代能楽集「竹取」チケット発売中
公演日時:10/23(火)19:00★、24(水)13:00 ★アフタートーク有(登壇者:小野寺修二、小林聡美、貫地谷しほり)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール 構成・演出:小野寺修二 企画・監修:野村萬斎 出演:小林聡美、貫地谷しほり、小田直哉(大駱駝艦)、崎山莉奈、藤田桃子、古川玄一郎(打楽器奏者)、佐野 登(能楽師 宝生流シテ方) 価格:A¥5,000 B¥3,000 問い合わせ:芸術文化センターチケットオフィス 電話:0798-68-0255 HP:http://www.gcenter-hyogo.jp
※10/21(日)15:00、びわ湖ホールでも公演あり 電話:077-523-7136 HP:http://www.biwako-hall.or.jp/
高橋晴代
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